愛三工業レーシング大前翔選手

2020年7月26日

慶応大学医学部兼愛三工業レーシング所属プロロードレーサー、大前翔選手のブログを紹介します。

僕の知る限り現役の選手で、引退した選手を含めても、自分でWordPressブログを立ち上げて運営している選手は大前翔選手だけです。
※他にいたら教えてください。

大前翔選手

大前翔(かける)選手のプロフィール
  • 東京都出身
  • 1997年8月生まれ
  • 身長172cm/体重67kg
  • 慶応大学医学部(休学中)
  • 脚質:スプリンター
  • 2018年全日本学生選手権個人タイムトライアル優勝、個人ロードレース3位
  • 2018年全日本自転車競技選手権U23個人ロードレース3位
  • 2020年7月25日JBCF東日本ロードクラシックJプロツアーカテゴリー3日目3位入賞

記事も非常に理論的。選手に限らず速い人の中には、機材の評価など感覚的に「良い」「悪い」は鋭く感覚的に感じ取っているのだけれども、言語化を苦手とする人もいらっしゃる印象。

何を偉そうに。

朝日新聞デジタルでも紹介されています。

医大生、銀輪で五輪目指す 休学しプロの世界に挑戦

Twitterのブロガー界隈には、インフルエンサーになりたい、儲けたい、フォロワー増やしたいが目的で、慶大生を名乗る偽者も存在します。

Twitterもやってます。

大前翔officialsite

某若手実力派選手が交差点で信号無視をした動画がネット上に拡散されたとき、多くの関係者や選手は的外れな擁護をしていました。
しかし大前翔選手は違った。

論点は「騒ぐ」「誹謗中傷」ではなく、道路交通法違反にあたる「信号無視」です。内密に所属チームに連絡して・・みたいな擁護の中で真っ当な意見を述べています。

企業で不祥事が起きたときの隠蔽体質、ランス・アームストロング以前の自転車競技界におけるドーピング問題。
内々に処理しようとしても、何の解決にもならない事例は枚挙にいとまがない。
身内でのかばい合いは解決の方向へは向かいません。

体重を使ったペダリング|ロードバイクアカデミー

【ロードバイクトレーニング】全体重をペダルに加えたら何ワット出るのか?|ロードバイクアカデミー

【再検討】体重を使ってロードバイクに乗るのは本当に”ラク”か?|ロードバイクアカデミー

宇宙物理学者でサイクリストのnupuriさん、東京大学工学部卒で2017年アンカーのカタログ表紙も飾っている西園良太さんからの指摘を受けて加筆した記事

西園良太さんの訳書

大前選手は自身の経験と数学的な考察から記事を書いています。nupuriさんと西園良太さんさんの指摘があるように、理論上は一旦下に落ちた質量(この場合は体重)を再度上に上げるエネルギーが必要になる。

ただ、ペダリングの感覚的に大前翔選手が言いたいことがわかる気がする。

体幹トレーニングをすると、効率よくペダリングが出来ている感覚があり、速度維持が楽になったり早くなった感覚がある。

効率の良い効果的なペダリングをするにあたって『体重を乗せたペダリング』あくまでも感覚的に、は個人的にはアリだと思う。
踏み足が遅れがちな人に「ペダルが上死点を通過したら素早く踏み込むように」と言うのと同様に。

微分積分なんて、とっくの昔に忘れているけどね

逆説的に体重を乗せていないペダリングを考えてみる。

極端な例でママチャリだと

サドルを極端に低く、ドカッとサドルに全体重を預けて(がに股カカトでペダリング)ペダリングの円運動にあわせて足の筋肉を動かしているだけ。
街中でも見かけるような…

ロードバイクでも

乗車の基準としてママチャリと同様に、サドルに体を預けてそこから前傾姿勢。サドル+ハンドルに体重の100%の荷重が掛かっているのが基本姿勢。
その状態から脚の筋肉だけを動かしてペダリング。
踏み足の反作用でサドルに掛かっている荷重は多少なりとも減少はする。

極端な例だけれども、より良いペダリングとは言えないのではないか。また、このようなペダリング、ライディングフォームだと、接触や路面のギャップでバランスも崩しやすい。

踏み足でサドルに体重が掛かっていないペダリング=体重を乗せたペダリング、とは言えないかなあ…
計測してサドルにかかる荷重をゼロに、と言う意味ではありません。出力によっても変わるし。
ライディングフォームとペダリング技術の向上として、と言う意味です。

数学的解析も必要だけれど、個人差のある中で感覚的にだけれども、体重を乗せたペダリングはアドバイスのひとつとしてアリだと思う。

北京五輪まで、陸上400mリレーの選手たちのトレーニング方法などを追っていた時期があります。

陸上短距離走でも、フォームやトレーニング方法は突き詰めていくと『自分にとって最適なもの』は人それぞれ異なっている。

塚原選手など、コーチや先輩に恵まれた環境だったけれども、最終的には自分に適したフォームを自ら模索していっている。

代表合宿でバトンの受け渡し区間20mに前後10mを加えた40m区間のタイムを計測する。

「上手くいったな」「タイミング良く渡せた」と言う感覚と、実際のタイムのズレを修正してすり合わせていく。

感覚と理論のすり合わせ

ロードバイクでもポジションやライディングフォームの基本値はある。けれども最終的には個人個人が微妙に異なったフォームになっている。
修正した方が良い場合もあるかもしれない。ちょっと人とは違ったフォームだけれど、その人には合っているフォームかもしれない。

プロ野球選手だって、バッティングフォームもピッチングフォームも驚くほどそれぞれが違っている。

唐突だけどクリス・フルームのフォームってカッコ悪いよね

より良いペダリングのためのアドバイスのひとつとして『体重を乗せたペダリング』はアリだと思う。

個人差がある中で理論的な回答は見出しにくいが、理論的な分析を忘れてはいけない。

今言えることはここまでです。

今後も考えていきたい。

追記

2021年シーズンをもって大前翔選手は愛三工業レーシングを退団し現役を引退しました。

2022年3月ご結婚されました。おめでとうございます。