ウォブル現象

2019年7月27日

ウォブル現象

ダウンヒルで一定以上の速度に上がったとき、大きな揺れが突然発生しコントロールが出来なくなる現象。ロードバイクではおよそ60km/h以上の速度になったとき、まれに発生する場合がある。

僕は過去に遡っても1度もウォブル現象発生の経験はない。滅多に発生する事例ではないけれど、起きてしまうと非常に危険な状況であることには違いない。
知り合いに数人経験者がいる。バイクコントロールが出来ない危険な状態になるので、僕なりにこのウォブル現象を仮説を交えて考察してみようと思う。

ウォブル現象動画

動画の1分20秒あたりから。ダウンヒルでこんな状況になったら怖い!落車転倒しないで回避できる自信はありません。

オートバイにおけるウォブル現象

特定の速度以上の高速域になると、走行安定性を損なう振動現象が発生する場合がある。
120km/h以上で発生することが多く、タイヤの影響を加味した車体の剛性、重心位置などのバイク特性が関係していると考えられますが、実際に経験したライダーにとっては「原因はこれだ」という確定がしづらく、分かりにくいものです。
タイヤ特性を含めた車体の剛性やアライメント、ホイールの重量バランス、重心位置、積載物、空力に至るバイク特性が関係しています。

「ウォブル現象」をGoogleで検索すると、予測変換で「ウォブル現象 ハーレー」と出る。ハーレーダビッドソンには事例が多いのだろうか?
エンジンの振動由来で共振が起きやすそうに思えます。

シミー現象

シミー現象は、車体振動と路面のショックが共振を起こし、ハンドルの震えやタイヤの震え、ひどい時には車体がガタガタと揺れる症状を起こす現象。自動車、自転車、オートバイ、航空機など、乗り物全般で発生する。

自転車の場合は走行中に、ハンドル及び車体全体が上下左右にガタガタと揺れ、ハンドル操作ができなくなります。腕力で抑え込むことは無理。

安物ママチャリの荷台に1,5Lペットボトル8本等の重量物を積載すると、ハンドルや車体がブルブルと大きく揺れ、走行中に操作できなくなる場合がある。これを低速シミー現象と言う。

低速で発生するのがシミー現象、高速域で発生するのがウォブル現象だそう。ここではロードバイクで高速域で発生する大きな揺れ、振動をウォブル現象とし、この現象について考察してみます。間違いがあればご指摘ください。

原因は?対策は?

ウォブル現象は共振であり、特定の1か所だけが原因と断定できない場合が多い。ロードバイクと比較して事例の多いオートバイでも、車体の剛性やアライメント、ホイールの重量バランス、重心位置、積載物、空力に至るバイク特性など、様々な要因が関連していると言われています。

共振

余計な振動が発生する原因となる各部のネジの緩み、特にヘッド、BB、ホイールにガタは無いか。ホイールの脱着の際に誤った取り付け方になっていないか。

重心位置

サドルに体重を預けるよりも、ペダルに荷重を掛けた方が重心は下がる。ブラケットポジションよりもドロップバーの下ハンを持ち、前傾姿勢を深くした方が重心は下がる。極端な後輪荷重になり、前輪にほとんど荷重が掛かっていないような姿勢も原因のひとつになりそう。

積載物

ロードバイクの場合には当てはまらないけれど、ツーリング車の場合は昔から後輪側だけに重量のある荷物を積むのは良くないと言われていました。

フレームやホイール

フレームやホイールのそれぞれの剛性。ステアリングの安定性、ヘッドアングル、オフセット、トレールの寸法。これらも直接の原因にはならなくても、ウォブル発生時の揺れの大きさとかに関係しそう。

ホイールの重量バランス

カーボンディープは特に重量偏差が大きい。ウォブル現象経験者の知人も皆カーボンディープリム使用者だった。
但し、サンプル数が非常に少ない中での考察だし、カーボンディープホイールなら必ず発生してしまう現象でもない。ウォブル現象は発生が稀な現象なのです。
カーボンディープがダメと短絡はいけない。

