スギノ・サイクロイド非真円インナーチェンリング
スギノ・サイクロイドCY4-SHC34T導入
ROTORやRIDEA等の楕円チェーンリング、正確には非真円チェーンリングに興味を持ってはいました。バロックギヤが発売されたときは、かなり購入欲をそそられた。けれども、なんとなく買わずじまいで月日が流れていた。
スギノ・サイクロイドⅡはスギノ独自の非真円形状チェーンリングです。ペダリングをアシストするオートフォーカス機構により、他には無いソフトな踏み心地で、効率的なペダリングが可能となります。
所謂楕円形状のチェーンリングとは一線を画する、全く新しい高性能チェーンリングです。
オートフォーカス機構とは、大きなペダリング踏力が掛かるとチェーンが歯先方向に移動し、疑似的にチェーンリングの直径が大きくなるしくみ。踏力のピークポイントに合わせて自動調節されるため、いつでも非真円形状の最大効果を得ることができます。
このオートフォーカス機能のためなのだろう、チェンリングの歯は山が高くて、どう見てもチェーン外れの心配がなさそう。真円ギヤ使用時には過去1度もチェーン外れの経験が無く、チェーンウォッチャー不要論を唱えていました。チェーン落ちのトラブルや変速性能が落ちることに疑問を持っていたので、非真円チェーンリングの導入には慎重派だったのかもしれません。
ROTOR使用者は「ギヤ1枚分軽くなった」と絶賛し、バロックギヤ使用者は「これはいい!軽い!チェーンが外れることはないし、変速性能も落ちていない」との声を横目に、遅ればせながらスギノ・サイクロイドギヤで非真円チェーンリング・デビューとなりました。
その昔シマノ・バイオペースは使っていたことがあるので、正確には楕円ギヤ初体験ではないのだけれどもロードでは初めて。スギノもサイクロイドギヤという名の楕円チェーンリングを昔発売していたので、CY4-SHCはサイクロイド2という名称になっている。年がバレるかな?
スギノ・サイクロイドギヤCY4-SHCスペック
シマノ4アームクランクPCD110アウター50T対応専用
対応クランク:FC-R9100/9000、FC-R8000/6800、FC-R7000/5800
※シマノFC-R510には非対応
歯数:34T/32T
パイオニア及びシマノ製パワーメーター使用時に取り付け可能なのは34Tのみ(32Tは組み合わせ不可)
カラー:ダークグレイ/レッド
税抜定価:11,000円
実測重量:26.0g/34T
2021年2月追加情報
シマノ製4アーム11速PCD110アウター52T対応サイクロイドギヤが発売されました。
歯数:36T/33T
税抜定価:12,100円
スギノ・サイクロイドCY4-SHC取扱説明書ダウンロード(pdf)
取付時の注意事項
取付位置と表裏は間違いのないように合わせる。シマノクランクのフィキシングボルト(チェーンリング取付ボルト)のサイズはトルクスT30。6角レンチではなくトルクスになっています。ヘックスレンチを無理やり使ってナメてしまう人もいるみたいです。知恵の輪のようだったけれども、右クランクを自転車から外すことなく交換できました。
それにしてもシマノ・デュラエースのアウターチェンリングは軽い!外した時に改めて実感しました。
チェーンが図3の位置(インナー×トップ側)の位置にある場合、チェーンがアウターチェーンリングあるいはフロントディレーラーと接触し、音鳴りが発生することがあります。
との注意事項がありますが、僕のバイクで50×34T(サイクロイドCY4-SHC)の組み合わせの場合では、インナー×トップでも接触はしませんでした。※旧型のシマノ9070Di2リアディレーラーはインナー×トップ制限機能がないので、インナー×トップ入れられるのです。ほとんど使わないけれど。まったりグループライドではインナー×トップ側から2段目、3段目は結構使う場合があります。
インプレッション
これはお約束のセリフを言うしかありません。
ギヤ1枚分軽くなった!
シッティングでのペダリングでは踏み込みが明らかに軽い。ダンシングで意識して強く引き足を使ったときも、明確に軽さを感じます。お世辞抜きにリアスプロケットを1段シフトアップして丁度いい感じです。導入が遅かった事を後悔しました。なんでもっと早く使わなかったのだろう。
短所はないのかしら?
