ディスクブレーキに電動化はロードバイクに必須なのか?

2022年4月22日

BRIDGESTONE ANCHOR RP9

そしてホイールやタイヤのワイド化。規格過渡期のロードバイクの今後の主流は?

質問にある電動化&ディスクブレーキ化の流れだけでなく、ワイヤー類オール内装化とディスクホイール普及に伴った新ETRTO規格。
それに付随するリムとタイヤのワイド化の流れが急速に進むロードバイク。

リム幅が広がってタイヤも太くなれば、構造的に限界のあるリムブレーキよりもディスクブレーキ車がタイヤを太く出来るので条件的にも有利。

今年のパリ~ルーベではリムブレーキ車では使うことが出来ない30Cのタイヤが、多くのチームでアッセンブルされていたりします。

ディスクブレーキ化に伴うスルーアクスルも、当然この新しい変化の流れに含まれる。

内幅15mmリムに23C以下のタイヤしか付けられないクリアランスギリギリのエアロフレームや、クイックレリーズハブのディスクブレーキなどは、過渡期のスペックとして今や忘れられた存在になってしまいました。

フレームメーカーによって様々な規格が出来上がってしまった圧入式ボトムブラケットも、ネジ切り回帰の傾向が見られます。

フレームのエアロ化に伴うエアロ形状のシートピラーも、メーカーが補修部品の生産と供給をストップしてしまったら・・・

足回りのパーツはワイドリム化やチューブレスの普及に留まらず、フックレスリム化の流れもあります。

数年でハイエンド製品を乗り換えるような極一部のサイクリストを除けば、多くのサイクリストは大切な愛車を長く乗り続けたいと考えているはずです。

規格の合う部品が、希望の部品が今後も手に入るのか?

ロードバイクよりも新規格の流行が早いMTBでは、既に26インチのホイールは入手難。完組26インチホイールはほぼ皆無。
VブレーキはALIVIO以下のグレードのみとなっています。

レース機材としてMTBに乗っているなら、とっくの昔にディスキブレーキと27.5又は29インチに乗り換えていることでしょう。
非レース派で26インチVブレーキMTBに乗り続けたなら、タイヤ、ホイール、ブレーキ系統は、限られた選択肢の中から廉価品で何とか。
フロントフォーク(サスフォーク)は皆無だったのがSR SUNTOURで復活生産されるようになるましたが。

ロードバイクの規格や互換性は、今後どのようになっていくのでしょうか?

予算とグレード

輪生相談で栗村さんも言っていますが、30年前なら30万円で買えたハイエンドのロードバイクが今や余裕で100万円超え。
世界的に見れば諸物価上昇と共に上がっている賃金が、日本では当時から上がっていないのです。

自家用車も30年前から価格はずいぶん上がっていますよね。

さらに時代を遡ればカーボンフレームが無かった時代、20万円も出せばデュラエースでアッセンブルされたクロモリのロードバイクが買えた時代もありました。当時は消費税も無かったし。

7400系7Sデュラエースがハブを含むフルコンポーネントで約11万円(非STI)。9200系デュラエースDi2では約4倍の価格になっています。

フレームやホイールもカーボン素材の普及に伴って価格も上昇。ハンドルバーやステム、シートピラーもカーボン製の普及で価格は上昇。

5,000円程度でサンマルコ・ロールスやセライタリア・ターボ等、無難に使えるサドルが買えたのも今や遠い昔のこととなりました。

発表になったばかりのコルナゴC68なんか、、、

フレームで税込み110万円!デュラエースDi2完成車は税込み209万円!もするんだぜ!

そしてディスクブレーキ仕様のみでもあるのです。

電動変速やデュラエースにこだわるな

ハイエンド且つレース機材でもあるシマノ・デュラエース。そのデュラエースにレースに出ない多くのサイクリストが憧れる必要があるのでしょうか?

レースに本気になって取り込んでいなければ、ワイヤー類フル内装の最新のカーボンバイクも必要ない。

ワイヤー類フル内装のバイクでなければ、Di2である必要も油圧ディスクブレーキである必要も無く、紐式で充分とも言えます。

車好きの誰もがフェラーリやポルシェの最新型に乗る訳ではないように、レース機材として必要とするサイクリスト以外にとって、ワイヤー類フル内装のロードバイクや、それに適応して進化した電動デュラエースは必要なのでしょうか?

