MAVICコスミックPROカーボンSL USTホイール

2024年6月24日

今まで記事を書いていなかったので、今更ながらもMAVICコスミックPROカーボンSL USTホイールをレビュー。

リムブレーキ仕様シマノ11速対応モデルです。

MAVICコスミックPROカーボンSL USTのスペックと仕様

チューブレス(レディ)対応の3Kカーボンホイール

メーカー希望小売価格:324,500円(税込み、2020年当時)

リムハイト40mm
リム内幅19mm
リム外幅26mm
リム重量450g(カタログ値)
スポークF18本ラジアル組、R24本イソパルス組
フリーID360
耐荷重~120kg
推奨タイヤサイズ25~32C
最大空気圧チューブレス6Bar,87PSI、クリンチャー7Bar,102PSI
ベアリングF:QRM+,R:QRMオート(専用サイズカートリッジ)
重量F:665g,R:825g,ペア1490g(カタログ値)
MAVICコスミックPROカーボンSL USTホイール最大空気圧注意書き
使用最大空気圧の説明書き。体重65kg,F5.2Bar,R5.6Barチューブレスレディで運用継続中

ノンSL USTはリアスポーク20本反フリー側ラジアル組、ペア重量1,650gでハブはFTS-L。

同年代ディスクブレーキ仕様の同ホイールはリムハイト45mm、フロントスポーク20本クロス組になります。

MAVICホイールは名称や年式でスペックが変わり、ネーミングも近年では一貫性が失われてしまいました。

記事にコメントを頂ければ、分かる範囲でお答えいたします。

インプレッション

MAVICコスミックPROカーボンSL USTホイール

同年代のリムハイト25mmキシリウムPRO UST比では、時速25km辺りから上の速度域ではっきりと空気抵抗の少なさを感じます。ハンドリングの俊敏性はキシリウムPRO USTよりもちょっとまったり感有り。
リム重量はほとんど変わらないはずなのに、加速ではキシリウムPRO USTが軽く感じます。

しかしハンドリングも加速感も僅かな差なので、慣れれば全く違和感の無い範囲。平地なら空気抵抗のアドバンテージは大きいです。

走行性能に直接関わる箇所ではありませんが、MAVICのハブは万一スポークが折れたりテンションが抜けてしまっても、スポークが抜けたり外れたりしない安全対策が取られています。

画像赤矢印はスポークの首が抜け落ちないように止めている脱落防止リング。

クロス組もインサート部が長く抜けにくい構造になっています。

安心と信頼の証ですね。

ノンSL-USTはリアスポークが20本と少なくフリー側ラジアルのイソパルス組ではないために、ノンSL USTとの比較では剛性感があり加速が俊敏。
ノンSL USTは脚当たりが柔らかく体に優しいホイールだと感じます。

今まで使っていて振れや故障も無く快適に使い続けています。

質実剛健な作りでフリーボディのメンテナンスさえ怠らなければ、永く愛用出来るホイールです。

体重制限も120kgまでと他社製ホイールと比較して余裕があるのも、剛性や耐久性への自信の表れでしょう。

MAVICより重量も軽く、漕ぎ出した瞬間から踏み出しの軽さを感じられるホイールは多々あれど、スポーク折れなどのトラブルの少なさを始め、突出した性能はないかもしれませんが平均点の高いホイールです。

スポークが細い薄い、本数が少ないホイールは比較するとスポーク折れの頻度が高くなります。

そして何よりもブレーキの効きの良さはリムブレーキの中では特筆モノ。

ブレーキ摺動面のiTgMAX処理の恩恵で、数あるリムブレーキホイール中でも圧倒的な制動力を発揮します。

「カーボンリムブレーキは効かない」「ダウンヒルが不安」はMAVIC iTgMAXカーボンホイールには当てはまらない。
※但し純正イエローシューの発熱が多いのと、シューの制動面にカスが貯まると効きが悪化します。定期的にシューの制動面を削ると良いです。
ブレーキシューの異物を取り除き、定期的に制動面を削ることにより、制動力の維持だけでなくリムの摩耗も最小限に抑えられます。子砂利や異物によってカーボンリムが削れてしまいますので。

MAVICコスミックPROカーボンSL USTの短所

12速化やディスクブレーキ化の流れに伴い、リム内幅が広がり太いタイヤが使えるようになったりと、時代の流れに逆らえず旧式となってしまったホイールですが、「古い新しい」の抽象論でなく実際に使用運用して感じた短所を挙げていきます。

・ID360フリーボディは雨に弱い。雨天走行後及び定期的なグリスアップは必須。

ID360は乗りっぱなしという訳にはいきません。走行1,000km毎、雨天走行後はその都度フリーボディのグリスアップがトラブル無く長持ちさせる秘訣です。

個人的見解では、小雨霧雨程度に短時間降られただけなら、壊滅的なフリーボディ内部へ水の侵入は無い。

雨天走行全く無し、高圧洗浄水洗い無しなら3,000~4,000km走行はノーメンテで行けます。

しかしいざグリス切れや水の侵入があると、ID360のラチェットはダメージを受けやすい。そして部品が高価なのです。メンテ頻度を下げるよりも、工具不要で簡単にバラせるので、こまめなメンテナンスをお勧めします。

・MAVICだけではありませんが、完組ホイールの専用設計ハブは掃除がし難い。

・チューブレス運用のリムテープ問題。

ニップルホールレスのホイールも増えてきました。クリンチャータイヤで運用するなら問題になることもありませんが、チューブレス運用のリムテープは、、、

痛むので定期的に交換が必要。

綺麗に貼れなくてしわや空洞があると、空気が漏れてしまう。

チューブレス運用では、他では起こりえないデメリットが発生します。

振動吸収性の良さやグリップ感のつかみ易さなどチューブレスの走行感が好きで、運用面での手間を惜しまない方向けだと思います。
※チューブレスに嫌気がさしたらクリンチャータイヤでも問題なく運用できます。

もうひとつ、チューブレス運用のデメリットとして、、、

・タイヤを好き勝手に選べない!

チューブレス(レディ)ホイールとタイヤの組み合わせは、モノに拠りけりで着脱が凄まじく固かったり、ビードが上がり難かったり、上がってもエアーが漏れやすかったり・・・などの気難しさがあります。

個人的には、出先のパンクでチューブレスのパンク対応に自信のない方にチューブレスタイヤはお勧めしません。
僕はチューブレスでもスペアチューブとタイヤレバーを常に携行。シーラントや修理剤では塞がらないパンク穴もあるからです。
シーラントで塞がるような小さな穴のパンクは「たまたま運が良かった」と思うことにしています。

チーブレスタイヤは軽量化モデルは別として、パンクし難いし大きな穴も空き難い。とは言えパンクは運次第。

大きな穴のパンクをすることもあるので「備えあれば患いなし」なのです。

ホイールの性能とは直接関係のない、チューブレスの説明が長くなってしまいました。

クリンチャータイヤでの運用も可能だしMAVICコスミックPROカーボンSL UST、ホイール自体は現時点でディスコンとなり中古でしか入手できません。

中古ホイールとなると、程度や使用感次第で劣化や傷み具合が異なります。現物を見ないで気軽に中古品をお勧めすることは出来ませんが、リムブレーキ11速仕様のロードホイール新製品が減りディスクブレーキ専用が増えている現在、程度が良ければお勧め出来る永く使えるホイールだと思います。