2023ジャパンカップクリテリウムの殴打事件

2023年10月18日

2023ジャパンカップDay2クリテリウムゴールスプリント

開催30周年を記念する2023ジャパンカップ。宇都宮市を中心とした運営の努力は計り知れません。

そして海外ワールドツアーチームの来日とガチな走りが見られることも相まって、国内で開催されるロードレースとしては有数の観戦者を誇り、ジャパンカップを楽しみにしているファンも多い。

事態は2023ジャパンカップ・クリテリウムで起こった

その2023ジャパンカップクリテリウムのゴールスプリントでフィニッシュ直後、マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー)がゲオルギオス・バグラス(ギリシャ、マトリックスパワータグ)の頭を叩いた映像がはっきりと中継映像に映し出された。

バグラス選手のチームメイトである小林海選手のツイートが拡散された。
※小林海選手はバグラス(文中ではタケシと言っている)選手のチームメイト。贔屓目もあるため、リプライや引用リツイート含めて目を通し全体像を把握して欲しい。
脊髄反射で「海外選手は日本人を見下している」なんて発言もありますが、外国人選手同士で起きた事態なので日本人だからうんぬんは全く無関係だし見当違いです。

2023 JAPAN CUP CYCLE ROAD RACE / Day 2. JAPAN CUP CRITERIUM(Japan Cup公式YouTube)のゴールスプリントシーン、動画1時間35分から0.25倍速のスローで見るとバクラス選手がハンドルから手を離して押している(強くはないので走路確保又はこっちへ寄るな程度のアクションの可能性も有り)のが確認できます。

ジャパンカップクリテリウム2023ファンヒルス&バグラス

ファンヒルスはレース後、当日中に所属チーム(Lotto Dstny)を通じて公式に謝罪声明を発表。

CyclingnewsEurosportroad.ccを始め海外メディアが報道。SNSでもゴールシーン(殴打シーンか?)が拡散。世界中のロードレースファンに知れ渡ることとなった。

Cyclowiredの記事

海外メディアの報道から後れを取り、ジャパンカップ2023クリテリウムから3日後の10月17日になって、ようやく国内メディアからの報道がありました。

この記事にも多くの意見が寄せられています。引用リツイート含めて目を通して欲しいです。

この記事でバグラシュにプッシュされたのはコレオーニとなっているのは誤り。エンゲルハルトが正解。

ファンヒルスは自らの行為を認め、真摯に反省し謝罪している。

一方、ファンヒルスに頭を叩かれたバグラスに問題は無かったのか?

ゴールスプリント競り合い真っただ中に片手を放し、隣の選手を押す=公式映像で正確に確認できないが軽く押している程度か「こっちに寄ってくるな」程度のアクションかもしれない。正確には判断できず当人のインタビューも無いので不明。

競り合いの中でヘルメットや肩が当たったり、車輪の接触は状況によって望まなくても起きてしまう。

状況次第だが、こちらからも相打ちのように当たりに行き、接触のエネルギーを相殺しないと簡単に落車してしまうこともある。

しかし、ハンドルから手を離し相手を押す行為は「普通にあること(安原監督)」ではない。
こちらもルール違反であり、罰則の対象である。

安原監督は「選手を落車させたのであれば話は違うのかもしれないが、競り合いはどこでもあること。こちらに聞こえてくる彼(ファンヒルス)の言葉は言い訳にしか聞こえない。選手たちが言う「日本人は下に見られていると感じる」は実際にあるし、実力の世界だから仕方がないにせよ、あれはダメ。今どきは全て映っているんだから」とのコメントを残している。

https://www.cyclowired.jp/news/node/386729

結果として落車が発生しなくとも、競技規則違反は違反である。

落車や事故、アンフェアな行為を未然に防ぐために競技規則が定められているのではないか。

ゴールスプリント真っただ中に片手を放す行為は危険極まりない。

このような行為が認められてしまえば位置取りでも有利になり、今後のレースで落車が頻発してしまうことになるだろう。

特にジュニアのレースやビギナークラスで同様の行為に対して罰則無し、違反対象にならなかったら落車や事故がひんぱつしてしまうだろう。

マトリックスパワータグ安原監督はJBCF理事長でもある。

育成や競技普及にも関わる人がこのような判断を下して果たして良いのだろうか?

厳しい判断を下し、安全最優先且つフェアな判断をするべきではなかったか。

ゲオルギオス・バグラスは日本籍マトリックスパワータグ所属の選手であるがギリシャ人。

「日本人は下に見られている」は今回は全く関係が無いし、ジャパンカップのために来日した選手は親交とファンサービスに努めている。

過去に欧州レースに不慣れな日本人選手が海外参戦で「危なっかしいヤツは集団の後ろに下がってろ!」とばかりにジャージを引っ張られるようなこともありましたが、それも今では昔話。
ジャージを引っ張ることは明確な違反行為としてUCI競技規則で規定されています。
差別行為は厳格な違反行為とされるのが現代スポーツ全般の流れ。

友好や親睦、ロードレース普及や認知を兼ねているジャパンカップに於いて、このような発言は如何なものか。

JCF競技規則

2022JCF競技規則(pdf形式)

329ページに渡り使用機材やウェア、サポートカーやチームスタッフ、大会運営に関わる事まで選手に該当する競技ルールんみならず事細かに競技規則が定められています。

今回の事件に該当する箇所を抜粋すると(UCI 1クラスのジャパンカップは真ん中、罰金の単位はスイスフラン)

JCF競技規則

以下はトラック競技適応の罰則。トラック競技の方が事細かに罰則が定められています。

まとめ

また審判団の判断も聞きたかったところ。

ジャパンカップはワールドツアーチームや海外有名選手が来日するレベルの高いレースであると同時に、ファンにとっては埼玉クリテリウムと並んで欧州の一流選手と触れ合える数少ない機会。

だからこそ、甘く見逃すのではなく、今後のことも踏まえて厳しくもフェアな判定を下すべきではなかったのか。

野球やサッカーなどメジャースポーツでは、選手の安全に配慮しフェアプレーを尊重した判定に時代と共に変わってきています。
UCI競技規則及びJCF競技規則も本来はそうなっています。

サッカーJリーグでは審判の判定を検証検討する『ジャッジリプレイ』という動画がYouTubeで公開されています。
サポーターの意見もくみ取りながら、判定の精度を上げ今後の向上に繋がる良い取り組みです。
メジャーなプロスポーツは違うな~

インカレやツール・ド・北海道では選手の死亡事故も起きてしまった。
自転車競技ロードレースに向けられる世間の目が厳しさを増している今だからこそ、発言に気を使うべきではなかったか。

判定は既に出てしまったので仕方がない(仕方なくないが・・・)。

今後の安全な運営、ジャパンカップだけでなくロードレース全般、サイクルスポーツ全般の未来のために今回の判定や関係者のコメントは改めて貰いたいところです。