エントリーロードでワイヤーフル内装は必要なのか?

2022年1月8日

スコット・スピードスター40

6061ダブルバデッドアルミフレームでアップライトなエンデュランススケルトン。

手堅い作りのロードバイクのエントリーモデルとして、確実な地位を築いていたSCOTT SPEEDSTER

2022年モデルの新型が発表になり、その仕様が話題になっています。

初めてのロードバイク。その存在意義

価格は10万円以下でシマノコンポーネント。他のスペックもコスパ良く、ルック車ではなくちゃんとした自転車メーカーのロードバイクであること。
※価格は各自それぞれの予算や価値観によるので、ここでの論点ではありません。

特殊な専用部品が無く凡庸性や拡張性が高いこと。メンテナンスが容易であること。
初心者さんは乗り込んでいくうちにポジションも楽しみ方の方向性も変わっていくものです。

近所のショップさんで購入して、メンテナンスやわからないことなどを気軽に診てもらったり相談が出来ると良い。

ブランド先行で〇〇(自転車メーカー)がどうしても好き!と、好きになったブランドのロードバイクを最初に買うのは各自の自由ですが・・・

取扱いメーカーに限りがある自転車屋さん。近所のショップで取り扱っていないブランドの自転車は、補修部品がそのお店で手配できなかったり、お店のコンセプトとして取扱いの無いブランドの自転車の修理を受け付けて貰えない場合もあります。

ロードバイクは乗っていれば必ずメンテナンスが必要になり、修理も必要になってくる乗り物です。

ロードバイク最初の1台、初めてのロードバイクは、通える範囲内の自転車屋さんで取り扱っているブランドから選ぶと、先々の自転車生活の苦労が少なくなるのでは以下と思います。

いざ故障した際に「わからない」「自分では直せない」となったとき、頼れるところを確保しておくこともロードバイクを楽しむ上で大切なことだと思います。

ディレーラーハンガーや車種によってはエアロシートピラーやシートクランプなど。そのメーカーの該当機種専用の部品が壊れて交換が必要になったとき。
ヘッドのベアリングなどもメーカーや車種によって寸法が特殊で、凡庸性が高く入手し易いとは言えない。
入手困難になってしまったり、修理してくれるお店が見つからないなど、途方に暮れてしまう結果にならないようなロードバイク選びも考えておくべきではないかと思うのです。

ワイヤーフル内装について

ライディングポジションが既に定まっている経験者、2台目3台目以降のバイクを買う競技者は別として、、、

ショップさんは初めてのロードバイクを買うお客さんには、サドルは若干低めハンドルは高めにセッティングして、初心者さんにも無理の無いフィッティングをする場合が多いと思う。

こだわりの少ないエンジョイ勢ゆるポタならそのポジションのまま乗っても良いけれど、速くなりたいとか競技志向なら乗り込んでいくうちにライディングポジションは変わってくるもの。

柔軟性や筋肉の付き方には個人差があるし、走り方の志向もサイクリスト各自で違いがあります。

サドルの高さとその前後位置、ハンドルの高さはサイクリスト各自が経験を重ねていくうちに、自分で理解を深めて調整が必要になってくる箇所。

ライディングポジションが未だ定まっていない初心者サイクリスト向けの入門用ロードバイクは、ユーザー自身が簡単に手軽に調整出来る仕様になっていると望ましい。

外装ルーティングのバイクなら、ポジション調整は購入したお店であれば無料でやってくれるところも多いはず。

サドルやハンドルの高さを変えて、実際に自分で試してみて
ポジションが変わったときの違いを体感して頂きたいと思います。
自分自身にフィットしたベストなポジションを見つける為にも。

