スポーツバイク買ったけど乗らなくなった

2021年2月12日

サイクリング趣味の継続

ツール・ド・ニッポン「エントリーユーザー離脱実態調査」アンケート結果

スポーツバイク所有経験のある1,483人を対象にツール・ド・ニッポンの運営母体である一般社団法人ルーツ・スポーツ・ジャパンが行ったアンケート調査。

車種やキャリアを問わず全てのスポーツバイクユーザーを対象に、インターネットによる任意回答。調査期間は2020年2月19日~2月28日。

調査期間からコロナ禍による生活様式や環境変化はアンケート結果に影響はないと推測できます。

回答者プロフィール

男女比は女性の新規参入者が少なく男女構成比に偏りがあるスポーツなので、約9:1の比率は実態に即していると思います。

年代別回答者の構成比は30歳代~50歳代が中心。29歳以下の回答者が少ないのが気になるところ。通学を含めた高校生のクロスバイク人気や通勤通学需要を踏まえると、10代~20代の実際のスポーツバイク利用者はもっと多くなるはず。

調査結果1:どうやってスポーツバイク始めたの!?

ロードバイク・グループライド

2.車種「初めて購入したスポーツバイクのタイプはどれですか?」のアンケート調査では、ロードバイクが60%を占めています。実際はクロスバイクの構成比の方が多いのではないか。

このことからインターネットによる回答なので、スポーツバイクを始めた層の中でも「積極的に情報収集している人」がアンケート調査に辿り着き回答していると推測。又はイベント参加等で既にツール・ド・ニッポンのWEBサイトでメールマガジン購読やサイトを定期的に閲覧している人がアンケート調査に回答しているのではないか。

グラベルバイクやE-Bikeの選択項目も、将来的な需要の流れを踏まえると「その他」としないで選択肢に加えたいところです。

Twitterをやっていて常々感じるところですが、特に若い人は「検索すればわかること」「購入店に質問すれば簡単に回答が得られるようなこと」もTwitter内だけの遣り取りで完結させてしまっています。
インターネットの利用がSNSに限定されている傾向が、年齢が若い人ほど顕著になっているように感じます。

順番が逆になりましたが、1.購入場所「初めての自転車はどこで購入しましたか?」のアンケート結果もスポーツバイク専門店が68%を占めている。
クロスバイク購入層を含めると、非専門店や通販の比率が高くなるのではないかと推測できます。

3.スポーツバイクの利用目的「スポーツバイクを購入した際の、利用目的として最も近いものを1つ教えて下さい。」

このアンケートでは「タイムや順位を競う競技スポーツとして」の項目にスポットが当てられています。

「競技スポーツのために乗る人も割合がかなり増えている」と見解が述べられています。これもツール・ド・ニッポンのWEBサイト利用者からの回答であることから、純粋なロードレースだけでなくツール・ド・ニッポン主催イベントも競技スポーツに含まれている上での回答。
「競技スポーツに参加する意思はないが、スポーツバイクを楽しんでいる」比率、エントリーユーザーの裾野はこのアンケート結果よりも広がっていると思われます。

4.スキル・遊び方の習得「スポーツバイクを購入した時に遊び方を手ほどきしてくれる人はいましたか?」

60%の人が「いない」と回答し独学。この回答は実態に即していると思われる。手ほどきや師匠という表現が大げさに感じる人もいるかもしれません。
師匠はいなくても情報交換できる人やアドバイザーの存在は必要ではないかと感じます。

ここで考慮しないといけないことは、価値観も遊び方も選択肢が広がり多様化していて、10人いれば10通りの100人いれば100通りの価値観の違いと、「楽しい」と感じる感じ方に違いがあるということ。

調査結果2:始めてすぐの頃、みんなが悩んでいたこととは!?
-エントリーユーザー登竜門-

天候に左右される(52%)、お金がかかる(48%)、仲間/友達がいない(41%)、メンテナンスが面倒(37%)、同行者に迷惑がかかる(35%)、ルート設定が出来ない(31%)が高い数値を示した。

悩みの重さで比較すると 「①仲間が居ない(同行者に負担をかけるも含む)→②肉体的につらい→③お金がかかる →④天候に左右される→⑤時間がない」という順番になった。

https://www.tour-de-nippon.jp/series/topics/4912/

この悩みを解消していけばエントリーユーザーに趣味として継続して貰え、スポーツバイクの裾野が広がっていくのだろう。

しかし「言うは易く行うは難し」である。

先にも述べた通り、価値観が多様化し1人1人の感性や楽しみ方がそれぞれ異なってきています。それに加えて気の合う仲間が見つかったけれどゆるぽた詐欺に代表されるようにペースが合わず「同行者に迷惑がかかる(35%)」

このような悩みが発生してしまうのがスポーツバイク。

自転車に乗らなくなった人の約8割は悩みの解決方法に辿りついていない

これは大きな問題である。

悩みを解決しようとしなかった(43%)は本人含めてなんとかしてほしいところですが、解決方法に辿り着かなかった(35%)は解決策は見いだせるのではないかと思う。

金銭的な問題(48%)は仕方ない面もある。僕の周囲でも、結婚して子供が出来て家を買って、と経済的にも家庭内の時間の使い方でも自転車趣味から離れる友人も多かった。

しかし子供が成長してからは、昔乗っていた自転車を引っ張り出してメンテナンスしてからまた乗ろう、とか新車を買ってスポーツバイク趣味復活、という友人も多い。

自転車をやめようと思ったが乗り続けているという人のうち、半分は以前悩みを抱えながらも自転車に乗り続けている。

悩みを解消出来た人のうち48%は自力での解決への糸口を見つけることが出来ている。

離脱した人のうち、59%は自転車に乗り始めてから2年以内に離脱している。

https://www.tour-de-nippon.jp/series/topics/4912/

2年以内に約6割ものビキナーサイクリストが辞めていってしまうとは!

