早稲田大学探検部 カムチャツカ遠征記
早稲田大学探検部 カムチャツカ遠征記
ノンフィクション作家の船戸与一、高野秀行、角幡唯介。登山関連メディアで記者として活躍する森山憲一らを輩出している早稲田大学探検部。
その遠征の記録は、2018年10月24日TV番組クレイジージャーニーでも特集されました。
亜寒帯湿潤気候のカムチャツカは現地入りまでもが困難。ヘリコプター、キャタピラトラック、ホバークラフト、当初の予定には無かったモーターボート、日常では馴染みのない交通手段を使い、その後は湿地帯を徒歩でベースキャンプ入り。湿地帯での歩行では足を取られてしまう映像もあるけど、釧路湿原の谷地眼(ヤチマナコ)みたいなところもあるのだろうか?
当初の目標である山脈最高峰へ辿り着くことは叶わなかったが、人類未踏峰に登頂。ロシア地理協会と交渉し、命名権を得た上で「ワセダ山」と命名。2018年3月にロシア連邦政府より正式にワセダ山が承認される。
隊員の1人が足の怪我で登頂を諦める場面。「やりたいこと」に対して「今の自分にできること」を冷静に判断して決断しなければならない。「やりたいこと」定めた目標をゴールとして、ゴールにたどり着くために生じる「やるべきこと」が出来るかどうか。冒険や登山に限った話ではないですね。組織や集団の中で、仕事の上でも必要になる決断、考えさせられる動画です。
最終的には隊全員で話し合い、感情論に流される事無く、起こりえるリスクを想定した理知的な結論を出しています。
WEBサイトでの早稲田大学探検部カムチャツカ遠征記だけでなく、200ページにも及ぶ報告書も作成。
本活動では、遠征前後での広報、報告に重きを置いた。
探検と旅行を隔てるものが記録であり、記録は報告されなければ意味がない。私達の体験を知識に変えること、それが重要だと考えた。そのため、私達の報告をより多くの人に届けるため、広報は欠かせなかった。
報告会も精力的に開催し、PEAKS2019年3月号登山者図鑑にも取り上げられています。取材記者は早稲田大学探検部先輩の森山憲一さん。
フロンティアとして人類初の冒険が地球上から無くなりつつある、冒険の幅や範囲が狭められてきている現在。また海外に行くのが容易になっている時代。冒険は益々難しくなり、旅行は益々容易になっている。探検部なので、冒険ではなく探検とは何か?を彼らは常に追求して考えている。
そんな時代に於いて彼らは、旅行と探検の違いをこのように言っている。
探検と旅行を分けるものは何か。それは記録である。詳細な記録、再現性のある記録が旅行を探検にする。
探検や登山に限った話ではなく、学術分野でも産業分野でも、再現性のある記録と報告は最重要事項です。体験や経験を将来や社会へ向けて、知識や資産として蓄積し共有していくために。
深く重みのある事をさらりと言っている気がします。史上初の誰もが賞賛するような凄い事だけが、冒険や探検ではないんですよね。詳細な記録や再現性のある記録と報告までを探検に含めれば、この遠征も素晴らしい探検だと思います。
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