MAVICコスミックPROカーボンSL USTホイール
今まで記事を書いていなかったので、今更ながらもMAVICコスミックPROカーボンSL USTホイールをレビュー。
リムブレーキ仕様シマノ11速対応モデルです。
MAVICコスミックPROカーボンSL USTのスペックと仕様
チューブレス(レディ)対応の3Kカーボンホイール
メーカー希望小売価格:324,500円(税込み、2020年当時)
リムハイト | 40mm |
リム内幅 | 19mm |
リム外幅 | 26mm |
リム重量 | 450g(カタログ値) |
スポーク | F18本ラジアル組、R24本イソパルス組 |
フリー | ID360 |
耐荷重 | ~120kg |
推奨タイヤサイズ | 25~32C |
最大空気圧 | チューブレス6Bar,87PSI、クリンチャー7Bar,102PSI |
ベアリング | F:QRM+,R:QRMオート(専用サイズカートリッジ) |
重量 | F:665g,R:825g,ペア1490g(カタログ値) |
ノンSL USTはリアスポーク20本反フリー側ラジアル組、ペア重量1,650gでハブはFTS-L。
同年代ディスクブレーキ仕様の同ホイールはリムハイト45mm、フロントスポーク20本クロス組になります。
MAVICホイールは名称や年式でスペックが変わり、ネーミングも近年では一貫性が失われてしまいました。
記事にコメントを頂ければ、分かる範囲でお答えいたします。
インプレッション
同年代のリムハイト25mmキシリウムPRO UST比では、時速25km辺りから上の速度域ではっきりと空気抵抗の少なさを感じます。ハンドリングの俊敏性はキシリウムPRO USTよりもちょっとまったり感有り。
リム重量はほとんど変わらないはずなのに、加速ではキシリウムPRO USTが軽く感じます。
しかしハンドリングも加速感も僅かな差なので、慣れれば全く違和感の無い範囲。平地なら空気抵抗のアドバンテージは大きいです。
走行性能に直接関わる箇所ではありませんが、MAVICのハブは万一スポークが折れたりテンションが抜けてしまっても、スポークが抜けたり外れたりしない安全対策が取られています。
画像赤矢印はスポークの首が抜け落ちないように止めている脱落防止リング。
クロス組もインサート部が長く抜けにくい構造になっています。
安心と信頼の証ですね。
ノンSL-USTはリアスポークが20本と少なくフリー側ラジアルのイソパルス組ではないために、ノンSL USTとの比較では剛性感があり加速が俊敏。
ノンSL USTは脚当たりが柔らかく体に優しいホイールだと感じます。
今まで使っていて振れや故障も無く快適に使い続けています。
質実剛健な作りでフリーボディのメンテナンスさえ怠らなければ、永く愛用出来るホイールです。
体重制限も120kgまでと他社製ホイールと比較して余裕があるのも、剛性や耐久性への自信の表れでしょう。
MAVICより重量も軽く、漕ぎ出した瞬間から踏み出しの軽さを感じられるホイールは多々あれど、スポーク折れなどのトラブルの少なさを始め、突出した性能はないかもしれませんが平均点の高いホイールです。
スポークが細い薄い、本数が少ないホイールは比較するとスポーク折れの頻度が高くなります。
そして何よりもブレーキの効きの良さはリムブレーキの中では特筆モノ。
ブレーキ摺動面のiTgMAX処理の恩恵で、数あるリムブレーキホイール中でも圧倒的な制動力を発揮します。
「カーボンリムブレーキは効かない」「ダウンヒルが不安」はMAVIC iTgMAXカーボンホイールには当てはまらない。
※但し純正イエローシューの発熱が多いのと、シューの制動面にカスが貯まると効きが悪化します。定期的にシューの制動面を削ると良いです。
ブレーキシューの異物を取り除き、定期的に制動面を削ることにより、制動力の維持だけでなくリムの摩耗も最小限に抑えられます。子砂利や異物によってカーボンリムが削れてしまいますので。
MAVICコスミックPROカーボンSL USTの短所
12速化やディスクブレーキ化の流れに伴い、リム内幅が広がり太いタイヤが使えるようになったりと、時代の流れに逆らえず旧式となってしまったホイールですが、「古い新しい」の抽象論でなく実際に使用運用して感じた短所を挙げていきます。
・ID360フリーボディは雨に弱い。雨天走行後及び定期的なグリスアップは必須。
ID360は乗りっぱなしという訳にはいきません。走行1,000km毎、雨天走行後はその都度フリーボディのグリスアップがトラブル無く長持ちさせる秘訣です。
個人的見解では、小雨霧雨程度に短時間降られただけなら、壊滅的なフリーボディ内部へ水の侵入は無い。
雨天走行全く無し、高圧洗浄水洗い無しなら3,000~4,000km走行はノーメンテで行けます。
しかしいざグリス切れや水の侵入があると、ID360のラチェットはダメージを受けやすい。そして部品が高価なのです。メンテ頻度を下げるよりも、工具不要で簡単にバラせるので、こまめなメンテナンスをお勧めします。
・MAVICだけではありませんが、完組ホイールの専用設計ハブは掃除がし難い。
・チューブレス運用のリムテープ問題。
ニップルホールレスのホイールも増えてきました。クリンチャータイヤで運用するなら問題になることもありませんが、チューブレス運用のリムテープは、、、
痛むので定期的に交換が必要。
綺麗に貼れなくてしわや空洞があると、空気が漏れてしまう。
チューブレス運用では、他では起こりえないデメリットが発生します。
振動吸収性の良さやグリップ感のつかみ易さなどチューブレスの走行感が好きで、運用面での手間を惜しまない方向けだと思います。
※チューブレスに嫌気がさしたらクリンチャータイヤでも問題なく運用できます。
もうひとつ、チューブレス運用のデメリットとして、、、
・タイヤを好き勝手に選べない!
チューブレス(レディ)ホイールとタイヤの組み合わせは、モノに拠りけりで着脱が凄まじく固かったり、ビードが上がり難かったり、上がってもエアーが漏れやすかったり・・・などの気難しさがあります。
個人的には、出先のパンクでチューブレスのパンク対応に自信のない方にチューブレスタイヤはお勧めしません。
僕はチューブレスでもスペアチューブとタイヤレバーを常に携行。シーラントや修理剤では塞がらないパンク穴もあるからです。
シーラントで塞がるような小さな穴のパンクは「たまたま運が良かった」と思うことにしています。
チーブレスタイヤは軽量化モデルは別として、パンクし難いし大きな穴も空き難い。とは言えパンクは運次第。
大きな穴のパンクをすることもあるので「備えあれば患いなし」なのです。
ホイールの性能とは直接関係のない、チューブレスの説明が長くなってしまいました。
クリンチャータイヤでの運用も可能だしMAVICコスミックPROカーボンSL UST、ホイール自体は現時点でディスコンとなり中古でしか入手できません。
中古ホイールとなると、程度や使用感次第で劣化や傷み具合が異なります。現物を見ないで気軽に中古品をお勧めすることは出来ませんが、リムブレーキ11速仕様のロードホイール新製品が減りディスクブレーキ専用が増えている現在、程度が良ければお勧め出来る永く使えるホイールだと思います。
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