空気入れスプレー缶は普段使いしないでね

2024年11月13日

DAISO空気入れスプレー缶インプレ

ホームセンターだけでなく100円ショップでも販売されるようになり、低価格化が進んだ為なのか認知度が上がり、普及している様子の100均空気入れスプレー缶。

※英式バルブ専用です。フレンチバルブやシュレーダーバルブでは使えません。

検索してみると生活雑貨ライフハック系ブログやYouTubeで絶賛されていたりします。
「便利!」「手軽で楽チン!」などの高評価が目立ちます・・・

しかし・・・

この空気入れスプレー缶は、あくまでも緊急用や応急用途に留め、常用や普段使いはしないでね、と言う解説と実験をしていきます。

空気入れスプレー缶を常用してはいけない理由

「楽だから」「簡単だから」と言う理由だけで使うのはお勧めできない理由を解説します。

1.中身はLPガス

「空気入れ」なのに中身はLPガス

「空気入れ」との商品名ですが、そもそもの問題として中身は空気ではありません。成分はLPガスです。

LPガスはブチルゴムを痛めてしまいます。チューブや虫ゴムの寿命を縮めてしまうのです。

すぐに壊れてしまう訳ではないので、気が付きにくいのですが・・・。

自転車のタイヤには空気を入れましょう!
LPガスを入れるのはちょっと違う・・・

1か月に1度を目安に、手押しポンプで空気を入れましょう!

2.空気圧が充分に上がらない

空気入れスプレー缶だと、空気圧は上限で3気圧未満までしか入れられません。ママチャリや電動アシスト自転車にもちょっと不足する空気圧です。

体重の軽い人なら不足を感じないかもしれませんが、特に体重や過重の掛かる後輪だったり重量のある電動アシスト自転車ではタイヤがつぶれて「空気ちょっと足りないな」「空気入れなきゃ」と感じる空気圧です。

空気圧ではなくて正確にはガス圧ですが計測してみました。

タイヤの空気を一旦全て抜き、DAISOの商品名『自転車用空気入れ』スプレー缶でLPガスを注入。

空気入れスプレー缶の上限空気圧

英式バルブは内圧を計れないので、空気入れスプレー缶で入れた後に、圧力計ポンプの1ストローク目の空気圧です。

完璧な正確性は有りませんが目安にはなります。実際の内圧はこの計測値より低いです。目盛りの読み取りも甘めに数値を切り上げています。

結果は・・・

39psi = 約2.7bar = 268kpa

上限でこの空気圧ですから足りないですね。入れ過ぎによるバースト等のトラブルや安全性を考慮して、この上限圧力で製品化しているのでしょうけれども。

3.抜けが早い!

1~2日で空気圧が半分程度まで低下してしまいます。

空気を入れれば1か月に1回程度で済むのに、LPガスを入れてしまうと抜けが早く圧力低下が早いので、数日に1回の高頻度で入れなければなりません。
楽して簡単に入れられても直ぐに抜けてしまっては、逆に入れる頻度が上がってしまいます。

実際にどの程度抜けるのか、こちらも実験してみました。

39psi = 2.7barまでスプレー缶で入れたLPガス。24時間経過した翌日に、上と同じ方法で空気圧を計測。

空気入れスプレー缶で24時間経過後の空気圧

22psi = 1.6bar = 160kpa

24時間で39psiから22psi (2.7bar→1.6bar) まで低下。流石に減り過ぎですね~これは。

空気圧を計らなくても、自転車に乗っていて「空気あまいな」とはっきりわかる減り具合。

こんなに減ってしまっては、毎日空気を入れなければならなくなってしまいますね。

段差などでのリム打ちパンクのリスクが増えます。
チューブやタイヤの劣化が早くなります。

タイヤの空気圧が低いとデメリットしかないのです。

LPガスではなく空気なら、16psi(約1気圧)低下するまで1か月程度。
※バルブやチューブが劣化していたり、気温が急激に下がると空気圧低下は早くなります。

それが僅か24時間で圧力が下がってしまうのですから。

如何に手軽で簡単とは言え、毎日スプレー缶で自転車にLPガスを注入するよりも、1か月に1回ポンプで空気を入れる方が良いです。

空気入れスプレー缶は緊急用

自転車用空気入れスプレー 65ml
自転車用空気入れスプレー 65ml

このように空気入れスプレー缶は「楽で簡単」以外はデメリットしかありません。

出先でパンクした!穴は大きくないのでスプレー缶で入れれば自転車屋さんまでとりあえず走って行くことができる。

とか・・・

通勤通学で自転車で走りだしたのはいいけれど空気が足りない。時間もない!