解決策のヒントになるかどうか判りませんが、ここで僕が自転車趣味を始めたばかりの頃の昔話を

高校1年生のときにスポーツバイクに乗り始めました。そしてクラスが違っていても興味の対象や趣味が同じ。自然と知り合い仲良くなっていきます。

インターネットや、ましてSNSなどなかった時代。いきつけのショップを互いに紹介しつつ、店内を眺めたりお店の人に話を聞くことが知識を得るうえで良かったこと。
専門誌や仲間内以外からの生きた話は得られるものが多かった。

ショップ主催のイベントもガチなレースからご近所ゆるポタ&バーベキューまで。

修善寺CSCで行われるチャレンジロードなどは、遠方だし本気度の高いレース志向のお客さん達だけで参加。

ご近所ゆるポタ&バーベキューor焼肉ライドは、ガチレーサーから初心者さんまでショップのお客さんがかなりの比率で参加していました。
4~5人のグループ分けはショップが決め、ベテランとビキナーが塩梅よく混ざるようになっていました。
右も左もわからない初心者さんは、ベテランさんの後を付いていくだけでいいように。

この日ばかりはガチ勢も「遅い」とか「練習にならない」とか一切言わない。初心者さんに集団走行やハンドサインを教えつつ、マナーを守った走り方を伝えることがベテラン勢の役割。

年に1回のことだから、ガチな練習は別の日かバーベキューが終わって解散した午後からやればよい。

「ペースが合わない」なんてことは微塵も頭に浮かばない。新たな友人と知り合えることや異なる職業の話が聞けて楽しかった。

ショップスタッフさんは初めて参加する人に話し相手がいなかったりすると、同年代や似た志向の先輩ライダーを紹介したり忙しくしていました。

お店で居合わせて話が弾み、一緒に走るようになることもありました。

近場で初心者クラスもあるレースには、ショップの声掛けで大勢が参加してバスツアー。中にはスポーツバイクに興味はあるけれど、まだ乗ったことがないという女性グループが観戦に来たことも。
集団が目の前を通過すると「早~い!」「綺麗~!」「すご~い!」と黄色い歓声が。レースはナマで見るに限りますね。

そしてこれから

のどかで楽しい時代の昔話でした。

今では一部の人の話とは言え、初対面同士のサイクリストをショップ主導で走らせると、、、

落車や事故が万一起きてしまった場合のリスク。保証や責任の押し付け合いになってしまう可能性。

「教え方が良くない」

説明しても「僕はこう走りたい」とグループライドのマナーから外れてしまう。共調できない。
※ビキナーさんが技術的に未熟だったり遅かったりは非難されることではありません。今後成長していけばいいのだから。

「話し方が・・・」「あの人の雰囲気が・・・」

規格乱立と製品バリエーションの増加で、ベテランライダーといえども知らないことも増えた。パワーメーターの普及に象徴されるように、トレーニングも科学的になり専門性が高くなった。しかし初心者さんに偉そうな態度で知ったかぶり。
間違ったことを教えてしまう。

ネットで得た情報、実体験のない知識を振りかざして教えたがり。

ライドやイベントを主催する側は、さまざまなリスクを踏まえて計画しないとなりません。気軽に客同士を繋げる紹介は出来なくなったと言っていました。

イベントやクラブ、ライドの参加は傷害保険の加入が今では当たり前にもなりました。

メーカーも製品バリエーションも規格も情報化社会に相応しく増え続け、1軒の専門店で「スポーツバイクの全て」に対応できなくなってきています。

多様性と言われるけれども、個人主義の台頭で感性が矮小化してしまい1人1人の「楽しい」の範囲が狭くなっているようにも感じます。

100人いれば100通りの「楽しさ」に違いがあると思います。しかし年に1回しかないイベントなのだから、細かいことは言わないで新しい出会いや発見を楽しもうよ、と個人的には言いたいところです。

「悩み」の根本は人それぞれ。事細かく個別対応も求められるはず。

簡単に解決策が見いだせることではありませんが、、、

そして根本的な問題点として、特に都市部の道路は自転車、スポーツバイクにとって決して快適で走りやすいとは言えない。
サイクリングロードや自転車優先道路などの環境整備も裾野を広げる観点からは必要なこと。

せっかくスポーツバイクを始めたのなら、楽しみをみいだして末永く続けていってほしいものです。

僕自身に何ができるのだろうか、と考えながら。