知人の事例では、ホイールの重量バランスを取れるショップで、バランス取りを施工後はウォブル現象は発生していないそうです。

事例が少ないので、ホイールの重量バランスを取れば必ず押さえられるとも言い切れない。
ホイールだけの原因ではなく、ライディングフォームやフレームを含めた全ての要因が影響し合っているのだとは思う。
様々な部品の集合体であるロードバイクが、特定の条件が整った時に不幸にも発生してしまう場合がありえるウォブル現象。

知人のホイールはショップで片輪30g近いウェイトを付けて、ホイールの重量バランスが整ったそうです。ホイールバランスを取る前は、30g近いホイールの重量偏差が下記の図の赤矢印のところにあったとします。

ホイールバランス

自転車では前後輪の位置を合わせるなんて事はしない。走る度にその都度、ホイールの重量偏差のある位置が変わる。
知人の事例でも60km/h以上の速度で必ず常に発生していた訳ではないとの事。図Aの状態のときなのか、図Bの状態のときなのかは分かりません。
それぞれ重量偏差のある前後のホイールの位置=位相が特定の状態と言うか、一定以上のずれが生じた場合、又は一定以内の範囲になったときに、ロードバイクのウォブル現象が発生するのではないかと思う。

共振

共振(きょうしん、英: resonance)は、エネルギーを有する系が外部から与えられた刺激により固有振動を起こすことである。特に、外部からの刺激が固有振動数に近い状態を表す。共鳴と同じ原理に基づく現象であるが、電気や固体については「共振」の語がよく用いられる。共振の特性を表す無次元量としてQ値が用いられる。値が大きいほどエネルギーの分散[要曖昧さ回避]が小さく、狭い振動数の帯域で共振する。

共振のシステムとして、振動する振り子が単純な例として挙げられる。振り子を押して系に振動を励起することにより、振り子はその固有振動数で振動を始める。振り子の固有振動に近い周期で振動を与えると、振動の振幅は次第に大きくなる。しかし、固有振動と大きく異なる周期で振動を与えると、振幅は大きくならない。

wikipediaより引用

エネルギーを有する系とは、ロードバイクの場合ではライダー+自転車。ライダーの体重もライディングフォームも、バイクも部品構成も、同じ条件を整える事が不可能なほど、それぞれが違う訳で・・・判ったようで分からなくなってきた。

サイクルスポーツ誌2019年9月号

第2特集:タイプ、素材別にパーツの振動を計測「乗り心地を科学する」

安井さんの特集記事。振動を周波数帯とその強弱、減衰の速さ等時間軸でも計測して、ロードバイクの乗り心地を科学的に分析している。
ウォブル現象の記事ではないけれども、共振や振動に関わる記事で、全く無関係とは言えないと思う。着眼点の素晴らしい、考察も鋭い良い記事だと思う。

まとめ

まとめられません。以上が僕の現時点での仮説です。ウォブル現象はロードバイクにおいて、必ず発生する現象ではなく、事例も少ない。
知人はホイールバランスで「たまたま」直っただけなのかもしれない。何グラム以上の重量偏差があるホイールだとウォブル現象が発生しやすい、とか仮説は立てられるかもしれません。
ただその仮説も異なるフレームに異なるライダーという条件が変わると、ウォブル現象は起こらなくなるかもしれず・・・。

例えば、重量偏差片輪30gのホイールで体重55kgのライダーが、少々修正の必要はありそうなフォームで60km/hの速度以上になるとウォブル現象が発生した。
体重75kgダウンヒルが得意で速いライダーが、同じホイールを使っても発生しなかった・・・なんてこともありえそう。

固有振動が発生する原因となりそうなところをひとつずつ潰していくしか、現時点では対策はないのかもしれない。
サイスポの安井さん、記事書いてくれないかな。
LOOK 785 HUEZ RSの記事では安井さんをdisってしまった事が悔やまれるw。でも正直な僕の感想なのでLOOKの記事の書き換えはしないよw。