ティアグラや105も進化して性能が向上しています。

僕はデュラエースとアルテグラの違いは、本気で走らないとその差を感じられません。ゆるポタではどちらも同じ。

ワイヤー類フル内装バイクとDi2電動変速は、競技用の特殊な機材であると割り切る必要もあるように感じています。

レースに出ることの無い多くのサイクリストにとって、本当に必要なものなのかどうか。よくよく考えて検討すべきだと感じています。

ここからは私見となりますが、Di2電動変速はワイヤー類フル内装バイクに合わせて上位グレードに限られ、紐変速=機械式変速ワイヤー引きの変速機系統は残るのではないか。※105Di2発売の可能性は有りますが・・・

ディスクブレーキ化の傾向は世界的なものなので、リムブレーキは今のMTBでのVブレーキのような過去のものになってしまいそう。
それが何年後に訪れるのかは想像がつきませんが・・・

ロードバイクのディスクブレーキ化、リムブレーキとディスクブレーキ併売されていた車種が、アメリカンバイクが先行してどちらかと言うとほしゅてきなヨーロッパのメーカーもディスクブレーキのみの流れに。
この傾向は加速しつつ益々広がって、ほとんどのメーカー、多くのグレードでディスクブレーキ仕様のみのラインナップになってくる傾向は必至であるかと思われます。

クラリスでしかキャリパーブレーキ本体やキャリパーブレーキ用のSTIレバーが手に入らなくなってしまったら困るなあ・・・

故に、長く乗り続けるつもりで新しくロードバイクを購入するならば、ディスクブレーキ仕様のロードバイクの方が、将来的な部品の入手性や互換性を踏まえれば無難な選択になってくるのではないでしょうか。

リムブレーキ vs ディスクブレーキどちらが優れているかとか、どちらが好きかなどと言ってられない時代が近づいているように感じます。

シマノ(SHIMANO) FD-R8150-F BRZ Di2 2x12S シリーズカラー
シマノ(SHIMANO) FD-R8150-F BRZ Di2 2x12S シリーズカラー

ワイヤー類フル内装

ワイヤー類フル内装バイクはハンドルの高さを変更するにも大ごとに!

ステムを下げたら、場合によってはシフトワイヤー全交換になることも。

Di2ならエレクトリックケーブルがフレーム内でいくら弛んでも問題にはならないので、現在主流になっているハイエンドロードバイクのワイヤー類フル内装フレームと相性が良い。

アルテグラやデュラエースがDi2オンリーになったのも、ワイヤー類フル内装の流れと併せて考えれば必然なのかもしれません。

しかしポジション変更ひとつとっても大手術になってしまい、作業のハードルが格段に高くなってしまうワイヤー類フル内装のバイクは、ユーザーフレンドリーで初心者サイクリストに優しい仕様とは言えません。

個人的には何台も乗り継いでから、自分のポジションが固まったサイクリスト向けのバイクだと思います。

ハンドルステム一体型もステムの長さ変更やポジション変更のハードルが上がるので上級者向け。

ロードバイク初めの1台は、自分にとって最適なライディングポジションを探しやすい、変更が容易な仕様のロードバイクを選んだ方が良いと思います。

ホイールとタイヤ

シマノホイール

ディスクブレーキの普及に伴って、ホイールは内幅15mm⇒17mm⇒19mmとワイドリム化。

それに伴いタイヤの標準も太くなりつつあります。

『ディスクブレーキ』であること。を前提に考えれば、ブレーキだけをいくら強化してもタイヤのグリップの限界を越えられない訳で、リムブレーキでもロックするまでブレーキング出来るのにディスクブレーキにする意味あるの?と当初は感じておりました。

勿論ディスクブレーキのメリットは制動力だけではなく、雨天時でも安定した制動力を発揮する。リムが削られない。カーボンリムの発熱やそれに伴う破損問題もない。キャリパーブレーキシューのようにカスが溜まって制動力の低下が無い。ダウンヒルでの握力低下や疲労も抑えられる。などなど『良く効く』以外にディスクブレーキの長所は多い。

短所としては、ワイヤー引きリムブレーキなら自分でメンテナンスや整備を比較的し易いが、油圧ディスクでは整備の難易度が上がること。

そして一部の気にする人だけに限られるかもしれませんが、デュアルコントロールレバーの重量増に伴うフィーリングや操作性の変化。

そして規格=ETRTOまで変わってしまい、ワイドリムが標準になった。

こうなってくると、新車で完成車を購入するときには何も問題は起きないけれど、

今乗っているリムブレーキ仕様のロードバイクに、新ETRTO対応ワイドリムのホイールが取り付けられないとか、クリアランスに限度のあるリムブレーキでは互換性の問題が発生して来る。

