シマノ左クランク組み付けの注意事項
シマノ・ホローテック2左クランク
シマノ製現行クランクセットのほとんどに採用されているホローテック2テクノロジー。
右クランクと一体成型になった24mm径BBシャフトを採用。フレームに組み込まれた状態で左右のベアリング間の距離も設計に織り込み、クランクセット全体の剛性を最適化。
”弱いところ”を作らないことで剛性と耐久性、そして軽量化のバランスを取っています。
中空クランクも剛性UPに大きく貢献していますね。
そのシマノ・ホローテック2クランク組付け時の注意点をまとめてみたいと思います。
ホローテック2左クランクアーム固定ボルトの締付トルクは12~14Nm
スクエアテーパーのクランクと異なり、取り外しにコッタレス抜き工具が必要無いこと。組み付けはシマノTL-FC16と5mmアーレンキーがあれば可能。
手ごろな価格の工具で分解や組み付けが可能なことも手伝って、クランクを外して丁寧に掃除をしたり自分で交換したりと、セルフメンテナンスやグレードアップなど自分で作業するサイクリストも増えています。
シマノ(SHIMANO) 工具 TL-FC16 Hollowtech II クランクアーム工具 FC-7800 FC-M960 FC-M800-3 FC-M800-1 FC-M760 Y13009220しかし、ここに大きな落とし穴が!
ステムやハンドル周り、シートピラーなどカーボン系部品関係のボルト締め付け規定トルクに注意を払う人は多いのですが、左クランクアーム締め付けボルトの規定トルクにも注意を払いましょう。
ペダリングでの踏み込む力を全て受け止めるクランク。どんなに強い踏み込みでも、長時間のライドでも緩んだりガタが出たりしてはならないのです。
軽量化が進み割ったり壊したりしないように、加減して締める必要があるカーボン製製品とは異なり、サイクリストのペダリングパワー全てを受け止める必要のあるシマノ・ホローテック2左クランク固定ボルトは12~14Nmと非常に強い締付トルクで指定されています。
製品によって異なりますが締付トルクMAX5Nm前後で指定されていることが多いステムやハンドル周り、シートクランプなどの取り付けとは大きく異なるところです。
トルクレンチを使用して組み付けを行うのが最も確実。
言葉で説明するのは難しいのですが、12~14Nmがどの程度の程度の締付トルクかというと、柄の長いロングタイプ5mmアーレンキーを使って相当に強く力を入れて締めないと、12~14Nmの規定トルクに届きません。
ホローテック2左クランク締付ボルトには、柄の長さ150mm以上のアーレンキーを使いたいところ。
柄の短いショートタイプの5mmアーレンキーでは、どんな怪力でも不可能なのではないでしょうか。
5mmアーレンキーを使用する5mmボルトとしては、12~14Nmと異例に強い締付トルクが指定されているのです。
TRUSCO ボールポイント六角棒レンチ(ロングタイプ)5.0mm自分で組立整備しているサイクリストさんが、左クランクが緩んだり外れたりして駆け込んでくることも多いですね。
ショップでの組み立てや点検でも、左クランクの規定トルク確認は欠かせません。
左クランクに緩みが出たまま乗り続けると、踏み込んだときに外れて落車転倒の危険があります。またBBシャフトとの噛み合わせ=細かく刻まれたスプラインが削れてしまい、左クランクを交換しないとならなくなることも。
・組み立て時には12~14Nmの締付規定トルク
・左クランク2つの固定ボルトは、緩めるときも締めるときも交互に少しずつ回す(片方だけを一気に締めたり緩めたりしない)
・定期的に、又は乗車前に点検しガタや緩みが無いか確認する
その他注意事項
クランクキャップをシマノTL-FC16を使用して取り付ける際の締付トルクは0.7~1.5Nm。同時にガタや隙間が無いか確認する。
外れ止め防止プレートのピンがBBシャフトの穴に確実に差し込まれているか確認する。
組み立て勘合部には必ずグリスを塗る。シマノでは純正プレミアムグリス、通称デュラグリスの使用が推奨されています。
BBから右クランク=シャフトが手で引っ張っても抜けないときは、プラスチックハンマーでBBシャフトを軽く叩きながら、少しずつ丁寧に。
ベッセル(VESSEL) ゴムプラハンマー No.77-10その他の注意事項や組み立てや分解の手順はシマノ・マニュアル&技術資料を参照してください。
セルフメンテナンスには様々なサイズのアーレンキーを揃えておく必要があります。
セットで購入しておくのがお勧めです。Weraヘックスレンチセットに含まれている5mmアーレンキーは、実測で柄の長さ155mmほど。
ホローテック2クランクの締め付けにも充分使えます。
メカトラブルを無くして快適なライドが楽しめるように、愛車整備は知識を備えて確実に行っていきたいものですね。
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