楕円チェーンリングの今昔
賛否両論!好き嫌いがはっきりと分かれて、対立構造を生みがちな楕円チェーンリング。
Googleの予測変換でも「インナーのみ」「デメリット」やら懐疑的なキーワードが並んでいます。
ビッグプーリーやセラミックベアリングと並んで、好みや意見の分かれるパーツと言えるでしょう。
1967年ブリヂストン・オーバルギヤ
ニューサイクリング誌1967年(昭和42年)8月号広告より
調べが及んだ限り、1967年ブリヂストンが国内初となる楕円チェーンリングを開発。
世界初かどうかまでは資料が見当たらず不明です。ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。
1970年代頃まで、ジュニアスポーツなどの車種に採用されていました。
乗ったことはありませんが、その後無くなってしまった事を見ると・・・
普及には至らなかったのでしょうか。
調べた範囲では1893年に米コロンビア社から楕円チェーンリングの自転車が発売されている。
1893 Columbia Model 32 Road Racer with Elliptical Chainwheel
シングルスピードでチェーンテンショナー無し。チェーンが外れ易かった気がする・・・。
しかし130年ほども昔に楕円チェーンリングのアイデアが生まれていたとは凄い!
※コロンビアは1900年代初頭からシャフトドライブの自転車も製造販売している。
シマノ・バイオペース
1983年からMTBコンポーネントのディオーレXT、ロードバイクコンポーネントの600EX(現在のアルテグラ)にBIOPACEと名付けられた楕円チェーンリングを採用。
当時XTRは登場前、XTがシマノMTBコンポーネントの最上位グレードでした。
当時MTBに、このバイオペース採用のディオーレXTをアッセンブルして乗っていました。
ケイデンスの落ちる登り坂でシッティングで踏み込んで走っているとき、センターやインナーで登っているときは確かに効果的だし楽に感じました。
MTBツーリングでは、ロードバイクでのヒルクライムよりもケイデンスは低くなります。
オフロードの登りで段差やギャップがあると、瞬間的にですが高トルクで思い切り踏まないと越えられない状況もあります。
ツーリングペースの登りでは、メリットは感じられました。
しかし短所も有り、
変速性能が落ちる。
ハードライディングでチェーン落ちし易くなってしまう。
高ケイデンスで回すペダリングでは違和感を感じる。
リズミカルなダンシングではギクシャクしてしまう。
メリットとデメリット双方があり、ユーザーによって「好みが分かれるな」と感じたものでした。
スギノ・サイクロイド
シマノ・バイオペースは自然消滅のようにラインナップから消えてしまい、その後はクリス・フルームがOシンメトリックを使用して話題になったり、ROTORやRIDEA、バロックギヤなども登場。
大手メーカーとは異なり主流にする必要が無い為なのか、現在も生産を継続し販売されています。
レビュー記事を書いています。参考にしてください。
ペダリングの感覚が真円とはかなり異なります。
楕円は楕円なりのペダリングの方法を強いられる、とも言えます。
これに慣れればメリットを享受できますが、違和感を感じていつまでも慣れない人もいるでしょう。
また、高ケイデンスで綺麗に『回す』意識をしたペダリングには、個人的にも合わないし馴染まないように感じます。
丸く回す感覚では無くて四角にペダリングする感覚。踏む際は軽く感じますが、上死点下死点を通過する感覚が変わるので。
はっきりと『違いが分かるパーツ』とも言えますので、興味があれば試してみる価値はありますね。
スギノ(Sugino) チェーンリング[CY4-SHC] レッド 32T (多段用)スミス・バロックギヤ
軽く試乗した限りの印象では、スギノ・サイクロイドと感覚的に近い。
ペダリングのタイプ(癖?)に合わせてピーク角度とギヤ半径の異なる種類が用意されている。
マイベストな方向に追い込むことは出来ますが、最初の選択には迷ってしまうかも。
±2よりも±3の方がより効果を発揮するけれど、サイクリストの一部の人には違和感を感じてしまう場合がある。
BaroqueGear Ⅲ 34±2 90° 赤-RedBaroqueGear Ⅲ 34±3 90° 赤-Red
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