
高音質優秀録音CDの紹介クラシック編です。
クラシック音楽入門用としては向かないかもしれませんが、オーディオ的な音質の良さや音場を優先してリストアップしています。
- GRADUEL D’ALIENOR DE BRETAGNE/MARCEL PERES
- XL Choral Works for 40 voices/Simon Halsey/Harmonia Mundi Fr
- Gregorio Paniagua/LA SPAGNA
- ストラヴィンスキー/春の祭典&ペトルーシュカ/ピエール・ブーレーズ指揮クリーブランド管弦楽団
- ラヴェル管弦楽作品全集第1集(ボレロ他)/スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮ミネソタ管弦楽団
- クライスラー名曲集/ヘンリック・シェリング
- J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲 他/ヤーノシュ・シュタルケル
- ムソルグスキー/組曲『展覧会の絵』/バイロン・ジャニス(ピアノ)/ドラティ指揮ミネソタ管弦楽団
- ウルトラ・パーカッション/高橋美智子
GRADUEL D’ALIENOR DE BRETAGNE/MARCEL PERES
エレノアは13世紀に女子修道院で発展した無伴奏声楽曲。ネウマ譜=4線譜で残されている。
ノートルダム・ド・フォントヴロー修道院で1991年11月の録音。
修道院での収録ですが教会録音系に分類すると、その中でもひと際反響と残響が凄い!
録音現場の広さと天井の高さが『音場』として明確に分かります。天井に反響した残響がス~~~と消えていく消え際まで明確に聴こえる。
個人的には教会録音の最高峰。
ノートルダム・ド・フォントヴロー王立修道院にて1991年11月録音。
マルセル・ペレスは1956年アルジェリア生まれの音楽史研究家兼指揮者。1982年に中世音楽を演奏するアンサンブル・オルガヌムを結成。
演奏会場の広さ(壁)や天井の高さがはっきり見えるように残響が明確に聴こえる。
残響◯秒と再生音で計測出来そう。
合唱も録音も共に5つ星の超絶優秀録音の推薦盤。
XL Choral Works for 40 voices/Simon Halsey/Harmonia Mundi Fr
声楽曲が続きます。サイモン・ハルゼーはイギリスの合唱曲指揮者。
収録トラック毎の40人の声楽隊の配置とマイクアレンジが公開されています。

音質も良い優秀録音CDですが、2chピュアオーディオでどこまで声楽隊の配置とマイクアレンジの違いを再現できるか区別できるか、チェック用に好適。
Gregorio Paniagua/LA SPAGNA
グレゴリオ・パニアグワ指揮/アトリウム・ムジケー古楽合奏団
録音は1980年4月スペイン・マドリード帝国大学礼拝堂
AAD=アナログ録音、アナログ編集、デジタルマスタリング
デジタル信者が裸足で逃げだす編集段階までアナログの高音質優秀録音CD。鮮度感や音の粒立ちが抜群。
コンプやリミッターなどの余計な編集を一切加えていないような抜群の鮮度感とリアリティー。
スペイン古楽をテーマにした古楽器演奏の小品を多数収録。パニアグアのアルバムの中でもキワモノ感が少ない音楽的に聴きやすい1枚。
ストラヴィンスキー/春の祭典&ペトルーシュカ/ピエール・ブーレーズ指揮クリーブランド管弦楽団
細部を際立たせながら音場の展開も見事。演奏も録音も共に揃った高音質優秀録音CD。
春の祭典は1969年クリーブランド・セヴェランス・ホール、ペトルーシュカは1971年デイヴィッド・ゲフィン・ホールでの録音(演奏はニューヨークフィルハーモニー管弦楽団)。最新録音ではありませんが音質の劣化などは一切感じられない。
ペトルーシュカのレコーディングエンジニアはEdward T. Graham。
顕微鏡で観察するような分析的な春の祭典。どちらかと言えばマルチマイク否定派(音場感や鮮度感が損なわれるような録音も少なくない。位相が狂っているソフトもある)だけど、このCDはミキシングも良いので位相の狂い=マルチマイクそれぞれ残響のズレなどは無い。マルチマイクなのに音場に違和感が無い。マルチマイク収録の稀な成功例。ミキシング編集のクオリティが高い。春の祭典とペトルーシュカをCDで聴くならお勧め。
ラヴェル管弦楽作品全集第1集(ボレロ他)/スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮ミネソタ管弦楽団
レコーディングエンジニアはマーク・オウボール。最小限のマイクで音場空間を優先した優秀録音CD。ボレロは曲の構成からして楽器ごとの前後位置の配置がわかり易い。