一時期のフレームでは、リム内幅15mmのナローリム&23C以下のタイヤしか取り付けられないフレームが多く存在しています。

このようなフレームでは、現行のホイールと25Cタイヤが一切使えないという現象が発生してしまいます。

そして、このようなタイヤクリアランスの狭いフレームが今、中古市場に大量に出回っている現状。

個人売買やオークションも一般的になり、中古市場も活性化している中「カッコいい」「一目惚れ」だけでこれらのフレームに手を出して、

現在の標準=ワイドリム&25Cのホイールとタイヤが取り付けられない。

このような事態が多発してしまわないかと危惧しています。

また、過渡期のエアロフレームでは内装ワイヤーの取り回しの設計が悪くて、腕の良いプロショップで完璧に整備しても『引きが重い』『ブレーキや変速の操作性が悪い』フレームも存在します。

個人的な好みで言えばダイレクトマウントのリムブレーキも、整備性や操作性、そして引きの軽さの問題から好きになれません。
特に握力の弱い女性にはリムブレーキダイレクトマウントは、個人的にお勧めは出来ません。

Twitterをやっていると特に感じるのですが、お気持ち最優先で「好きになったバイクに乗るのが1番」と詳細なスペックや仕様を調べたり検討しないで、その場の空気と雰囲気で背中を押す傾向が強いです。

部品の互換性に制限があったり、内装ワイヤーの引き回しに問題のある中古車を「これカッコいい!」とツイートする人も少なくありません。

気に入った自転車に乗ることも大切ですが、仕様や互換性の問題も考えて、先々の部品の入手やアップグレードで長く乗り続けられるのか?整備性は?なども考慮すべきではないかと思うのです。

チューブレス対応

チューブレス対応ホイールも増えています。個人的にチューブレスタイヤの乗り味が好きで愛用しているのですが、チューブレスはメリットばかりではありません。

チューブレスリム断面図とハンプ

チューブレスホイールにはハンプと呼ぶ盛り上がりがあって、ここにタイヤビートがピッタリと収まって密着し空気漏れを防ぎます。

チューブレスタイヤには必要なハンプなのですが、クリンチャータイヤを使う場合にハンプがあるためにビートを落としにくい=タイヤを外しにくいことになってしまいます。

チューブレスで運用しているなら、そのデメリットも理解して運用しているので問題にはなりにくいのですが、ビートを落としにくい=タイヤを外しにくいと言うスペックは初心者サイクリストにも優しい扱い易い仕様とは言えません。

出先でのパンク、自分の手でチューブ交換が容易で扱い易い仕様の方が良いと思うのですが・・・

自分自身でタイヤ交換したりチューブ交換したりする際にも、脱着が容易であるに越したことはありません。

Twitterでも「タイヤを嵌められない」「タイヤが外れない」「チューブ〇本ダメにした・・・」ツイートの多いこと・・・

ホイールやタイヤひとつとっても「好きなの買え」「気に入った機材が1番」だけで済ませることなく、扱い易くいざという時に困らない仕様の組み合わせを勧めてあげた方が親切ではないかと感じます。

組み合わせや部品の選択次第で扱い易さやメンテナンス性が大きく変わってしまうのですから。

フックレスリムも登場し、フックレス適応タイヤも今後は増えてくるでしょうけれど、現時点で使えるタイヤは何か等も考慮しないといけません。

チューブレス対応ホイールが増えているのは個人的には歓迎すべきことですが、扱い易いハンプ無しのクリンチャー専用ホイールを残しておいて欲しいところです。

ロードバイクのこれから・・・そして何を買うべきなのか

サイクリスト1人1人の楽しみ方や走り方のスタイルが多様化し、100人のサイクリストがいれば100通りの楽しみ方や好みや志向性の違いがあります。

レースに使うのかサイクリング的に使うのか、ステップアップを考えているのか、メンテナンスや部品のアップグレードを自分自身の手で楽しみたいのか・・・などなど

好みや志向性によってフィットする最適な1台も変わってきます。

ホイールやタイヤの規格と流行を考えるとリムブレーキにこだわりが無ければ、初めてのロードバイクをこれから買うならばディスクブレーキ車でワイヤー類完全内装ではないバイクが無難かなとは思えます。

規格や仕様が変わりつつある今だからこそ、よく検討を重ねた上で自分にとって最適な、後悔のない買い物ができたら良いですね。

シマノ(SHIMANO) RD-R8150 Di2 12S SHADOW シリーズカラー
シマノ(SHIMANO) RD-R8150 Di2 12S SHADOW シリーズカラー