複数台のロードバイク、ライディングポジションを合わせる

2019年10月16日

乗車姿勢を合わせる

2台以上、複数台のロードバイクのポジションを合わせて、一致させるにはどうすればいいのか。趣味なのだから同じフレームで2台では面白くない。ジオメトリーの違うバイクで同じポジションにするために、僕の取った方法です。

2台目を買う前の事前準備として、フィッティングが決まりポジションが固まっている人向けです。

異なるフレーム同士で乗車ポジションを合わせる場合、シートアングルとヘッドアングルがそれぞれ異なる延長線上にサドルとステムの高さが位置している。
フレームAとフレームBとではフレームサイズやヘッドチューブ長(スタック)が異なっている場合、リーチを測っている高さが違う。

A≠B

ラフな図ですが、トップチューブ長及びリーチの測定高さが違うと、例えリーチが同じフレーム同士でも、厳密には乗車ポジションは変わってしまうのです。

故にリーチに対してステム長を合わせてハンドル高さを揃えるだけでは、2台のポジションが変わってしまうのです。

サドル高さと後退幅は合わせる。

サドルは同じメーカーの同じモデルを使う。サドルが変わるとノーズの長さの違いから、後退幅を一致させてもライディングポジションは変わってしまう。特にセラSMPと他メーカーのサドルや、ショートノーズと一般的なサドルでは根本的に形状と寸法が異なる。このように大きく異なるサドル複数を使い分けている場合は、実際に乗車したときのフィーリング優先でフィッティングした方が良いです。

ハンドルバーは同じものを使う。

ドロップバーのリーチやドロップ、寸法や形状が変わってしまうと、当然ポジションも変わってしまう。特にライディング時に最も長時間持っていることになる、ブラケットの位置が変わってしまっては良くない。同じハンドルバーを使い、デュアルコントロールレバーの取付位置やハンドルバーの取付角度を一致させる。

クランクも同じ長さ。ペダルも可能な限り同じモデルを。ペダルのスタックハイトが異なるため。

実際に測っておくべき寸法

ボトムブラケット中心~サドル上面まで。サドル先端~ハンドルバー中心までの距離。地面~ハンドルバークランプ部上面までの高さ。サドル後退幅。

サドル後退幅を計るには「下げ振り」を使います。BB中心~サドル先端から垂らした下げ振りの糸までの距離。地面が傾いていると誤差がでるので、バイクを180度ターンして2回計測し平均値を出す。

他はフレームのジオメトリーから、スタック&リーチ・カリキュレーターなるものに当てはめていきます。

stack and reach calculator スタック&リーチ・カリキュレーター

ロードバイクのジオメトリー各寸法を入力し、2台のポジションに関わる寸法差を調べる。またステムの長さと角度、コラムスペーサーの厚さ高さを変えて、ライディングポジションを出来る限り近づけることが可能になる、便利なオンライン計算器があります。

ジオメトリー全ての寸法が公表されていないバイクのリーチやスタックを割り出す事にも使えます。

注)記事を書いた当初の2019年はユーザー登録不要で使用可能でした。2023年6月現在はユーザー登録後にダウンロードする方式に変更になってしまいました。
海外サイトでユーザー登録、日本国内でも名の知れた大手企業でならともかく、使い勝手の良いスタック&リーチカリキュレーターでしたがお勧めできなくなってしまいました。

エクセル表のセルが青の箇所、トップチューブ、ヘットチューブ、ヘッドアングル、シートアングル、ハンガードロップ・・・バイクのジオメトリー各部の寸法やステム長や角度などを入力していく。13行目以降は自動計算で算出されます。

9行目FORK RAKEはフロントフォーク・オフセットの事。欧米ではレイク(rake)が一般的に使われています。

12行目SPACERS + HEADSET + STEM STACK*0.5は、コラムスペーサー厚み合計+ヘッドセットのトップカバーの高さ+ステムクランプ部分の高さの2分の1中央部寸法の合計。実測がベスト。ヘッドセットのトップカバーの高さなんて、スペックで公表されていないですし。

ジオメトリー表でフォークレングスなどが公表されていないメーカーは、実測するしかありません。フロントハブシャフト中心~ヘッドチューブとフォーククラウンの境目までを測ります。