変速性能
変速性能は問題ないレベル。問題ないとは言っても全く真円ギヤと変わらない訳ではありません。シマノのアウターチェーンリングは、変速ポイントが90度ずつの位相でクランク1回転360度のうち4か所あります。
インナーギヤが非真円だとフロント変速するタイミング(クランクの位相)によってギヤ半径が異なる=アウターギヤとのチェーンの移動距離、間隔が異なる。そのためにインナーギヤの半径が小さくなっているポイントでのシフトチェンジは、インナーからアウターへのシフトアップ時は若干遅くなります。
つまり、フロント変速のタイミング次第で変速性能の速い遅いの差が発生します。
アウターからインナーへ落とすときは、全くと言っていいほど違いは感じられませんでした。
意図的にアウター↔インナーのシフトチェンジを踏み込みトルクを変えたりしながら繰り返してみましたが、チェーン落ちなどのトラブルは一切無し。
変速性能に関してはDi2に助けられている面もあると思います。シマノ電動コンポーネントDi2フロントディレーラーはシフトチェンジの際に、一旦オーバーストロークしてから適正位置に戻る、といった動作をする。
これはDi2の大きなメリットだと感じています。リアディレーラーの変速はワイヤーでも実質同じような動きになります。
フロントディレーラーでオーバーストロークの動きから適正位置に自動的に戻るDi2の動き方は、ホント良く考えて設計されているなと思います。
フロントディレーラーの変速調整は真円ギヤから全く変更していませんが、ワイヤーだとチェーンが外れない範囲内で僅かに外側へ調整が必要になるかもしれません。
BaroqueGear Ⅲ 34±2 90° 赤-Redペダリング
踏み足がスカッと踏み抜ける感覚で軽い。1時から5時くらいの間の踏み込みが明らかに軽いです。
70~100回転くらいで意図的にケイデンスを変えて乗ってみました。ケイデンスの違いによる体感の変化はありません。ギヤ1枚分軽く感じること以外は。
しかし・・・ペダリング効率を意識したロングライド的なペダリング(丸く綺麗に回す事を意識する)をすると、ペダルの下死点付近で真円ギヤとは異なる感覚があります。ダメ出しをしてイヤになる程ではありません。
踏み足や引き足がギヤ1枚分軽く感じられるのとは裏腹に、下死点付近=6時の位置プラスマイナス30分くらいでは、始めは重く遅く感じられました。感覚的な慣れの問題なのか、非真円ギヤなりのペダリングが出来るようになったのか、今では違和感は感じられなくなりました。
ペダルの下死点付近では軽~く後方に持っていく程度のトルクしか掛かっていないからだろうか。
要は楕円ギヤなりのペダリングが出来るかどうかなのか?
回すペダリングとパワーで踏み抜くようなペダリング。「楕円ギヤ合わない」と言うサイクリストは後者が多いように感じます。
上死点でも下死点でも真下に踏み抜いているような、パワーとトルクは凄いけれどペダリング効率はあまり宜しくない。
他のスポーツ経験があり、基礎体力に優れた体格の良いサイクリストにも意外とこのタイプが多い。
ペダリング効率は40%前後かそれ以下、だけど速い。こんなタイプは真円が良いというサイクリストが多いように感じています。
ヒルクライム
軽い!楽チン!ギヤ1枚分軽く感じられるのは大きなメリット。楽することも、シフトアップして早く走ることもイケる。シッティングでもダンシングでもこの感覚は変わりません。推定15%以上、道路標識が無かったので標識のある12%の坂との比較で感覚的な推定、の登りでも有効性を凄く感じました。キツかったけれど・・・
ヒルクライムでこれは強力な武器になる。
スギノ・サイクロイド使用感まとめ
スギノに限らず非真円チェーンリングは、自分のペダリングに相性が合うか合わないかがあると思います。試したけれど真円ギヤに戻した人もいます。スギノはインナーのみなのでヒルクライム用途が目的の中心になると思いますが、相性が合えばメリットやその効果は大きなものがあると思います。
僕個人としては効果も感じて気に入ったスギノ・サイクロイドギヤ。しかし謳い文句のオートフォーカス機能が実際問題どのように動作しているのかは良くわかっていません。
大きなペダリング踏力が掛かるとチェーンが歯先方向に移動・・・と言ったって、トップレーサーが修善寺CSC心臓破りの坂でアタックを掛けた時と、ゆるポタ派のサイクリストがツーリング中の登りで頑張った時とでは出力が大きく異なる訳で。新品のチェーンと伸びたチェーンとでは、オートフォーカス機能の動作に違いが発生しそうな気もします。
でも、実際に使ってみて良かったので納得しています。愛用品になる予感。
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