優秀録音CD紹介クラシック編

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優秀録音CDクラシック編

高音質優秀録音CDの紹介クラシック編です。

好きな曲、好きな作曲家や演奏家の観点からでなく、オーディオ的な音質の良さや音場を優先してリストアップしています。
クラシック音楽入門用としては向かないかもしれませんが、音質や音場の広がりのチェックに最適な優秀録音CDです。

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GRADUEL D’ALIENOR DE BRETAGNE/MARCEL PERES

エレノアは13世紀に女子修道院で発展した無伴奏声楽曲。ネウマ譜=4線譜で残されている。

ノートルダム・ド・フォントヴロー修道院で1991年11月の録音。

修道院での収録ですが教会録音系に分類すると、その中でもひと際反響と残響が凄い!
録音現場の広さと天井の高さが『音場』として明確に分かります。天井に反響した残響がス~~~と消えていく消え際まで明確に聴こえる。

個人的には教会録音の最高峰。

エレノアは13世紀に女子修道院で発展した聖歌の音楽文化。ネウマ譜=4線譜で残されている無伴奏声楽曲。独唱による詩句の歌唱と合唱による応答句で構成されグラドゥアーレ(昇階唱)とも言われる。
ノートルダム・ド・フォントヴロー王立修道院にて1991年11月録音。
マルセル・ペレスは1956年アルジェリア生まれの音楽史研究家兼指揮者。1982年に中世音楽を演奏するアンサンブル・オルガヌムを結成。
演奏会場の広さ(壁)や天井の高さがはっきり見えるように残響が明確に聴こえる。
残響◯秒と再生音で計測出来そう。
合唱も録音も共に5つ星の超絶優秀録音の推薦盤。

XL Choral Works for 40 voices/Simon Halsey/Harmonia Mundi Fr

声楽曲が続きます。サイモン・ハルゼーはイギリスの合唱曲指揮者。

収録トラック毎の40人の声楽隊の配置とマイクアレンジが公開されています。

音質も良い優秀録音CDですが、2chピュアオーディオでどこまで声楽隊の配置とマイクアレンジの違いを再現できるか区別できるか、チェック用に好適。

Gregorio Paniagua/LA SPAGNA

グレゴリオ・パニアグワ指揮/アトリウム・ムジケー古楽合奏団
録音は1980年4月スペイン・マドリード帝国大学礼拝堂
AAD=アナログ録音、アナログ編集、デジタルマスタリング

デジタル信者が裸足で逃げだす編集段階までアナログの高音質優秀録音CD。鮮度感や音の粒立ちが抜群。
コンプやリミッターなどの余計な編集を一切加えていないような抜群の鮮度感とリアリティー。

スペイン古楽をテーマにした古楽器演奏の小品を多数収録。パニアグアのアルバムの中でもキワモノ感が少ない音楽的に聴きやすい1枚。

楽曲を好きになれるかはともかく、ハルモニア・ムンディ一連のグレゴリオ・パニアグア盤は、オーディオ装置のグレードが金額一桁上がったと錯覚出来るほどの超優秀録音。お勧め!

グレゴリオ・パニアグア/古代ギリシャの音楽

録音は1978年6月。エンジニアはアルベルト・ポーラン。

パピルスや大理石に残った音楽の断片を可能な限り解読し、中世ルネサンス・バロック時代に遺された記録を重ね可能な限り復元。復元不可能な箇所はパニアグアの創造で組み立てる。
楽器は壁画を基に数十種類も復元。

紀元前に生まれた音楽の源流を奇才パニアグアが再構築した驚異の高音質優秀録音CD。

圧倒的な生々しさと実態感のある声楽や復元楽器の音像が、3次元に広がる広大な音場にちりばめられる。直接音の実感と残響が、これ以上ないほど高次元で両立している。
オーディオ的にも装置や部屋の違いを露に暴く、鮮烈な音の万華鏡。

1曲目の出だしから驚くこと間違いなし!

