INEOSがディスクブレーキへ乗り換えを発表

2021年9月21日

PINARELLO DOGMA F Disc

リムブレーキは終焉を迎えるのか?

これまで自転車ロードレース世界最高峰の舞台であるワールドツアーで頑なに、そして保守的にリムブレーキ仕様のバイクを使い続けていたTeam INEOS Grenadiers。

ディスクブレーキによる重量増と、スルーアクスル化によるホイール交換の所要時間の大幅な増加がその理由とされています。
※ピナレロDOGMAはF12の代までは、各社ハイエンドと比較すると少々重かった(Xライトを除く)。ノーマルF8,10,12はUCIの車両規定6.8kgを下回るには程遠かったです。

そのTeam INEOS Grenadiersが満を持してDOGMA F Discを今後レースで使っていくことを発表。

正確にはGrand Prix de DenainからParis-Roubaixまでの間はDOGMA F Discで参戦すると公言。

リムブレーキは今後レースで使用しないと宣言した訳ではない。テスト段階でありR&Dを繰り返しディスクブレーキ実戦投入への運用ノウハウを蓄積していくのでしょう。

プロチームの車両は我々一般ユーザーが考えているディスクVSリムブレーキのような単純な機材の優劣(それぞれに長所短所がある)だけではありません。
サポートカーからのメカニックの仕事に於いてどちらが有利か、メカトラブル時の所要時間など総合的に判断しないとなりません。

PINARELLO DOGMA F

シマノR9200系デュラエースに先行してNEWモデルが発表されたPINARELLO DOGMA F

Xライト並の軽量化とその価格(フレームセット税込み935,000円也!)が話題となりましたが、フレームに内装用のジャンクションA(EW-RS910)の埋め込み穴が無いことからR9200系デュラエースの仕様、ジャンクションが不要になるスペックが予測から確信へと変わりました。

“Working closely with Pinarello and Shimano, we will continue to develop the all-round disc package, optimising weight, the integration across Dura-Ace, and improvements in the quick release system.”

https://www.ineosgrenadiers.com/article/grenadiers-to-race-on-pinarello-dogma-f-disc

ピナレロはシマノと緊密に協力して、オールラウンドディスクパッケージの開発を続け、重量の最適化、Dura-Ace全体の統合、クイックリリースシステムの改善を行います。

上記訳

過去ここぞという場面でINEOSはライトウェイトのホイールを使用していました。

ホイールも大幅にモデルチェンジした次世代R9200系デュラエース。フックレスリム化が採用されていないとは言え、ようやく競合他社に追いついた感があるシマノのホイール。
今後のワールドルアーにおけるプロロードレースシーンで、INEOSにどのように使われていくのかにも注目です。

ディスクVSリムのブレーキ論争

ディスクブレーキかリムブレーキか。それぞれに特徴があり長所短所がある。

リムブレーキのロードバイクで適切な機材選びとセッティング、適切なメンテナンスを施して制動力を維持しているサイクリストは限られている印象です。

リムブレーキでも指2本で簡単にロックする程ブレーキは効くし、スピードコントロールなら指1本で十分なほど。
流石に雨だと制動力は低下しますが、MAVICカーボンリムは雨天でもそれなりにブレーキが効きます。

緊急回避の急制動で指2本でフルロックさせてしまった後タイヤとブレーキが良く効くMAVICカーボンホイール
緊急回避の急制動で指2本でフルロックさせてしまった後タイヤと、ブレーキが良く効くMAVICカーボンホイール

ブレーキの効きが悪いリム(特にカーボンリム)は今だに多いし、ダウンヒルでブレーキかけっぱなしと言うサイクリストも多い。

ブレーキの制動力を維持するためには、リムブレーキはセッティングと定期的なメンテナンス、そしてカーボンリムでのダウンヒルではライディングテクニックが必要になります。

リムブレーキ車のブレーキ制動力は徐々に劣化していくのと比較して、ディスクブレーキ車はメンテナンスをしなくても、パットが寿命を迎えるまでほぼ初期の制動力を維持します。

ブレーキの性能と制動力を維持するために、リムブレーキはノウハウと手間や技術が必要になるのと比べて、ディスクブレーキは誰でも初期性能が維持できる(部品交換時期を迎えるまで)。この違いは大きいと思う。

アマチュア一般サイクリストの使用機材として、どちらの制動力が優れていて安心して使えるブレーキシステムなのかを考えるとディスクブレーキに軍配が上がる。

bistarai.info

これから新しく始めるなら、ディスクブレーキがお勧め!

ディスクブレーキは油分の付着さえ気を付ければノーメンテで初期の制動力を維持し、発熱によるカーボンリムの破損問題も起きません。

特に内装化されたフレームではセルフメンテナンスの難易度が格段に上がり、メンテコストも上昇してしまいますが、安全性に関わる制動力の維持はサイクリストにとって重要事項。

初心者サイクリストを含めロードバイクやスポーツバイク普及のためには、ディスクブレーキの普及は世界的に見ても必然と言える流れなのだと感じています。

僕個人としてはリムブレーキでも十分だと感じていて、ディスクブレーキにする必然性を今のところ感じてはいません。
適切な機材とメンテナンスで、ダウンヒルで握力が無くなってしまうようなこともありません。

しかし今後の時代の流れから、所有するバイクとしてLOOK 785 HUEZ RSが最後のリムブレーキになるかもしれないとの想いもあります。

プロロードレースシーンでリムブレーキ派だったINEOSが、ディスクブレーキを今後どのように使っていくのか。

それと並行してスポーツバイク普及の為に、ディスクブレーキが各完成車メーカーで増え、ディスクとリムとブレーキの仕様が選択できた車種でもディスクブレーキのみのラインナップになりつつあります。

プロロードレースと市場の動向双方で、今後の状況を見極めていく必要を感じます。

ブレーキ制動力の初期性能維持。これが十分に語られていないし知られていないように思う。
ノーメンテで初期性能を維持するディスクか、はたまたメンテが必要な(ノーメンテでは劣化していく)リムブレーキか。
ロードバイクの購入を検討している人は、安全性に関わる重要なブレーキについて、購入前に良く調べて欲しいと願っています。

シマノ(SHIMANO) リペアパーツ カートリッジタイプブレーキシュー用シューパッド R55C4 (2ペア入) シューのみ Y8L298062
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