音場の奥行き、音像の前後の配置を確認するのに好適。
ADD=アナログ録音、デジタル編集、デジタルマスタリング。
オーケストラの配置、音場の広がりや奥行きがはっきりと聴き取れます。
UK DECCAオリジナル盤は上には上があるという意味で。
ラヴェル/ボレロはアンセルメ/スイスロマンドUK DECCAアナログレコード(マトリックスA面ZAL5904-1K)が個人的には最高峰。
鮮度感と色彩感が尋常ではない。強烈な色彩感が津波となって押し寄せる。音の万華鏡。
クライスラー名曲集/ヘンリック・シェリング
1963年録音のADD=アナログ録音、デジタル編集、デジタルマスタリング。
CD化に際してオリジナル音源の大元マスターテープのみが使用され、コピーテープは使われていない。ライナーノーツにある「Only ORIGINAL MASTERS used for transfer to compact Disc」の記載が誇らしげである。
マーキュリーが1960年代に録音に使用したマスターテープは、映画用35mmフィルムに磁性体を塗布した特注品。『35mm Magnetic Film Recording』シリーズとして知られ、経年変化で転写や劣化が起こり難い。
録音時と同じくデジタル編集からマスタリング工程まで、イコライザー、コンプレッサー、リミッター、フィルターの類いは一切使われていない。
この鮮度感やダイレクトな生々しさよ。マーキュリーリビングプレゼンスの生んだ高音質優秀録音CD。
シェリングが曲に合わせて体を動かし音像が動くのも明確わかる。
ピチカート奏法のパートもはっきりくっきり明瞭。録音とデジタルリマスターの優秀さとシェリングの端正な弾き方がマッチしている。
J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲 他/ヤーノシュ・シュタルケル
シェリング盤と重複するが、マーキュリーリビングプレゼンスの音質のこだわりは一貫しているので繰り返しになります。
ADD=アナログ録音、デジタル編集、デジタルマスタリング。
CD化に際してオリジナル音源のマスターテープのみが使用され、コピーテープは使われていない。
録音時と同じくデジタル編集からマスタリング工程まで、イコライザー、コンプレッサー、リミッター、フィルターの類いは一切使われていない。
音源の古さを全く感じさせない分厚さや鮮度感と生々しさ。古い音源のデジタル化CD化に際して、ありがちなレンジの狭小化や音質劣化が感じられない高音質優秀録音CD。
まるで目の前で演奏しているようなリアルさとダイレクト感。時折聴こえる左手のフィンガリングノイズも生々しさ倍増。録音の古さを感じさせない優秀録音CD。
ムソルグスキー/組曲『展覧会の絵』/バイロン・ジャニス(ピアノ)/ドラティ指揮ミネソタ管弦楽団
トラック18以降からはドラティ指揮ミネアポリス管弦楽団版の展覧会の絵。明瞭度や鮮度感がありながらも、ド迫力の圧倒的エネルギーと重厚さ。音場の広がりや奥行きも素晴らしい。
バイロン・ジャニスのピアノも鮮度感最高で生々しく、Dレンジも広大。
バイロン・ジャニスのピアノ・トラックは1961年録音。ドラティ指揮ミネアポリス交響楽団(現ミネソタ管弦楽団)のトラックは1959年の録音。
英DECCAのアンセルメ/スイスロマンドの一連の作品は、CDへのデジタル化でリマスターが新しくなるほど、こじんまりとして鮮度感と色彩感が失われてしまっている。音場感だけはCDでもかろうじて健在ですが・・・音質トータルではアナログレコードの足元にも及ばない。
音源の古いマスターのデジタル化でも、高音質と音の厚みや色彩感を保っているマーキュリーリビングプレゼンスの仕事は素晴らしいと思う。
SACDハイブリッド盤でなく通常CD盤でも発売されています。通常CD盤も十二分に高音質なので、見つけたら『買い』の、自信を持ってお勧め出来る高音質優秀録音CD。
個人的には録音の良さとの合わせ技で展覧会の絵最高峰のCD。
ウルトラ・パーカッション/高橋美智子
現代音楽に分類される前衛的なアルバムなので、音楽的に好みが分かれるかもしれない。
しかしオーディオチェック用としては間違いなく5つ星の優秀録音CD。
録音は1995年ミュージックイン山中湖スタジオ。
FレンジDレンジ共に広大。音場も3次元的に広く、奥行きや高さも出る。
60Hz以下の低域の打撃音が凄まじい。コントラバスマリンバと直径2mの世界最大のドラを始めとして、100種以上のパーカションが使用されている。
『驚異のコントラバスマリンバ』があまりにも有名ですが、CDもアナログレコードも特Aクラスの入手難。
7オクターブの帯域を誇るコントラバスマリンバと高音質優秀録音は、このCDでも堪能できます。
音場チェック用としても最適。
コメント