MAVICインスタントドライブ360

2019年10月12日機材

MAVICインスタントドライブ360リアハブの構造と特徴

mavic instant drive 360

僅か9度の回転で噛み合う40ノッチラチェットで掛かりが良く、駆動効率が高い。

アルミ製フリーボディで40gの軽量化。

エンドキャップ(画像の13番、正式名称はリアアクスルアダプター)の交換で様々な規格のフレームに対応する。
フリーボディ(画像12番)の交換でシマノ、カンパ、スラム、シマノ・マイクロスプラインに対応。ホイールそのものを交換しなくても、互換性を高く保てる優れた構造です。
シマノ用HG11フリーボディはシマノ・スプロケットなら段数を問わず使用可能(規格が異なる12Sマイクロスプラインは除く)です。

太くなったアルミハブシャフトで剛性の向上。

Mavic ID360 freewheel technology

MAVIC公式インスタントドライブ360紹介動画。動画だと構造が理解しやすいですね。面ラチェットのフリーやエンドキャップ交換で様々な規格に合わせるところなど、構造的にはDTスターラチェットとそっくりです。

従来のFTS-Lフリーボディの細いスチールシャフトでは、ディスクホイールのスルーアクスルに対応できない。FTS-Lフリーボディのベアリング内径は9mm(旧型は8mm)なので、スルーアクスル12mmと互換性を持たせるために、DTスターラチェットと同じような構造のID360に行きついたのではないだろうか。真似した?

ちなみにMAVIC FTS-Lはこちら

MAVIC FTS-Lハブ

年式やモデルによって微妙にシャフトの構造が異なり分解の仕方は違う場合があるけれど、5mm6角レンチと17mmスパナで簡単にフリーはバラせる。メンテナンス作業も簡単。

2つ爪のフリーは、こんな簡素な構造でいいのだろうか?と不安になりそうだけれど、簡潔明瞭な構造だからこそ故障も非常に少なく寿命も長い。
適切な頻度でのメンテナンス、およそ2,000~3,000kmに1回程度でフリーボディを分解して清掃後のオイルアップは必要です。振れも出にくく丈夫なMAVICホイールなので、僕は過去に1度もライド中でのホイールトラブルの経験はありません。
カンパやフルクラムはフリーの爪起こしバネの耐久性が低くて、折れて自走不能になるときがありますから注意が必要です。

オイルアップを怠るとフリーの回転が渋く重くなり、クランクが供回りするようになったりする。ペダリングを止めた時のフリーの回転音も変わる。この状態になるとフリーボディ内部のオイルが切れてきているので、このまま乗り続けてしまうと部品の摩耗を早め、寿命を縮めてしまうことになってしまいます。

オイルはゴムシールを痛めてしまうような物はNG。MAVIC純正フリーボディオイルかシマノディスクブレーキ用ミネラルオイルなど。粘度の低いシャバシャバなオイルが抵抗が少ないです。

展開図6番のスプリングが非常に小さいので、フリーを分解したときにスプリングを無くさないように注意が必要です。爪を外すときにバネなのでビヨーンと跳ねて飛んでいきやすいのです。

インスタントドライブ360考察と個人的感想

2017年モデルから新たにデビューしたインスタントドライブ360。メーカーの謳い文句通りなのか、個人的な感想を書こうと思う。

僅か9度の回転で噛み合う40ノッチラチェットで掛かりが良く、駆動効率が高い

これは乗って感じられる長所。掛かりが良くて精密感がある。特に踏み始めにダイレクト感があって気持ちいい。しかし、これで速くなったかと問われると、変わってないかも?

アルミ製フリーボディで40gの軽量化

ホイールの中心部で40g軽くなっても違いはわからない。関係ない。ホイールの外周部、タイヤ、チューブ、リムは10~20g軽量化しただけで、加速や登りではっきりと軽くなったとわかる。
完組ホイールで重量の軽いものは、アルミ製フリーボディやハブを軽くしてカタログスペックを飾っているホイールもある。
スポーク数を減らし過ぎて軽量化を果たしているホイールもあって、剛性不足を感じるホイールもありますね。重量が走行性能に影響するのはリムの重量です。モデルにもよるけれど、MAVICホイールのリム重量は軽い部類です。

カンパのスプロケットは溝が深いけれど、シマノHGスプロケットは溝が浅くアルミ製フリーボディだとガリつきます。スチール製フリーボディの方が安心感はある。しかし極端に寿命が短くなってしまうような事はなさそうです。

太くなったアルミハブシャフトで剛性の向上

違いは全く分かりません。ホイール全体として、リムやスポークでの剛性感の違いや掛かりの違いは分かるけれども、シャフトだけでの剛性の違いは全く感じられません。
ハブシャフトに大きな負荷が掛かるMTBやディスクブレーキ仕様になると、また感じ方が異なるのでしょうけれど。ロードバイク用クイックレリーズ仕様では全くその差が判らない。