著者 :
ビクターエンタテインメント
発売日 :
ビクター日本盤
これぞ高音質優秀録音CD。実在感ある生々しいボーカルや古楽器の音像と、前後に深い奥行きのある広大な音場が見事に両立している。
オーディオ試聴用&チェック用に最適。システムやセッティング次第で、音場の奥行きは大きく変わります。
60Hz付近の太鼓の低音もなかなかのもの。
ハルモニア・ムンディのグレゴリオ・パニアグア盤はどれもが優秀録音盤として間違い無く推薦出来る。

ストラヴィンスキー/春の祭典&ペトルーシュカ/ピエール・ブーレーズ指揮クリーブランド管弦楽団

細部を際立たせながら音場の展開も見事。演奏も録音も共に揃った高音質優秀録音CD。

春の祭典は1969年クリーブランド・セヴェランス・ホール、ペトルーシュカは1971年デイヴィッド・ゲフィン・ホールでの録音(演奏はニューヨークフィルハーモニー管弦楽団)。最新録音ではありませんが音質の劣化などは一切感じられない。

ペトルーシュカのレコーディングエンジニアはEdward T. Graham

様々な楽器の音が交錯し複雑に絡み合う音の洪水、春の祭典とペトルーシュカ。詳細は確認できないがマルチマイクで各パートを際立たせ、明確に聴き分けられる録音とマスタリングをしている。
顕微鏡で観察するような分析的な春の祭典。どちらかと言えばマルチマイク否定派(音場感や鮮度感が損なわれるような録音も少なくない。位相が狂っているソフトもある)だけど、このCDはミキシングも良いので位相の狂い=マルチマイクそれぞれ残響のズレなどは無い。マルチマイクなのに音場に違和感が無い。マルチマイク収録の稀な成功例。ミキシング編集のクオリティが高い。春の祭典とペトルーシュカをCDで聴くならお勧め。

ストラヴィンスキー/春の祭典/マゼール指揮クリーブランド管弦楽団

発売当初から一世を風靡したTELARCの優秀録音CD
録音:1980年クリーブランド・セヴァランスホール
DDD=デジタル録音、デジタル編集、デジタルマスタリング

無指向性マイク3本で収録。ディレイやエコーなどの余計な編集を加えていない。
音場は前後含め広いが、各楽器の解像度はブーレーズ盤が上。

著者 :
Telarc
発売日 : 1995-01-31
オーディオ装置の力量を露にする、試聴の意味を明らかにする優秀録音CD。
無指向性マイク3本を使いディレイやエコーなど余計なマスタリングをしていないピュアで広大な音場感。録音だけなら5つ星のテラーク優秀録音盤。

大植英次指揮/ミネソタ管弦楽団/レスピーギ「シバの女王」「ローマの松」他

大植英次指揮/ミネソタ管弦楽団/レスピーギ「シバの女王」「ローマの松」

リファレンス・レコーディングスのHDCD高音質優秀録音CD。
SN感が良く透明度の高い録音で、且つ音場も3次元的に広く音像定位も明確。

ジャケットアートも秀逸。

キース・O・ジョンソン博士はリファレンス・レコーディングスの責任主幹でもあり、3次元音場を再現するハイエンドオーディオの概念を提唱した伝説のオーディオ機器メーカー、スペクトラルの創業者でもあり開発技術責任者でもある。

大植英次指揮、ミネソタ管弦楽団によるレスピーギ「シバの女王」「ローマの松」他。
透き通るような透明感と高解像度、音像定位も明確且つ音場も奥行きがあり広い。英DECCAアナログレコードやマーキュリー・リヴィング・プレゼンスのような熱く迫りくる録音とはベクトルは異なるが、間違いなく最高レベルの高音質優秀録音CD。
こちらに迫ってくるような録音ではないので気が付きにくいかもしれないが、色彩感も豊かで(ローレベルでも)、漂白されたような無味乾燥な透明感とは異なる。相反する要素を高次元で両立している。
リファレンスレコーディングスは収録から編集、マスタリング工程までを伝説のハイエンドオーディオ機器メーカー、スペクトラルの設計者でもあり創業者でもあるキース・ジョンソン博士が行っている。HDCDの開発者&提唱者でもある。

コープランド/アパラチアの春、ビリー・ザ・キッド他/ドラティ指揮ロンドン交響楽団、ミネアポリス交響楽団

アメリカ民謡やジャズの要素を取り入れた、リズミカルで明るいバレエ曲。

マーキュリー・リヴィング・プレゼンスのウィルマ・コザート・ファイン女史と夫のロバート・ファインの遺した歴史的傑作。

著者 :
ユニバーサル ミュージック クラシック
発売日 : 2012-11-06
トラック1~17は1961年ロンドン、トラック18~19は1957年ミネアポリスにて録音。
ADD=アナログ録音、デジタル編集、デジタル・マスタリング。
無指向性マイク3本のみ補助マイク無し、マイクの位置はホールの音響を加味して厳密に設定される。リミッター、イコライザー、ブースター等の類は一切使用しない、マーキュリー・リヴィング・プレゼンスの高音質優秀録音CD。
鮮度感が高く鮮烈な音質。オケの配置=音像定位も明瞭。音場も広く奥行き=楽器の前後位置もはっきり分かる。
大太鼓の連打もあるのでオーディオチェック用、試聴用にも最適。
音質に関わる各要素がこれほど高次元でバランスの取れた録音は、60年以上経った現在でも超えるものはない。
永久不滅の歴史的名盤。

