東京オリンピック男子個人ロードレース代表内定
10月12日スペイン・バスク地方で行われたプルエバ・ビリャフランカ・オルディジアコ・クラシカ
Team NIPPO DELKO One Provenceの中根英登選手、石上優大選手がエントリーしているUCI1.1のこのレースに、増田成幸選手をエースとする宇都宮ブリッツェンが緊急参戦。
僅差で代表枠を争っているポイント争いに終止符が打たれ、東京オリンピック自転車競技男子個人ロードレースの代表2名が内定しました。(正式決定はJCFの発表待ち)
2020プルエバ・ビリャフランカ・オルディジアコ・クラシカ
天候は雨、気温は9℃。アップダウンの激しいコースプロファイルで、レースはスタート直後からハイペースな展開となる。1時間を経過しても平均時速は45km/h超えている。集団が緩んでペースが落ちることはない。小刻みなアタックはあるが常にハイスピードなレース展開のため、ついていけない選手が脱落していき、集団の人数が絞られていくサバイバルレースの展開になる。
増田成幸選手は常に集団後方に位置し周回を重ねていく。急遽日本から遠征して参戦したこのレース。凄まじいハイペースな展開に、集団についていくだけでも凄いこと。
日本人選手が脱落しないで付いていっている!
苦しかったと思うけど、増田選手はフォームの乱れもなく淡々と周回を重ねているようにも見えました。
そしてUCIポイントが付く20位で完走。逆転で東京オリンピック代表が内定しました。加えて増田選手はこのレースでナイスガイ賞を受賞した。
出走15チーム98人。完走50人。約半数がDNFとなる厳しいレースとなった。
レース結果:UCIポイントが付与される上位25位まで
Team NIPPO DELKO One Provence選手のリザルト。サイモン・カー選手が最終周回で逃げを決め独走で優勝!
中盤までプロトンに残っていた中根英登選手、昨年7位の石上優大選手は残念ながら途中棄権となりました。
自転車競技ロードレースがマラソンなどの他の競技と根本的に違うことは、チームメイトが勝利を収めればアシスト選手はエースのサポートとして働けば、リタイヤしても評価されるという事です。
アシスト選手はエースの風よけになり、レース半ばで力尽きて脱落する。完走が目的でも目標でもありません。エースの勝利や順位を上げることがチーム最大の目標であり、アシスト選手の個人成績は順位という数字ではなく、力尽きてリタイヤするまでに、どれだけエースをサポートする走りができたかに尽きるのです。
メディアの報道
Cyclowired.jp スペインUCIレースで増田成幸がUCIポイント獲得 東京五輪代表決定へ
バイシクルクラブ 五輪代表を決めた増田、スペインでのレース舞台裏
栗村修ブログ 増田成幸選手が東京五輪代表にほぼ確定
2020年10月14日時点での日本人選手のUCI獲得ポイントランキング
UCI獲得ポイントは中根英登選手がダントツで日本人選手のトップ。
中根英登 | 217P |
新城幸也 | 81P |
増田成幸 | 73P |
東京五輪男子ロードレース代表ランキング
UCIポイントに独自の係数を掛けるJCFの査定(pdf形式)での東京オリンピック代表選考獲得ポイント。
新城幸也 | 533P |
増田成幸 | 283.8P |
中根英登 | 282P |
僅か1.8ポイント差で中根選手が逆転、東京オリンピック代表の座を確実なものにした。
ワールドツアーチームに所属する新城幸也選手がビッグレース=係数の高いレースへの出場機会が多いため、ポイントは逆転します。また、国内チーム所属の増田成幸選手は、UCIポイントが付く海外レースへの参戦機会が少なくなってしまい不利になります。
今回のレースに限ってはエースとして臨む増田成幸選手と、アシストとしてチーム内での仕事を優先する中根英登選手。周囲は「このレースで代表が決まる」と注目するけれど、レースに臨む姿勢は異なっていたりする訳で。
それに加えてコロナ禍でのレース中止、海外渡航制限・・・
コロナは仕方のない事だけれども、さまざまな課題を抱える中での選手選考だったと感じます。
「獲得ポイントを基に選考委員会で決定する」としても、身内で回している役員の主観や忖度が介入してしまいそうですし…
UCIワールドチーム、プロフェッショナルコンチネンタルチーム、コンチネンタルチームと所属するチームが、参戦するレースが異なる選手を選考する難しさ。もちろん実力があるから上位ランクのチームに所属できるとも言えます。
世界で通用する選手を選考する。国内限定の選手を選ばないように、という意味では「係数」もあながち間違っているとも言えません。
日本一の称号を与える全日本選手権の係数は0.5でいいのか?コロナ禍で中止にはなったけれども…細かいツッコミは置いておきます。
ロードレースは人間模様を描くドラマだ!
レース後に投稿された中根選手のTwitter
サイモンありがとう🎉そして僕個人としてはいつも応援して頂いてる方々の期待に応える事が出来ず、オリンピックに出場し日本代表チームの結果を残す権利の獲得を逃してしまい申し訳ありませんでした。新城さん増田さんが東京オリンピックに出場します。日本代表チームへの応援よろしくお願い致します。 https://t.co/WHKm7jVBCq
— Hideto Nakane 中根 英登 (@hideto_252) October 12, 2020
増田成幸選手のコメント
宇都宮ブリッツェン公式Twitterから
本レース参戦にあたりプレスリリースでの文章に一部不適切な表現があり、関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び致します。
— 宇都宮ブリッツェンNEXT RACE🏁10/17 デジタルジャパンカップ🖥️🚴 (@blitzen_PR) October 12, 2020
謝罪はありましたが、説明は必要ではないかと感じます。
少なくともレース直前にライバル中根選手を動揺させてしまったのですから。
もしも増田選手が代表権を獲得していなかったら…発言が違っていたのでは?と勘ぐってしまいます。
迷惑をかけたと思うなら、WEBメディアの該当記事を削除するべき。
増田成幸選手と中根英登選手の称賛に価する走りにミソを付けてしまいそうなので、愚痴はこのへんで…
それに対しレース後は結果を真摯に受け止め、言い訳をしない中根選手の爽やかな態度は素晴らしいと思います。
悪天候、登りも厳しい過酷なコースでの高速レース。その中でプロトンに残った増田選手の頑張り。優勝したサイモン・カー選手をアシストしてチームでの役割を果たした中根選手。
両者の健闘に心から拍手を送りたいと思います。
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