ステムの長さと角度、コラムスペーサーの数値は、17行目STACK WITH SPACERS + STEMと18行目REACH WITH SPACERS + STEMのDIFFERENCE(差)の数値が出来るだけ小さくなるように調整。但し実際にある製品の寸法で。ステム長102mmなどはNGです。ステム角度はコラムを基準に90度を0として入力します。

CALCULATE BASED ON GEOMETRY
GEOMETRY785 HUEZBIKE BDIFFERENCE
TOP TUBE LENGTH (EFF)528.1530-1.90
HEAD TUBE LENGTH142.112517.10
HEAD TUBE ANGLE71.873-1.20
SEAT TUBE ANGLE7473.50.50
BB DROP6568-3.00
FORK LENGTH368370-2.00
FORK RAKE50455.00
STEM LENGTH1001000.00
STEM ANGLE-6-60.00
SPACERS + HEADSET + STEM STACK*0.53645-9.00
STACK532.90527.185.72
REACH375.29373.841.45
STACK WITH SPACERS567.10570.21-3.11
REACH WITH SPACERS364.05360.693.36
STACK WITH SPACERS + STEM588.23589.29-1.06
REACH WITH SPACERS + STEM461.79458.852.94

LOOK 785 HUES RSとはヘッドチューブ長は17.1mmも違うのに、スタックは5.72mmしか違わなかった。コラムスペーサー10mm1枚で調整可能な範囲なのです。(ヘッドセットのトップカバー高さの差も含めるとSPACERS + HEADSET + STEM STACK×0.5は9mm差)

重要なのはリーチとスタック

ライディングポジションに関係する重要なジオメトリーは、リーチとスタックです。ステムによる調整幅があるにせよ、リーチでハンドルバーまでの距離が決まり、スタックでハンドルバーの高さがほぼ決まる。サドル高さと後退幅が決まっている事が前提。サドルは上下も前後も大きく動かせるので、シートピラーが長く出ていてカッコイイとかはあるけれど、フレームサイズは大きな要素ではありません。

サドル、ハンドル、ペダル(正確にはボトムブラケット)の3点、乗車姿勢に関わるこの3点の位置が重要です。大げさに言えばフレームは、この3点を乗り手に具合良く結ぶ3角形に過ぎない。

LOOK 785 HUEZ RSリーチスタック
カタログスペック(メーカー公称値)375.0mm534.0mm
カリキュレーターで算出された寸法375.29mm532.9mm

ささやかな誤差があるけれども、計算上はステムの長さと角度は同じものを使っても、10mmコラムスペーサー1枚でハンドルバークランプ部の寸法差は高さは約1mm下がり、距離約3mmプラスに収まりました。ステム長がプロに供給されているようにミリ単位であれば、もっと詰められるのだけれども。乗り比べると違和感を感じない程度ですが違いは感じる。

最後の仕上げとして必要があれば、組み上げた状態での実測や、ライディング時の感覚でポジションを詰めていく。

785 HUEZ RSに3mmコラムスペーサー追加、又はもう1台の方で3mm下げると違和感のない範囲内に収まりそうです。どちらに合わせるか比較検討中。

他のカリキュレーター

オンライン上で動作するので、こちらもお勧め。ユーザー登録も必要ありません。

ポジションが固まっていない人にとっても、2台目のバイク選びで適切なサイズを選ぶのにも使えるのではないでしょうか。

ELVES VANYAR Discを注文してポジションを煮詰めているてり~さんの活用例

呑み込みが早いです!『REACH WITH SPACERS + STEM』の意味を紹介したその日のうちに理解してる!

凄いです!こちらを読んだ方が理解がはやいかも。

巻き尺(メジャー)

サドル高、サドル~ハンドル間の距離を測る巻き尺(メジャー)は、必ずJIS1級のメジャーを選びましょう。

サイクルコンピューターにホイール周長を正確に実測して入力するときにも使えます。

JIS1級認定の無い格安メジャーは数mm、住宅の寸法を測るなど長さを伸ばすと数cmも!狂いが出る粗悪品も出回っています。