サティ/バレエ組曲パラード他/ドラティ指揮

バレエ組曲『パラード』『屋根の上の牛』『ピアノとオーケストラのためのコンチェルティーノ』はロンドン交響楽団、『オーケストラのためのコントラスツ』はミネアポリス交響楽団による演奏。

オーディオ的には『パラード』がとにかく面白い。普通は使われない効果音が高さや前後の奥行きを伴った3次元音場に散りばめられる。
音場チェックの試聴用として最適。

録音自体も定評のあるマーキュリー・リヴィング・プレゼンスの高音質優秀録音CD。

著者 :
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
発売日 :
セルゲイ・ディアギレフ主宰するバレエ団のために1916年にサティが作曲したバレエ組曲『パラード』台本はジャン・コクトー、舞台美術と衣裳がピカソ。
バラードではなく仏語のパラード(Parade)はパレードの意。見世物小屋で芸人が客寄せをする設定。ピストル、鞭、サイレン、飛行機、タイプライター、瓶を叩く音などが、銅鑼や大太鼓小太鼓、トライアングル等様々なパーカッションに混じって効果音として使われている。
この効果音がオーディオチェック用として最適で、前後の奥行きや高さを伴った音場に効果音が広く3次元に散りばめられる。
音楽としても面白く楽しい曲。録音もマーキュリー・リヴィング・プレゼンスならではの高音質優秀録音CD。
ロンドン交響楽団による演奏で録音は1965年のADD。

ラヴェル管弦楽作品全集第1集(ボレロ他)/スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮ミネソタ管弦楽団

レコーディングエンジニアはマーク・オウボール。最小限のマイクで音場空間を優先した優秀録音CD。ボレロは曲の構成からして楽器ごとの前後位置の配置がわかり易い。
音場の奥行き、音像の前後の配置を確認するのに好適。

ADD=アナログ録音、デジタル編集、デジタルマスタリング。

Ravel/BOLEROではDECCA SXL6065アンセルメ/スイスロマンドUKアナログレコード盤(マトリックスA面ZAL5904-1K)を所有しているので、★-1としたがそれを除けば5つ星を付けられる。伝説のレコーディングエンジニア、マーク・オウボートの手による優秀録音の名盤。ラヴェル全集CDとしてはナンバーワン。
オーケストラの配置、音場の広がりや奥行きがはっきりと聴き取れます。
UK DECCAオリジナル盤は上には上があるという意味で。

ラヴェル/ボレロはアンセルメ/スイスロマンドUK DECCAアナログレコード(マトリックスA面ZAL5904-1K)が個人的には最高峰。
鮮度感と色彩感が尋常ではない。強烈な色彩感が津波となって押し寄せる。音の万華鏡。

クライスラー名曲集/ヘンリック・シェリング

1963年録音のADD=アナログ録音、デジタル編集、デジタルマスタリング。
CD化に際してオリジナル音源の大元マスターテープのみが使用され、コピーテープは使われていない。ライナーノーツにある「Only ORIGINAL MASTERS used for transfer to compact Disc」の記載が誇らしげである。
マーキュリーが1960年代に録音に使用したマスターテープは、映画用35mmフィルムに磁性体を塗布した特注品。『35mm Magnetic Film Recording』シリーズとして知られ、経年変化で転写や劣化が起こり難い。
録音時と同じくデジタル編集からマスタリング工程まで、イコライザー、コンプレッサー、リミッター、フィルターの類いは一切使われていない。

この鮮度感やダイレクトな生々しさよ。マーキュリーリビングプレゼンスの生んだ高音質優秀録音CD。
シェリングが曲に合わせて体を動かし音像が動くのも明確わかる。

著者 :
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
発売日 :
Made in Germany 独PHILIPS工場プレス盤で所有。日本国内では珍しいらしい。国内プレスは所有していないので音質比較は出来ないが、実在感とダイレクト感のある生々しい録音。1963年収録という音源の古さを感じさせない。
ピチカート奏法のパートもはっきりくっきり明瞭。録音とデジタルリマスターの優秀さとシェリングの端正な弾き方がマッチしている。