空気入れスプレー缶を使うのなら、こんな時の緊急用や応急用途に留めておきましょう。

趣味でスポーツ自転車に乗っているサイクリストは、サイクリング中の出先のパンクでCO2カートリッジを使う事があります。

TNI CO2 インフレーター ボンベセット エアバルブ 米式 仏式兼用 CO2ボンベ16g×6本
TNI CO2 インフレーター ボンベセット エアバルブ 米式 仏式兼用 CO2ボンベ16g×6本

製品の注意書きに「ボンベを使用後は必ずCO2を抜き、フロアポンプで入れなおすようお願いします。」とあるように、空気以外のガスを入れると抜けが早く、また一旦抜いて空気を入れ直す必要があることを知っています。

空気以外のCO2やLPガスは、あくまでも緊急用なんです。

お勧めの空気入れ

では、空気入れは何が良いの?何を使えばいいの?

樹脂製タンク付きのポンプがお勧めです。圧力が上がった最後の押し込みの軽さが段違いで、軽い力で入れられます。
これならお子様や女性、高齢者の方でも自転車に空気を楽に入れることができます。
体感的には鉄製最安値ポンプの1/3程度の力で空気を入れられます。

足踏み式ポンプは一見楽そうですが、実際には空気を入れにくくお勧めできません。

短くてコンパクトなポンプも同様に使い勝手が悪いです。空気を圧縮してタイヤに送る物理的な問題で、全長の長いポンプが軽く楽に空気を入れることができるのです。

本体が樹脂製、ホースがウレタン製なので耐久性が高く長持ち。

屋外保管やラフな扱いになりがちな自転車用の空気入れ。樹脂製ポンプなら錆びない。雨ざらしだと金属製ポンプは外観に錆びが無くても、中に水が入って壊れやすい。ウレタンホースはゴムホース(表面が布地)よりも紫外線に強く、比較にならないくらい長持ちします。

量販店の最安値ポンプよりも「ちょっと良い空気入れ」は、持ち運びも楽だし軽い力で空気を入れられる。
そして長持ちする。

良いことずくめです。特にお勧め出来るポンプはこの2選。

フルプラダイヤポンプ

圧倒的な軽さ!(空気を入れる力も重量も)でイチオシはフルプラダイヤポンプ

英式バルブ、米式バルブ対応。ボール用、浮き輪用アダプター付属。

フルプラ 空気入れ フルプラダイヤポンプ イエロー NO.900
フルプラ 空気入れ フルプラダイヤポンプ イエロー NO.900

80歳を優に過ぎた僕の両親も、このフルプラダイヤポンプを愛用しています。

パナレーサー楽軽ポンプ

英式バルブ、米式バルブ、仏式バルブ対応。ボール用、浮き輪用アダプター付属。

パナレーサー(Panaracer) 自転車 空気入れ 全バルブ対応 ボール/浮き輪用アダプター付属 黄 樹脂製 BFP-PSAY1
パナレーサー(Panaracer) 自転車 空気入れ 全バルブ対応 ボール/浮き輪用アダプター付属 黄 樹脂製 BFP-PSAY1

この2点の空気入れは廉価版ポンプと違って、格段に軽い力で空気を入れることができます。

軽く楽に空気を入れられるポンプなら、自転車に空気を入れることが面倒になったり億劫になったりしないかもです!

永く使える物なので、良い製品を常備しておきたいものですね。

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僕自身使ったことはありませんが、コードレス可搬式エアーコンプレッサーもあります。