
埼玉県越谷市にある音楽カフェ・ブロッサムに行ってきました。
TANNOYオートグラフ・ミレミアム&オルトフォンSPUから想像する音を良い意味で裏切るような素晴らしいサウンド。
飲み物や食事は勿論のこと、店内の音響から機材までオーナーのこだわりが詰まった愉しいお店でした。
音楽カフェ・ブロッサム基本情報


〒343-0022 埼玉県越谷市東大沢5-15-3
営業時間 14:30~21:30 (ラストオーダー20:30)
定休日 毎週火曜日、水曜日
東武スカイツリーライン北越谷駅東口より徒歩約12分
ライブ演奏や貸し切り予約は、お店のfacebookとインスタグラムでも告知されています。


水出しコーヒーと当日に焼き上がったパンとケーキのメニュー
貸し切りランチ(要事前予約)やライブ演奏、パーティ予約も受け付けているようです。
CDやアナログレコード等の音楽ソフトの持ち込みもOKなお店です。
AUDIO & MUSIC
30畳(50㎡)天井高5.5mの店内で朗々と歌うTANNOYオートグラフ・ミレミアム

お店のルームアコースティックは大建工業内装材事業部と入念な打ち合わせとシミレーションを重ね、音速から天井高を計算。
色々検討の上、部屋の寸法を ;
幅 : 約 5.4m
奥行き :約8m
天井の高さ : 一番低いところ(スピーカの背面の壁のところ)約3.5m
一番高いところ 約5.5m
とすることにしました。この寸法ですと、平行に対抗する壁と壁の間の距離から計算上の部屋の最低共振周波数は低いところで 340/16(8×2)= 21.25Hz, 高いところで340/10.8 (5.4×2)=33.3Hzとなりますので、定常状態が生じたとしても33Hz程度以下とかなり低い方においやられることとなり、部屋自体も20Hz近くまで無理なく低音に対応できる筈です - 筈は筈のとおりにならないのがオーディオでありますが。
https://cafe-blossom.blogspot.com/2010/
床や壁にもノウハウが詰まっており店内のどの席で聴いても、バランスの取れた定在波や低域の淀みが感じられないバランスの良い音になっていました。
床に手のひら当てても、全面コンクリート基礎に15mm無垢材のフローリングは、振動が伝わってきませんでした。
建築やオーディオ機材のノウハウは音楽カフェ・ブロッサム公式ブログ、又は1冊のファイルにもまとめられており、お店で閲覧可能になっています。


アナログプレーヤーはトーレンスTD520にトーンアームはSME 3012R。
カートリッジはオルトフォンSPUがセットされていました。
SPUはロングランモデルで、年代によって数多くのバリエーションモデルが存在します。
SPU-GEやらSPU-GOLD GE、SPU Royal GE等々・・・詳細な型番は聞き忘れてしまいました・・。
お店の公式サイトでは3012と紹介されていますが、トーレンスTD520プレーヤーとセットになった分割メインウェイトの3012Rです。
Rは初期型3012をブラッシュアップした新型。新型と言っても1980年発売ですが。
3010Rを僕も使っていて、今も手元に残しています。基本設計は70年以上前、Rモデルにブラッシュアップされてから40年以上も経つのに、調整を追い込めば、その性能は現代でも一級品のトーンアームです。
コントロール部ラック上段中央はヘッドアンプ電源部。その裏側にヘッドアンプ本体。
低インピーダンスのオルトフォンをヘッドアンプで受けているのも珍しい手法かもしれません。
良い意味でSPUから想像していたサウンドとは違っていたのも、このあたりにも秘密があるのかもしれません。
低域から高域まで聴感上フルフラットで澄んだSPUは初めての体験。
しかも、その音がTANNNOYから聴こえてくる。
先入観や固定概念が見事に崩れ去りました。

カウンター奥のレコードラックには、約3,000枚のアナログレコード。
カウンター奥のアナログプレーヤー等は、許可を得て撮影しています。
オーナーに話を伺っているとカウンター内に招いて下さり、機材の説明やアナログレコードのクリーニングも実演しながら説明して頂きました。
PHILIPS輸入盤CDで所有。
ブクログの本棚に登録するに当たり、Amazonリンクを見てみたら『新品55,197円』(2021年11月現在)には驚き!
再販が望まれる。
パワーアンプは845真空管シングル三段直結。
ヘッドアンプ~フォノイコライザー~パワーアンプ、セレクター、ケーブルはご友人上田順筰氏の作。
音楽カフェ・ブロッサムのスピーカー、プレーヤーを除いたオーディオ機材の全てを造っています。
友人と言っても、元オーディオメーカー勤務の技術者で、専門誌にも何度も掲載されています。
カウンター裏コントロール機器からパワーアンプまでは、試行錯誤の末にバランス伝送。


上田順筰氏制作の機器の詳細や測定値も、ブログやお店で閲覧できるファイルにまとめられています。

フォノイコライザーの内部写真と周波数特性測定値
RIAA偏差は20~20kHzで測定限界以下
歪率特性は1KHz/3mV入力で0.0055%
1KHzのおけるアンプ・ゲインは35.5dB
残留ノイズは20μVA
フォノイコライザーに限らず、全ての制作機材に測定値が添えられ、ここまでやるか!ながらもマスターは、、、
測定結果がアンプの良し悪しの全てを表すものでは無いと思いますが、測定結果をしっかり押さえておくことが家で言えば土台をしっかりしておくようなもので、特性の確認が良いアンプを完成させるための基礎と考えられます。
しかしながら、測定結果が同等でも同等の音質が必ずしも得られないところがオーディオの不思議で面白いところです。しかもアンプの特性に比べると歪率、周波数特性等がデータ上極めて悪いスピーカで再生してアンプの違いが分かるのなると、なぜなのか考え込んでしまいます。
硬い音、しなやかな音、腰のある音等の表現はオーディオ仲間の間ではある程度の共通認識を持たれている表現かと思いますが、測定データ上ではうまくあらわれてはこないようです。
https://cafe-blossom.blogspot.com/2011/06/lcr-4_23.html
と仰っています。
これは全く同感。100回でも200回でも頷くしかありません。
測定値絶対主義やら設計理念至上主義に陥っていない、バランスのとれた含蓄ある趣味人です。
穏やかで癒される接客にも、それが表れていると感じます。
他では聴けない磨き抜かれたTANNOYオートグラフ・ミレミアムとオルトフォンSPUのサウンドは一聴に値します。
是非、音楽カフェ・ブロッサムに足を運んでみてください。
Tannoy(タンノイ)Prestige Autograph Mini GR オートグラフ ミニ 【ペア】
コメント