サラ・ヴォーン「枯葉」
サラ・ヴォーン
サラ・ヴォーン (1924~1990)ジャズボーカル史上ビリー・ホリデイ、エラ・フィッツジェラルドと並ぶ、女性ジャズ・ヴォーカリスト御三家の一人。
低域から高域までオペラ歌手にも引けを取らない幅広い声域と豊かな声量、ポピュラーソングをも歌いこなす幅広い歌唱力。度胆を抜くスキャットやフェイクでジャズボーカルの女王の座に君臨し続ける。
プロとしてデビューする前から、ライブハウスに忍び込んで歌っていたエピソードもある生粋の歌姫。
ジャズボーカルの神髄といえるアルバム
そのサラ・ヴォーンが全編アドリブスキャットで歌い通す枯葉
アルバムタイトルはCrazy and Mixed Up/PABLO
mix upは音楽用語としての意味では、2つ以上の異なる曲を混ぜ合わせて制作された楽曲のこと。
一般的にはネガティブな悪いことや、歓迎すべきでない事態に巻き込まれることの意。
ボクシング漫画『はじめの一歩』では第74話の一歩vs千堂のタイトルにもmix upが使われています。
対戦中互いに触発し合い、限界を超えた力と技を発揮して高め合う両者。
このアルバムでも、まさしく一歩vs千堂と同じ状況で、更なる高みへと昇華していきます。
圧巻!、異端、異形、華麗、
例えるならウサイン・ボルトの陸上100m走?、いや演奏者との呼吸もピッタリだから、華麗なパス回しからディフェンダーを蹴散らして豪快にゴールを決めるクリスチアーノ・ロナウドか?
凄まじい疾走感!グルーヴ感!
レコード会社パブロの名プロデューサー、ノーマン・グランツから「自由にやっていい」とサラに全権が任されて制作したアルバム。ジャズボーカルの女王サラ・ヴォーンの魅力がこれでもか!と言わんばかりに凝縮されています。
ローランド・ハナ
ピアノは昔ピアノトリオのライブでも聴いたことがあるローランド・ハナ。
ベーシストの中山英二さんとのデュオでした。
すっごく濃く太い音なのですが、玉のように軽やかに転がるピアノの演奏。何度も通って聴いているライブハウス据え置きのピアノなのに、楽器は同じでも演奏者によってこんなに音が違うんだ!と驚きと共に、感激して聴いた当時の記憶は今でもはっきり覚えています。
この音は録音ではなかなか出ないんですよね。
カーテンの向こう側でピアノの鍵盤をポン!と叩いただけでも、「ローランド・ハナの音だ!」と判るくらいに違う。凄い体験でしたね。言葉を失って聴き入っていました。
枯葉
声量や深み、粘りも含めてこのアルバムを堪能するなら、ボリュームを絞って聴くと、この凄まじいドライブ感が損なわれてしまう気がします。近所迷惑にならないオーディオ装置か、ヘッドフォンでボリュームを上げて聴きたい曲です。
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