MAVICのホイール同士、ID360⇔FTS-Lでホイールを入れ替えても、スプロケットの位置は同じ。リアディレーラーの変速調整が全くいらない。これは手間が掛からずメリット大!です。

インスタントドライブ360のメンテナンス

構造上、定期的なメンテナンスは絶対に必要。精度の高い面ラチェットの歯車が常に擦れている構造です。2つの面ラチェット同志の接触面に、多量のグリスを保持して長期間維持できる構造ではない。

保証対象外の自己責任ですが、僕は純正グリスではなく粘度の低い柔らかいグリス、ワコーズのグリスを指定よりもかなり多めに入れています。グリスを多く入れるとグリスアップ直後は面ラチェットが噛み合わないときがある。いきなり乗らずに、ホイールを空転させてラチェットが噛み合うようになってから実走です。

フリー部のグリスアップは工具不要で簡単に出来るのは嬉しい。ベアリング交換となると専用工具が必要になるので、専門店のお世話になる事になるでしょう。

ちなみにID360ハブの展開図9番KIT ID360 2 RATCHETS + SPRING + GREASEの価格は10,000円(税別)とお高め。グリスアップ1回分1.5gのグリスが付属してくるのが唯一の救い。

参考までにDTのスターラチェットは、54Tで17,000円(税別)、36Tで15,000円(税別)、18Tで10,000円(税別)と歯数比ではMAVIC ID360が安く感じられる程、DTスターラチェットの補修部品価格はお高め。価格は全てメーカー希望小売価格です。MAVICとDTの補修部品は安く買えるようなところが無いですよね。

DT240Sハブを使っている知人が、ノーメンテのまま雨天走行の頻度も高く10,000km以上の走行を重ねたところ、ペダルを踏み込んでも空回り!駆動力が伝わらない状態に。本人も原因が判らず、メンテナンスの手助けを頼まれた事があります。
インスタントドライブ360と同様に工具不要で外せるはずのフリーボディが全くもってビクともしない、外れない(エンドキャップは問題なく外れた)。仕方なく苦肉の策として裏側からスプロケットをプラハンで叩くと、徐々にフリーボディが抜けてきた。

内部は完全にグリス切れを起こし、汚れと錆びも浮いている。精度が高くガタが全くないシャフトとフリーボディの嵌合部が、完全なグリス切れと錆びが原因で固着して外し難くなっていた模様です。
錆びや汚れを落とし、グリスアップ完了。しかし空回りは治らなかった。結局スターラチェットの部品交換をして復活しましたが、お財布には優しくない、お高いメンテナンスになってしまいました。

教訓|定期的なメンテナンスは必須

MAVICインスタントドライブ360とDTスターラチェットは、まめにグリスアップしてメンテナンスをしよう。

2,000~3,000kmに1回くらいのグリスアップが頻度の目安になるでしょうか。DTは2,000kmごと又は雨天走行後にグリスアップを推奨しているみたい。

800km毎又は約2ヶ月程度で、スターラチェット部の洗浄とグリスアップが理想的。とも言われています。

まめにグリスアップするに越したことはなさそう。壊れてからでは遅いのです。

構造が同じのMAVICインスタントドライブ360も、早めの頻度でグリスアップした方が良さそうです。雨天走行の頻度が高ければメンテナンスも頻度を上げる方向で。

ペダリングを止めた時のフリーの音が変わってくる→そのままノーメンテで使い続けると面ラチェットがお亡くなりに、という経過になると思う。
フリーの音が変わったら直ぐにグリスアップが必要になる程ではないでしょうけれど、メンテナンスは絶対に不可欠です。

ペダリング停止時に面ラチェットが離れて接触していない、シマノXTR12Sのサイレンス・システムはどうなんでしょう?構造的にMAVIC ID360やDTスターラチェットよりは、メンテナンスサイクルは長くても良さそうです。
しかしさすがにノーメンテとはいかないでしょうね。グリス量や粘度にもID360以上に敏感そうです。ギヤが噛み合って駆動力を伝達している面ラチェット=ランニングフェイスラチェットと言うそうですが、はグリスが必要不可欠です。

メカ好きには魅力的に感じるランニングフェイスラチェットですが、この構造に惹かれてホイールを選んだ訳ではないです。
選んだホイールにたまたまインスタントドライブ360が付いていた、と言った感じで入手したホイールです。
でも調子の悪い状態では乗りたくないし長持ちもさせたいので、フリーのグリスアップは怠らずにこれからも付き合っていこうと思う。

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