コンチネンタル・グランプリ5000

2019年8月12日

Continental GrandPrix 5000 クリンチャータイヤ

コンチネンタル・グランプリ5000

走りの軽さとパンクのしにくさ、そして減りにくく長持ちする、絶大な人気を誇っていたコンチネンタル・グランプリ4000SⅡがマイナーチェンジ。GP4000SⅡ比で5gの軽量化、走行抵抗はマイナス12%、耐パンク性能を20%向上させている。スペック上は正常進化、さて、その走りの程は・・・

サイズETRTOTPI重量(g)
700x23C23-622330200
700x25C25-622330215
700x28C28-622330235
700x32C32-622330290

700×23Cから32Cまで、650規格やチューブレスもラインナップされており、サイズは豊富に取り揃えられている。

国内定価は税別8,200円(1本)

700×25Cでは上限空気圧8.5Bar(120PSI)

GP4000SⅡは実質他メーカーのタイヤと比較して明らかに太く、25Cでは実質28C程度の太さがありました。GP5000では、ほぼ他メーカーと一致する太さになりました。

GP5000用に改良された一般より10分の1のナノカーボン粒子を使ったブラックチリコンパウンド。接地面をレーザーでザラザラに表面処理をしたレーザーグリップ、耐パンク性能を高めるベクトランブレーカーを備える。また、アクティブコンフォートと呼ぶ振動吸収層が、3レイヤーからなるケーシング層の外側、ベクトランブレーカーの次の層にある。

パッケージされた箱から、コンチネンタルタイヤの象徴だったドヤ顔おばさん達がいなくなってしまったのは残念でならない。

TPI

TPIとはThread Per Inch(スレッド・パー・インチ)。1インチ(2.54cm)当たりのタイヤケーシング繊維の本数。一般論としてTPIの数値が多いほど、細い繊維を使い高品質で作りの良い証となり、しなやかで軽量になると言われています。その割にはGP4000SⅡは硬かったけど・・・。TPIだけではタイヤの特性を判断できませんね。

GP4000SⅡ、GP5000のタイヤケーシングは3層なので、1層当たりのTPIは110。

繊維の素材はナイロン、コットンなどが使われている。

ロードバイクのタイヤに求めるもの

GP4000SⅡの特徴、走行抵抗の少なさ、ロングライフ、パンクのしにくさは認めた上で、振動吸収性が劣り乗り心地が良くないこと。特に浮き砂利や荒れた路面、ウェット時のグリップに不安があり、グリップ感も把握しにくいことが理由で、GP4000SⅡは嫌いなタイヤだった僕がGP5000をどのように感じるのか。期待と不安が入り混じる中で、いざ走ってみました。

タイヤの振動吸収性は肩関節が固いこともあって、僕にとってはタイヤ選びに非常に重要な条件のひとつ。硬いタイヤだとロングライドや久しぶりに乗ったときなどに手が痺れてきてしまう。ステムが1cm長く、ハンドルが5mm低くなっただけでポジションが保てなくなってしまう。

縦剛性横剛性共に高く、硬くて反応の良いホイールの代表格フルクラム・レーシングゼロにGP4000SⅡ履かせて、空気圧カンカンでも「全く気にならない」人もいるので個人差や好みがあると思います。男らしく豪快で羨ましいな。

発売されてからある程度期間が経ち、既に各所でインプレされており評価は固まっている感のあるGP5000ですが、自分の自転車で乗ってみなければ本当のところは分からない、と自分に言い聞かせて。

インプレッション

ホイールへの取付は固くなく、容易に装着できる。これなら万一パンクしたときにも困らないだろう。※GP5000TLチューブレスタイヤとMAVIC USTチューブレスホイールの組み合わせ、メチャメチャ固く装着が困難なレベルです。

700×25Cクリンチャー、空気圧はフロント6.4Barリア6.8Barで実走スタート。

改良されたコンパウンドの影響なのか、漕ぎ出しは特別軽くは感じない。しかし、接地感が希薄でグリップが掴みにくかったGP4000SⅡの欠点が、完全に解消されている。漕ぎ出しから軽さを感じるけれど、接地感がまるで希薄だったGP4000SⅡとは、まるっきり別のタイヤだぞ、GP5000は。

乗り心地と振動吸収性

GP4000SⅡ比で明らかに良くなっている。アクティブコンフォートと呼ぶケーシング層のメリットなのか、微小振動を確実に吸収している。アクティブコンフォートは、通常のケーシングと素材自体を変えているのだろうかと思われる。但し、ずば抜けて乗り心地の良いタイヤではない。GP4000SⅡ比で良くなったと言うだけで、コンチネンタルらしいと言うか、芯の硬さやカッチリ感は残っている。

ここを柔らかくしてしまうと、おそらく走行抵抗が増えてしまうのだろう。これがコンチネンタルの特徴と言うか、コンチネンタルなりのバランスの取り方なのだろうと思う。

個人的な好みからするとギリギリ許容範囲内に収まるレベル。積極的にロングライドで使いたいタイヤかと問われると、微妙なところかもしれない。25Cで空気圧は同一の条件で、GP5000より乗り心地の良いクリンチャータイヤはある。振動吸収性に関してはチューブレスタイヤがやはり優れていて、今まで使った事があるタイヤの中ではIRCフォーミュラプロ・チューブレスがベストワンだと思う。

グリップ

凄い。感動した!

