ピエト・モンドリアン
ピエト・モンドリアン(Piet Mondrian)
オランダ出身の画家。1872年3月7日生まれ~1944年2月1日没。ピカソやブラックが提唱するキュビズムの影響を強く受ける。その後、具体的な対象物を描かない抽象画への志向を強める。
キュビズムとは20世紀初めのパリで、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって生み出された、新たな美術表現の試み。 一つの対象を固定した単一の視点で描くのではなく、複数の視点から見たイメージを、1枚の絵の中に集約し表現した。大きな革新であり変革でもあり、20世紀美術史上の革命と言われている。
モンドリアンは自身の作風と芸術理論を新造形主義と名付ける。対象をどのように描くかではなく、その形そのものに美が宿るのだと。絵画の枠を超えて、デザインや造形、設計に通じるものがある。
新造形主義は垂直線と水平線によって図柄をデッサンし、直線のみによって形作られるグリッド(格子)を赤、青、黄の三原色を基本に配色。他の色は白、黒が使われるのみ。一部に灰色を補色に使用する。神智学に基づく合理性の高い、秩序と調和の取れた構成になっている。
デザインやファッションに多大な影響を与えた
ファッションやデザインのモチーフとしても使われ、モンドリアン絵画の象徴となっている作品コンポジション。数々のバリエーションを経て赤、青、黄のコンポジションにたどり着くまでにおよそ10年。
1965年にイヴ・サンローランもドレスにそのデザインを取り入れている。ナイキやコンバースのシューズにも取り入れられている。
「モンドリアンルック」はサンローランを筆頭にしたファッションデザインのことだけれども、自転車乗りにとっては自転車メーカーのLOOKや、ツールドフランス5回優勝のレジェンド、ベルナール・イノーが在籍していたプロチームLa Vie Claireのこと。
La Vie Claireプロサイクリングチームの正式なチーム名は、La Vie Claire Terraillon→La Vie Claire Wonder Radar→TOSHIBA LOOK La Vie Claireと変遷。
ラ・ヴィ・クレールは実業家ベルナール・タピがオーナーのフランスの健康食品チェーン。LOOK社や電池や自転車のライトを製造していたWONDER社もタピの所有企業
Terraillonも当時はタピが所有していた体重計やキッチンスケール、時計や家電を製造しているフランスの企業。
サッカーチームを所有し会長職に収まったり、アディダスの筆頭株主だった過去もある。テレビ出演や政治家として名を馳せたこともある野心家。
東芝以外は全てベルナール・タピが所有している企業がスポンサーになていた。LOOK、La Vie Claire、WONDER社の企業ロゴには、全てモンドリアンカラーがあしらわれていた。だからチームウェアもモンドリアンカラーになったのですね。
ルコックスポルティフからもモンドリアン柄のサイクルジャージが一時期発売されていて、まるでLOOKだ!と話題になっていた。
サイクリングの休息中にサイクリストではない人から「こんにちは。すいません、話しかけてもいいでしょうか?」と突然声を掛けられたことがあります。
話が進むと、なんとその人はニューヨーク近代美術館にモンドリアンの赤、青、黄のコンポジションを鑑賞しに行ったことがあるという人でした。
楽しく話ができ、出会いって素晴らしいな、と思えた経験でした。モンドリアンカラーのLOOKに乗っていると、こんな出会いにもめぐり合えるんだなと。
モンドリアンにインスパイアされデザインされた住宅
https://www.instagram.com/p/BuHU-KTBiwQ/ https://www.instagram.com/p/BuO4BzHBJtp/ https://www.instagram.com/p/Bub7st9h61H/Branimira Ivanova(ブラニミラ・イヴァノヴァ)さんとDesislava Ivanova(デジスラヴァ・イヴァノヴァ)さんの2人のデザイナーが、このインテリアデザインを手掛けた。
超かっこいい!凄い!でも僕のような俗な人間には、生活感が全くない部屋は絶対に似合わないな。おそらく僕には買えないような価格だろうし。
そして、こちらは・・・
実在する住宅ではないそうです。
生誕150年記念モンドリアン展
西新宿SOMPO美術館で2021年3月23日〜6月6日の期間、モンドリアン展が開催されます。
東京都新宿区西新宿1-26-1
※オンライン事前販売チケットと当日チケット有り。コロナ禍における対策で時間指定入場制となっています。
※当日窓口チケットは定員に空きがある場合のみ。オンラインチケットの事前予約が優先となっています。
その他モンドリアン展の詳細や注意事項はSOMPO美術館『モンドリアン展』公式サイトでご確認ください。
ミュージアムショップでコンポジション柄の様々な公式グッズが販売されている模様。
是非足を運んでみようと思います。
智慧と青黄赤白黒とモンドリアン
Amazonでも生活雑貨やポスターを始め、モンドリアンカラーのグッズが今でも沢山あります。
モンドリアンの新造形主義は時代に流されることなく、一時の流行で消える事は無い。理にかなった造形なのだなと思います。優れたものは決して消え去ることがない。時代を超越し不滅なのだと。
幾何学的に直線で区切られた四角形に青黄赤の色彩。
和食の盛り付けの基本に青黄赤白黒(しょうおうしゃくびゃっこく)の概念があり、この5色を仏教では五色(ごしき)と呼び智慧を表している。
智慧(ちえ)とは一切の現象や現象の背後にある道理を見極め、真理に即して正しく物事を認識し判断する能力の仏教用語。
モンドリアンは仏教に通じていたのだろうか。
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