J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲 他/ヤーノシュ・シュタルケル

シェリング盤と重複するが、マーキュリーリビングプレゼンスの音質のこだわりは一貫しているので繰り返しになります。

ADD=アナログ録音、デジタル編集、デジタルマスタリング。
CD化に際してオリジナル音源のマスターテープのみが使用され、コピーテープは使われていない。
録音時と同じくデジタル編集からマスタリング工程まで、イコライザー、コンプレッサー、リミッター、フィルターの類いは一切使われていない。

音源の古さを全く感じさせない分厚さや鮮度感と生々しさ。古い音源のデジタル化CD化に際して、ありがちなレンジの狭小化や音質劣化が感じられない高音質優秀録音CD。

CD1は1963年、CD2は1965年の録音。松脂が飛び散るような鮮度感と実態感。チェロの胴鳴り余韻の消え際まで明瞭に聴こえる。
まるで目の前で演奏しているようなリアルさとダイレクト感。時折聴こえる左手のフィンガリングノイズも生々しさ倍増。録音の古さを感じさせない優秀録音CD。

ムソルグスキー/組曲『展覧会の絵』/バイロン・ジャニス(ピアノ)/ドラティ指揮ミネソタ管弦楽団

トラック18以降からはドラティ指揮ミネアポリス管弦楽団版の展覧会の絵。明瞭度や鮮度感がありながらも、ド迫力の圧倒的エネルギーと重厚さ。音場の広がりや奥行きも素晴らしい。

バイロン・ジャニスのピアノも鮮度感最高で生々しく、Dレンジも広大。

バイロン・ジャニスのピアノ・トラックは1961年録音。ドラティ指揮ミネアポリス交響楽団(現ミネソタ管弦楽団)のトラックは1959年の録音。

英DECCAのアンセルメ/スイスロマンドの一連の作品は、CDへのデジタル化でリマスターが新しくなるほど、こじんまりとして鮮度感と色彩感が失われてしまっている。音場感だけはCDでもかろうじて健在ですが・・・音質トータルではアナログレコードの足元にも及ばない。

音源の古いマスターのデジタル化でも、高音質と音の厚みや色彩感を保っているマーキュリーリビングプレゼンスの仕事は素晴らしいと思う。

SACDハイブリッド盤でなく通常CD盤でも発売されています。通常CD盤も十二分に高音質なので、見つけたら『買い』の、自信を持ってお勧め出来る高音質優秀録音CD。

個人的には録音の良さとの合わせ技で展覧会の絵最高峰のCD。

ウルトラ・パーカッション/高橋美智子

現代音楽に分類される前衛的なアルバムなので、音楽的に好みが分かれるかもしれない。
しかしオーディオチェック用としては間違いなく5つ星の優秀録音CD。

録音は1995年ミュージックイン山中湖スタジオ。

FレンジDレンジ共に広大。音場も3次元的に広く、奥行きや高さも出る。

60Hz以下の低域の打撃音が凄まじい。コントラバスマリンバと直径2mの世界最大のドラを始めとして、100種以上のパーカションが使用されている。

トラック1:響音の簡易周波数特性

低域のパーカッションの打撃音が凄い!

1曲目から音場の前後の奥行きも広大で度肝を抜かれる。

『驚異のコントラバスマリンバ』があまりにも有名ですが、CDもアナログレコードも特Aクラスの入手難。
7オクターブの帯域を誇るコントラバスマリンバと高音質優秀録音は、このCDでも堪能できます。
音場チェック用としても最適。

著者 :
ソニー・ミュージックレコーズ
発売日 : 1995-09-20

合唱のためのシアター・ピース/柴田南雄

1982年新宿文化センター『サントリー音楽賞コンサート1982柴田南雄の宇宙』でのライブ録音
DDD=デジタル録音、デジタル編集、デジタルマスタリング
ビクター独自開発のDAS90デジタル録音システム & 20bit K2インターフェースで収録

現代音楽に分類される舞台芸能を伴った合唱曲。合唱団がステージに並び歌うのではなく、語りながら歌いながら演技や動作を伴ってステージ上を移動する。時には客席を移動しながら歌ったりもする。

日本民謡や祭祀芸能を題材にスコアが無く即効的に朗読と唄が展開し、複雑に折り重なっていく。

その舞台芸能のステージが、そのまま音場として2本のスピーカーの間に展開する。
音場の奥行き、前後も深く広い。
音場再生を意識したシステムとセッティングなら、2chピュアオーディオ装置でサラウンドが実現する。

現代音楽に抵抗のあるクラシック音楽ファンでも、日本民謡が原点なので抵抗感は少ないはず。
作品的にも音響的にも一聴に値する優秀録音CD。

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