TIMEペダルについて

2024年7月4日

TIMEエクスプレッソペダル

TIMEペダルを初心者さんにお勧めできない理由

独自のフローティング構造を採用した、他に例を見ないオンリーワンな機構を備えたTIMEペダル。

しかし・・・ですよ。

TIMEペダルはその理論に惚れて理解した上で「TIMEペダルが好きだから」「試してみたくて」など、明確な目的と動機があって使うペダルだと感じています。

SNSでは「初めてのビンディングペダルどれが良い?」と質問が多くあります。

この質問に自分が使っているからとTIMEペダルを進める人も少なからずいるのですが・・・。

僕はライドスタイルやメカニズムへの興味や探求心などが不明な相手に、TIMEペダルをお勧めすることはありません。

特徴的で長所も多いペダルではありますが、使い方やライドスタイル、好みが不明な相手にTIMEペダルをお勧めしない理由を挙げてみます。

歩くとクリートの減りが早い

TIMEのクリートは歩くとすり減るのが異常に早いです。

観光ライドやグルメライドなどのサイクリングスタイルで、休息や歩行要素多めだとすり減るのがとにかく早い。

シマノSPD-SLクリート比で10倍は大げさにしても、数倍はすり減るのが早くて余計に交換しなければいけない。

お財布に優しくない。シマノSPD-SLクリートと比べると実売価格で1,000円以上高いですし。
クリート位置合わせと交換の手間も増えます。

ペダルの製品ムラ、個体差が多い

TIMEペダルの軽量な点は魅力の一つ。しかしペダル後ろ側も軽くて重量バランス的に重心がシャフトに近い。

ペダルの後ろ側が重ければ、勝手に簡単にペダルのつま先側が上を向いてキャッチし易い。しかしシャフトの回転性能に製品ムラと個体差があるのに加えて、後ろ側が軽いTIMEペダルは物によってペダルのつま先側が上を向かなくなってしまう場合が発生します。

クリートでキャッチし難く嵌めにくくなってしまう例が起こり得るのです。

この問題を解決出来るTIMEに詳しいショップさんと懇意になるか、自己解決出来るサイクリストでないと手放しでTIMEペダルをお勧めすることは出来ません。

ベアリングの回転性能と価格が比例していない

シマノ製のペダルを始めカップ&コーン構造のペダルは、グレード差価格差がそのままシャフトの回転性能と比例します。

105<アルテグラ<デュラエース

精度が上がりスムースに回るようになっていきます。

TIMEペダルの回転精度やは全部一緒。グレードによる違いは無くて個体差と製品ムラだけ。

内部構造上、グリスの粘度や量によっても回転性能が左右されてしまいます。

価格差はチタンシャフトで軽量化されていたりボディの素材の違い。精度やベアリングの回転性能以外のところでグレードの差別化が図られています。

クリート取付位置の調整幅

TIMEクリートをシューズに取り付けする際、前後位置は調整幅が確保されているのですが、左右方向にはほとんど調整可能な幅がありません。

クリートを左右入れ替えることによって、Qファクター51.7mm又は54.3mmの狭いか広いかの2択。微調整が出来ません。

これは裏を返すとクリートを取り付ける際に角度もずれない(横方向に動かせない)ために、前後の位置さえ合わせればクリートの取り付けや位置合わせが簡単に出来ることの裏返しではありますが。
フローティング構造なのでクリートの取り付け角度に神経質にならなくても、シューズが正確に平行な適正位置になります。

角度だけではなく平行移動するTIME独自のフローティング構造を備えているので、Qファクターが微調整できないことに、違和感を感じたり気にするサイクリストは少ないかもしれませんが・・・。

メリットもありますが、Qファクターに敏感で微調整したい方には気になる点かもしれません。

このフローティング構造故に、他メーカーのビンディングペダルやクリートでは何をやっても膝に痛みが出てたのに、TIMEペダルに変えたら直った。
逆に「動くの嫌い。ガッチリ固定されないと」と言うサイクリストもいます。またTIMEから固定力の強いSPD-SLに変えたらパワーメーターの出力が上がったサイクリストもいます。

TIMEペダルは良く調べて知識を得てから、長所短所双方を知った上で好きになってから使うペダルだと思います。

「勧められたから」で理解していないまま使うペダルではないかな。好き嫌い、合う合わないがあるペダルですね。