ワイヤーフル内装のデメリット

ワイヤーフル内装のロードバイクは確かにかっこいい。ハンドル周りがスッキリ&シンプル。空気抵抗も軽減される。

しかしデメリットがあることも忘れてはいけない。

Di2電動変速&油圧ディスクブレーキならまだいい。

エレクトリックケーブルの取り回しが長くても変速性能が落ちることはない(当たり前ですが)。
むしろメンテナンス性を考慮=内装バッテリーをビルトインしたシートピラーを引き抜けたり、BBからジャンクションを取り出せるように、Di2エレクトリックケーブルは長めに組んでおくもの。

油圧ディスクブレーキのオイルホースも少々長くてたるみがあったとしても、抵抗が増えてブレーキの引きが重くなることはありません。

しかし機械式変速やワイヤー式ディスクブレーキはこうはいかない。

ポジションやセッティング=ハンドル高さやステムの長さとSTIレバーの取り付け位置に合わせたベストな長さのワイヤーでないと、変速性能が悪くなってしまったりブレーキの引きが重くなってしまう。

つまりワイヤーフル内装のロードバイクは、ハンドルの高さを変えたりブラケットの高さ(取付位置)などポジションを変える度にワイヤー類を全交換する必要があるのです。

乗り込んでいくと最適なポジションが変化していくロードバイク。また自分に合ったハンドルの高さやポジションを模索する意味でも、サドルやハンドルは手軽に高さの調整が可能なことが望ましいと考えます。

何を買うか、どのメーカーの自転車に乗るかよりも、自分に最適なライディングポジションで乗ることが、ロードバイクを楽しみながら乗り続ける上で大切なことだと思う。

適切なライディングポジションは疲れにくく快適で、そして楽に速く走れるようになるものだから。

そのポジション変更のために、機械式変速&ワイヤー引きディスクブレーキでワイヤーフル内装バイクは、ハンドルの高さやステム交換やブラケットの取り付け位置を変える度に、大きな出費と時間が掛かるようになってしまう。

ワイヤーフル内装ロードバイクのワイヤー交換は、ワイヤー外装バイクと比較して作業時間も大幅に増えて、ほとんどのショップでは自転車を預けないと受け付けてくれないはず。

そして作業工程や手間暇時間も大幅に増えるため工賃も上乗せになっている場合が多いです。

「工賃高い」と自転車屋さんに文句を言わないように。
ワイヤーフル内装バイクに必要な技術や作業時間を考えると安いくらい。

検討不足や情報収集不足のまま、いざポジション変更やワイヤー交換をする際に、提示された価格に驚いて2の足を踏んでしまう入門者さんが増えてしまいそう・・・。

ロードバイクに必要なポジション変更。ハンドル高さ変更、それに要する費用を事前にショップに確認しておくべき。

ライデョングポジションが変わる=ハンドルの高さを変えてみたり、ブラケット取り付け位置を変えてみたりとセッティング変更が前提になる入門者向けロードバイクでは、ワイヤー類は外装ルーティングの方がメンテナンス性も運用のコストの面でもお勧めできると思うのです。

ワイヤーフル内装バイクはハンドルを90度切れないバイクも少なくない。
輪行する可能性がありそうなら、友人が輪行サイクリングを楽しんでいるなら誘われる可能性も大いにあります。

そんなときにハンドルを45度程度までしか切れないフル内装ロードバイクだったら・・・輪行が出来ません。
将来的に輪行する可能性があるかどうかもバイク選びでは考慮すべきです。

ロードバイクのランニングコストを意識してバイク選びをするのなら、ポジション変更が比較的容易なワイヤー外装ルーティングのバイクを選ぶべき。
ワイヤーフル内装のロードバイクは、試行錯誤を経て自分のライディングポジションが固まってから。

そしてそのランニングコストを許容した上で買うべきではないかと思うのです。

個人的には「好きなの買え」「惚れたバイクが1番」だけで初心者さんに勧めるのはナンセンスかなと思うところ。

デメリットを知り把握した上で、それでも好きになるなら良いのですけれどね。

後で後悔することの無いように、良く調べてから買いましょうという話でした。