チューブレス・リムテープを交換しました。

2021年8月2日

MAVICキシリウムPROカーボンSL USTホイールのリムテープを交換しました。

この記事にcyclo0103さんからコメントを頂いたように、MAVIC USTカーボンリム(リムテープを必要とする旧モデル)のタイヤが外れない問題。
正確にはタイヤのビートが上がったままリムの内側に張り付いてしまい、ビートがどうあがいても落ちなくなってしまう現象。

他からも話には聞くけれども自分では経験がありませんでした。パンクしたときも、タイヤ交換の際にもスムースに外れて拍子抜けする位だったのです。

そこで、この状況を再現してみよう。経験してみようと思い立ち、実験と検証を開始しました。

実験1:新品タイヤを取り付け直後に外してみる。

タイヤはMAVICイクシオンPRO USTの純正の組み合わせ。

シーラントを入れる前のビートを上げた取り付け直後の新品タイヤを外してみます。

あれれ・・・

ビートが上がったまま、ハンプに乗ったままリムの内側に張り付いてビートが落ちない・・・

ビートを落とそうと、どんなに指先に力を入れてもビクともしない。

タイヤレバーを押し込んで捻じってみてもビクともしません。

あちこちから話には聞いていましたが、自分の目の前に初めてその姿を現したのです。

外れない。ビート落ちない。

めんどくさいので、そのままシーラントを入れてやり過ごそうとも考えました。

しかし、何とかこの状況の解決策を考えようと、ブログのネタのためという邪(よこしま)な理由も有りますが、実験と検証を開始しました。

その日は指が疲れ、他に名案も策もなく、そのまま放置してしまいましたが・・・。

なぜ外れなくなるのか

MAVIC USTチューブレス

その理由を考察してみます。

1.新品タイヤで伸びていない。

クリンチャータイヤでも新品タイヤとしばらく使ったタイヤとでは、はめ易さや外れ易さが変わります。
空気圧や脱着で僅かながらでもビートが伸びて、はめるときに硬かったタイヤが容易に外れる等になった経験は、サイクリストなら誰しもに有るはず。

まだ伸びていない新品タイヤがUSTチューブレスリムに設けられた高さ0.25mmのハンプの盛り上がりを超えられないのです。

IRC曰く、0.1mmの僅かな伸びでも脱着の容易さが大きく変わるとか。

2.リムテープの厚みによる影響

MAVICアルミリムのUSTチューブレスホイールでは、タイヤが外れなくなるようなことは無く、メーカーの謳い文句通りにタイヤの付け外しは容易です。

ここから推測するに、リムテープの厚み=2周+α分でリム内部のビードシート=タイヤのビートが乗っかている部分の径が増してしまい、伸びていない新品タイヤと相まって外れなくなってしまうのではないか。

ETRTO規格よりも高い精度で設計製造されているMAVIC USTチューブレス。621.95±0.35mmというビートシート径にリムテープの厚み分が上乗せされてしまっているから。

リムテープを1周巻きにすれば、多少なりとも着脱は改善されるだろう。しかし今度は空気圧でリムテープに穴が開きやすくなってしまう。
クリンチャータイヤでも、パンクの原因がリム打ちや異物が刺さるなどの外的要因ではなく、リムテープに穴が開いてパンクした経験のあるサイクリストも多いのではないでしょうか。

サイクルスポーツ誌バックナンバー2019年2月号『チューブレスタイヤ運用術』に、他メーカーを含めたホイール径やタイヤ径とそれに関わる脱着のしやすさや、チューブレス運用に関わる技術や知識が詳しく書かれています。

チューブレスタイヤを使うなら必読とも言える内容となっています。

外れなくなったタイヤのビートを落とす

かなり強引な方法です。カーボンリムでは作業に細心の注意も必要です。リムを破損させてしまったりしないためにも、注意深く作業し自己責任でお願い致します。

まだ使えるタイヤを切ってダメにしてしまうことがないように考えた方法です。誰でも確実に作業ができる保証はありません。

用意するもの

タイヤレバー×2本

バイスグリップ

タイヤレバー2本でタイヤを挟み、バイスグリップで咥えます。樹脂製で角が丸くタイヤを傷付けにくいからです。

画像左パナレーサーのタイヤレバーは平面ではなく出っ張りがあって加えにくい。ホイールを買うとおまけで付属するMAVICのタイヤレバーが使いやすかったです。

バイスグリップをひねるとリムサイドからタイヤが剥がれてリムテープが見えます。ここから更にバイスグリップをひねるとビートが目出度く落ちました。
※注意事項:バイスグリップはカーボンリムに絶対に当てないこと。リムを支点にてこの原理を使ってしまうとカーボンリムを破損させてしまう可能性があります。細心の注意を払って作業してください。

