昔ロードレーサー、今ロードバイク、呼び方はいつから変わった?

2024年4月18日

ある日突然一気に変わったことではないのは確かです。

今ではロードレーサーからロードバイクに呼び方がほぼ100%統一された推移を自分なりに検証していきます。

始まりは1980年代

1980年以前はスポーツバイクの中心の全てはヨーロッパ。フランスやイタリアを中心にレースやスポーツバイクの情報が発信され、海外への憧れと共にスポーツバイクの情報と文化が日本に浸透していきます。

ロードレーサー(仏語でクルス・ルートと呼ぶ人もいた)、ランドナー、スポルティフなど、スポーツバイクの車種名にはバイクのバの字もありませんでした。

1980年にマウンテンバイクやトライアスロンのムーブメントがアメリカから入ってきます。

マウンテンバイク

トライアスロンのバイクパート

1980年以後、英語圏のアメリカからスポーツバイクの情報が入って来るようになり、徐々に『自転車=バイク』という呼び方が浸透してきました。

へー、英語では自転車をバイク、ロードレーサーをロードバイクと呼ぶのか。
ロードレーサーは和製英語だったのか。

少しづつ、こんな認識が当時のサイクリストの間で広まっていきました。

アメリカでマウンテンバイクの専門誌MountainBike Actionが1986年に創刊。確かモトクロスインターナショナルがアメリカ自転車誌の輸入代行をしていたはずです。
先進的な情報を収集していたオフロード系プロショップは、積極的にアメリカからの情報をキャッチしていきます。

ロードレーサーがロードバイクの呼び方に変わる以前に、アメリカ発の情報からマウンテンバイクやトライアスロンバイクなど、自転車をバイクと呼ぶ呼び方が徐々に認知されていきました。

それまではバイクと言えばオートバイ(モーターバイク)という認識。「バイクの免許を取る」=自動二輪免許を取る、といった会話は当たり前に交わされていた時代でした。

一気に大きなムーブメントが起きた訳ではなく、少しづつ少しづつの小さなムーブメントが局地的に発生していったように記憶しています。

1987年自転車誌の雑誌広告

『バイク』の用語が使われています。

ロードレーサーやスポーツサイクルではなく、『バイク』の呼び方が徐々に専門誌の紙面に登場。

世界最大の自転車総合メーカーGIANTの日本法人GIANT JAPAN設立が1989年。

スポーツバイクの様々な車種を製造する総合メーカーの日本上陸に伴い、マウンテンバイクやクロスバイク等車種区分のバイク名称だけに限らずロードバイクの名称も広まっていきます。

世界中に自転車を輸出する総合自転車メーカーのカタログは英語が基本。自転車はバイク、ロードレーサーをロードバイクと呼ぶことが認知されていきます。

ただ1980年代から、又はそれ以前からスポーツバイクを趣味にしていたサイクリストは、相変わらずロードレーサーと呼んでいました。

1990年代

1990年TREKカタログより

1990年TREKカタログ

Road Bikesの文字があります。しかし、この頃のTREKロードバイクはまだあか抜けないラインナップ。

1991年トレックジャパン設立。翌1992年にOCLVカーボンフレームが発売されてから一気に知名度と人気が急上昇。日本国内で認知されていきました。

それまでイタリアやフランス一辺倒、欧州至上主義だった日本のサイクリストに英語圏のアメリカから製品や情報が本格的に入って来るようになります。

それに伴いマウンテンバイクやクロスバイクに代表される、自転車=バイクという呼び方やロードレーサーをロードバイクの呼び方が日本のサイクリストに浸透してきました。

砂田弓弦著『自転車ロードレース教書』1992年初版

浅田顕著『スポーツバイシクル・ライディング・テクニック』1994年初版

砂田弓弦著『自転車ロードレース教書』1992年初版
浅田顕著『スポーツバイシクル・ライディング・テクニック』1994年初版

表紙こそスポーツバイシクルになっていますが、2冊共に本文中ではロードレーサー。

1990年代半ばの雑誌記事や広告でも、まだロードレーサーの呼び方が使われています。
ロードバイク呼びとロードレーサー呼びが混在していた時代だったと記憶しています。

プロショップのスタッフさんも、古くからのお客さんとの会話では「ロードレーサー」
新規のお客さんやトライアスロンのお客さんとの会話では「ロードバイク」「バイク」と使い分けていた記憶があります。

1999年ランス・アームストロングがツール・ド・フランス初優勝(のちにドーピングによりタイトル剥奪)。
USブランドのバイクの認知度が更に高まり、英語圏での呼び方ロードバイクが普及していきました。

当時のサイクリストの間でも、憧れの最高峰がクロモリハンドメイドから大手製造メーカーのカーボン製バイクに変わっていきます。

大手総合自転車メーカーのカタログには「ROAD Bike」の表記が当たり前。

2000年代

2001年にバイシクルNAVI創刊。スポーツバイクが自転車業界内や一部の趣味人だけでなく世間一般にも広まり、雑誌や書籍、ライターが業界外からも参入。

新規にスポーツとして自転車に乗り始める人も徐々に増え、トレック、キャノンデール、スペシャライズドを始めとするUSブランドの普及もあり、ロードレーサーではなくてロードバイクと呼ぼう、という気運が高まってきた時代です。

2000年中頃には書籍や雑誌の紙面ではロードレーサーではなくロードバイクになっていた印象が残っています。

しかし業界や有力者が「ロードバイクの呼び方に統一」と声掛けした訳ではありません。

JISの車種区分のロードレーサーがレーシングバイクに変わったのが2016年(JIS D9111)。
JCFやJBCFもこの頃までロードレーサーとしていたと記憶しています。

規格や団体は決定まで時間が掛かるし後追いでの決定変更ですからね。

このような経緯ではありますが2000年代中頃には、メディア発の文章やサイクリスト間の会話ではロードバイクになっていきました。

しかしロードレーサーの呼び方が消滅した訳ではありません。

サイクルモード『スポーツバイクはじめて辞典』

未だに一部のメディアにはロードレーサー呼びも残っています。

また古くからのサイクリストでヨーロッパ発祥の文化を尊重する人たちは「ロードレーサーと呼ぶ方が違和感がない」というサイクリストもいます。

まとめ

1980年代から徐々に自転車⇒バイクの呼び方が認知されていき、1990年代にロードバイク呼びが加速、完全ではないけれどほぼロードレーサーからロードバイクの呼び方に移行が済む2000年代後半まで30年近い年月を要しています。

言葉って難しいけど面白いものですね。