コーナーや浮き砂利でもグリップ感が掴みやすい。タイヤと路面との接地面のインフォメーションがはっきりと伝わり、接地感や限界点が掴みやすい。ハッチンソンやMAVIC、ピレリのタイヤに近い感触。グリップの絶対値も高い。GP4000SⅡから1番変わったと感じたところ。GP4000SⅡは正直レースやダウンヒルで使ってはいけないだろ、くらいに思っていましたから。これならばダウンヒルでも安心して使える。

操舵感と言うか、操作性も良く感じる。

ウェット路面はまだ走ってはいないけれど、この感触ならばウェットでも間違いなさそうです。

ウェット路面ではGP4000より良くはなっています。しかしピレリやミシュラン、MAVIC、ヴィットリアなどの他メーカーのタイヤの方がウェットや吹き溜まりの砂、浮き砂利など悪受験でのグリップ感は上。

あと、グリップを失うと一気に滑る印象。持ちこたえる間が無くあがけない。出来る限り落車転倒を避けたいので、この点はコンチネンタルのタイヤ全般に言えることですが、タイヤの性能の何を重要視するかにも依りますが走行抵抗とトレードオフになる欠点だと思う。

巡航の走行感

漕ぎ出しは軽くは感じなかったが、速度が上がるにつれて軽快感が増してくる感じ。しかし、GP4000SⅡ比で走行抵抗マイナス12%は正直実感できない。でも、精度の高い正確な円形のタイヤが転がる気持ちの良さがあって、一定速度以上の巡航に爽快感がある。

コンパウンドの変更でグリップが良くなり接地感が増したと同時に、少しもっちりした感触が接地面にある。IRCのRBCCコンパウンドが、このもっちり感を凄く感じるタイヤ。RBCC程ではないけれど、もっちり感のために感覚的に軽く感じないだけで、実際の走行抵抗は少なくなっているのだろうか。接地面にもっちりとした感触を感覚的に感じるだけで、重いという訳ではない。最初に気になったこの「もっちり感」は、暫くしてからは全く気にならなくなりました。ネガティブ要素とはならなかった。

しかしこの走行感はグリップとトレードオフになりそうなところ。個人的には走りが軽いだけのタイヤよりも、安心感=安全性にも繋がるグリップ力を備えたGP5000の方が好みです。

まとめ

耐パンク性能は使い始めて間もない今、実体験として語れないけれど、コンチネンタルのタイヤ構造からして間違いのないところでしょう。

寿命はメーカー公証値4,859km。どう考えても、体重や走り方で変わると思うのですが、数字が細かい!

トレッドは強いのですが、サイドは擦れやカットに弱い点は気になるところ。

高い耐久性を誇り、耐パンク性と耐摩耗性、走りの軽さがウリだったGP4000SⅡ。タイヤサイドが毛羽立ってはくるけれど・・・。GP5000では走行フィーリングは大きく変わり、欠点だったグリップ力も備え、お世辞にも良いとは言えないけれど乗り心地も向上した。

大きく生まれ変わったコンチネンタル・グランプリ5000。間違いなく良いタイヤです。耐パンク性やロングライフを最重要視する人にとっては、選択肢の第1候補でしょう。グリップは確実に進化して良くなったとは言え、振動吸収性を重要視する僕にとっては絶対的と言えるまでではなかったです。

振動吸収性は、より優れたタイヤがあるし、寿命は約3,000km弱程度とコンチネンタルより短くはなるけれど、他のタイヤでもその間ほとんどパンクしたことはないし。

短距離用のディープリムに付けるのが良さそうだなと模索中です。貶している訳ではなくて、良いタイヤだけれどGP5000だけが絶対ではないという事です。でもみんなが大好きなタイヤだという事は良くわかるんです。良いタイヤだもん。これが絶対的なオンリーワンだとは感じられなかっただけ。

僕のお気に入りタイヤであるピレリやMAVICのクリンチャータイヤをすり減るまで乗った上で、コンチネンタルGP5000の方がいい( ー`дー´)キリッ、と言い切る友人もいる事を申し添えておきます。

タイヤメーカーそれぞれに特徴と持ち味や長所があり面白いですね。

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愛三工業レーシング大前翔選手のコンチネンタルGP5000インプレッション