何とかリムもタイヤも傷付けることなく、タイヤを外すことができました。

チューブレスリムテープ交換

外れにくいタイヤを強引に外そうと繰り返した結果、リムテープが傷付いてしまいました。

仕方ない・・・このまま使う訳にも行かないので交換しよう。

しかし、このMAVICのUSTチューブレスリムテープ、とんでもなく剥がしにくいのです。

1.テープの接着力が強い。

これは運用面ではメリットでもあるのです。夏の高温、ブレーキングによる発熱にも晒され、シーラントという液体にも晒され、経年劣化で接着剤が溶けたり劣化していなかったということでもあります。

接着力の初期性能が劣化してしまったら、チューブレスタイヤでは空気が漏れやすくなってしまいます。

簡単に剥がれてはいけないのがチューブレスタイヤのリムテープでもあるんです。

しかし、いざ交換となると苦労します・・・

2.テープが切れやすい。

MAVIC USTチューブレス・リムテープ交換

繊維質ではなくフィルムのような素材、強力で劣化しにくい接着剤と相まって、このMAVICチューブレスリムテープとんでもなく剥がしにくい・・・。

強力に張り付いたリムテープが接着力の強さと相まって、ボロボロと切れてしまうのです。

この画像のように、切れそうになりながらもリムテープを剥がせるのは稀。

途中で簡単に切れてしまい何度も何度も縁を先の細い工具でほじくって浮かせながら剥がす⇒切れる⇒残りのリムテープはしっかりリムに張り付いたままになること度々。

苦労しました。非常に時間が掛かりました。しかし何とか全部剥がし終わりました。

MAVIC USTチューブレスリムテープ

この画像で写している以外にも、もっと小さい切れ端が沢山・・・。

チューブレスリムテープを巻く

2周+α分リムにチューブレスリムテープを巻きます。

今回使用したリムテープはNoTubes YELLOWチューブレスリムテープ21mm幅

スタンズノーチューブ(STAN'S NOTUBES) RIM TAPE 10yd(9.1m) X 21MM
スタンズノーチューブ(STAN’S NOTUBES) RIM TAPE 10yd(9.1m) X 21MM

素材の感触はプラスチックっぽいと言うか、かなり硬くパリッとした印象。NoTubesのチューブレスリムテープは伸びが無く硬めの感触です。

パナレーサー・チューブレスリムテープも評判は宜しいようです。

パナレーサー(Panaracer) 用品 チューブレステープ チューブレス(TL) チューブレスレディ(TLR) リム用リムテープ 幅21mm×長さ10m TLT-21 ブラック
パナレーサー(Panaracer) 用品 チューブレステープ チューブレス(TL) チューブレスレディ(TLR) リム用リムテープ 幅21mm×長さ10m TLT-21 ブラック

必ずメーカーの指定幅、リム内幅にあったリムテープを使用しましょう。

幅のバリエーションが少ないのですが『仮固定用テープ』をリムテープとして流用して好結果を得ているユーザーもいるようです。

リムテープの素材が硬いことで強く張りながら、指先で押しつけながら巻いても、複雑な断面形状のリムにテープが完全に密着しません。浮いています。

そこで先ずクリンチャータイヤを使ってチューブを入れ100psiまで空気圧を上げ、1日放置。空気圧でチューブレスリムテープを密着させる作戦をとりました。

※チューブレスタイヤでシーラントを入れる前に、リムテープが隙間や空洞が無くなるまで何度か空気を入れ直してみる方法もあります。

バルブの穴は半田ごてを使って開けました。カッターでは綺麗に切れないし、きちんとした丸い穴にならないので半田ごてを使うのがベストだと思います。
※バルブの穴に沿って大きく穴を開けないでキリで小さく穴を開けるだけにした方が、バルブとの密着性が高くなり空気が漏れにくくなる説もあります。

新品のチューブレスタイヤを外すのは困難を極める為、申し訳ありませんが画像はありません。

下ごしらえに時間と手間が掛かりましたが、振動吸収性と特にウェットや浮き砂利など悪条件でグリップが良く安心感があるチューブレスタイヤ。
その走行感はクリンチャータイヤではありえないもの。手間暇かけてでも使うメリットはあると感じています。

気軽に勧めはしませんが・・・。

スタンズノーチューブ(STAN'S NOTUBES) TIRE SEALANT - PINT (16 FL OZ)(16オンス(473ml))
スタンズノーチューブ(STAN’S NOTUBES) TIRE SEALANT – PINT (16 FL OZ)(16オンス(473ml))