MAVIC キシリウムPROカーボンSL UST ホイール

2020年6月6日

MAVICキシリウムPROカーボンSL USTホイール

同モデルのクリンチャーホイールも持ってるのに、買ってしまいましたよ。USTチューブレス

キシリウムPROカーボンSLの乗り味やフィーリングはとても気に入っていて、USTチューブレスの現行モデルのホイールも気になっていたのです。
クリンチャーに特別不満があった訳ではないんですけどね。と言うか、クリンチャー仕様のキシリウムPROカーボンSLもかなり気に入っています。

MAVIC Ksyrium PRO Carbon SL USTのスペック

スポーク / F18本ラジアル組,R24本イソパルス組 ( フリー側ラジアル )

リム / カーボン製iTgMAX処理,ハイト25mm,外幅24.5mm,内幅19mm

実測重量 / F655g,R844g

ハブ / インスタントドライブ360

※タイヤも含めたMAVIC USTチューブレス システムは、シーラントを必要とするチューブレスレディ

リムの内側にスポーク穴がないアルミ製リムのキシリウムUSTとは異なり、MAVICのカーボンリムUSTホイールは専用リムテープでチューブレスレディ化している。

MAVIC Ksyrium PRO Carbon SL USTインプレッション

クリンチャー仕様の旧モデルと比較してUSTチューブレス化に対応するために、ホイールは前後ペアで55gの重量増。リム幅が2mm広がっている。
USTはスポークのテンションも上がっている。チューブレスはチューブを必要とするクリンチャーよりも、リムに内圧が掛かるからだそう。

ホイールの基本設計や構造は変わっていない。USTチューブレス化に合わせたチューニングが施されている。

そして実走

正直に告白します。

クリンチャーの前モデルと比べて、ホイール前後で55gの重量増(特に外周部のリム)、スポークテンションの違い、これに伴う走行感の違いは正直感じられませんでした。

タイヤの走行感の違いは明確に感じ取れるのだけれど・・。

クリンチャーかUSTチューブレスかの違いはあれども、基本的なホイールの設計は同じ。その性格はほぼ同じだからなー、と言い訳してみる。

リムの重量で55g差があれば、普通は乗れば判るだろ
片輪で約20~30g差だぞ

USTチューブレスタイヤがトラクションの掛かりが良いので、
重量増が相殺されているのかしら。
ホントに重量差が感じ取れなかった。

バランスが良くて、気持ちの良い走行感。適度な弾性で振動吸収性も良く、疲労が溜まってきたときでも脚に堪える事がない。
かといって剛性不足でグニャグニャだったり、パワーロスするような感覚もない。

脚に堪えない適度な弾性感があるなかで横剛性もしっかりしています。

この点で個人的にシマノコンポには絶大な信頼を置いていますが、ホイールに関してはアンチシマノです。体重の軽いサイクリストにはフィットするかもですが、横剛性に関しては充分な性能を備えているとはとても思えない。

ロードレースやそれに近い速度域が常用になるなら、40mm以上のハイトのあるディープリムの方が明らかに空気抵抗は少ない。
でも、キシリウムPROカーボンは25mmのローハイトリムながら、アルミリム&アルミのジラクルスポークを使ったキシリウムPROよりも、明らかに平坦や下りで空気抵抗は少なく楽に感じられる。

横風に煽られにくいのも長所のひとつ。特に風速10m以上の強風下ではハイト40mm以上のディープリムよりも煽られにくく、安心感がまるで違います。

そしてヤワじゃないのに乗り心地は良い。高速域がズバ抜けて良いとか、ヒルクライム最強!の突出したところはないけれど、ホイールに求める各項目の平均点が高い優等生。

そして、相変わらずブレーキは良く効く。(ドライとウェット両方で)

アルミリムブレーキは使っているうちにシューにカスが付着して、ブレーキの効きは徐々に劣化してしまいます。

※ブレーキシュー表面を削れば効きは復活します。MAVICカーボンリム用純正ブレーキシューは熱ダレでカスが付着して効きが劣化します。定期的にシューの表面を削る必要があります。

中華カーボンや今話題のH〇UTもブレーキの効きは悪い。カーボンホイールのリムブレーキは、MAVIC iTgMAXのようにコストを掛けて作り込まないとダメなのでしょうね。熱対策と同様に。

雨の状況でもMAVIC iTgMAXはアルミリムよりも圧倒的に良く効きます。
「カーボンホイールは雨の日はブレーキ効かない。アルミリムの方が効きが良い」という意見が見られますが、そんなサイクリストに是非使ってもらいたいと思う。
もちろんキャリパーブレーキの中では、という前提でディスクブレーキには劣ってしまいますが。

LOOK 785 HUEZ RSを含めてパリッとした高弾性カーボンを使ったフレームには、適度な弾性(バネ感)があって振動や衝撃の突き上げの角を取っていなすカーボンリム&スチールスポークのフィーリングが合うのでは、と個人的には思うところ。

かといって、いくら軽量だとは言えシ〇ノC24くらい剛性が落ちてしまうと個人的には嫌だ。

ロードバイクのホイールには、乗り手やフレームに丁度良くフィットする剛性感が大切。

レースに出なくなった身としては、強烈な横風に煽られるようなこともないし、ロングライドでのフィーリングは良いし、クリンチャーのMAVICキシリウムPROカーボンSL C同様にお気に入りのホイールになりました。

MAVICホイールは例外もあるけれどもマイナーチェンジを経て、全般に脚当たりが柔らかくマイルドになってきている。
これは決してUSTチューブレスの乗り心地だけの話ではない。
アルミリム&アルミスポークのキシリウム(SL)は初期モデルの太いスポークを高いテンションで組んでいたのが、スポークが細くなりテンションも落とすようになってきている。
UST化でスポークテンション上げたと言っても、キンキンのガチガチじゃなくて柔らかさとしなやかさを持たせるチューニングをしてる。

今で言うフルクラム・レーシングゼロのような「バキューン!」と蹴りだすような加速は今のMAVICにはない。
乗り心地を良く脚当たりを柔らかく尖った強烈な印象は薄まったけれど、疲れにくい乗り手に寄り添うような味付けになってきている。
これはカーボンリム系でも印象は似ている。2000年ごろのキシリウムの発売当初からするとフレームの剛性は比較にならないくらい上がっている。
ホイールに適度なマイルドチューンを持たせた方が、バイクトータルとしてバランスが取れると個人的には感じます。

対してカンパニョロのホイールはマイナーチェンジを経るごとに固く剛性が上がってる。だから某サイスポの中の人のように「ナローリムG3ボーラが良かった」という人もいるのでしょうね。

採点

MAVICキシリウムPROカーボンSLUST採点レーダーチャート

特出したところはないけれども、ホイールに求められるあらゆる要素の平均点が高いフィーリング。レースに使わないなら総合的に満足度が高いホイールです。

MAVICイクシオンPRO USTタイヤ

チューブレスタイヤの空気圧
チューブレスタイヤの空気圧

MAVICイクシオンPRO USTチューブレスレディ700×25Cタイヤは、グリップも良くトラクションがしっかり掛かって不満はないです。
いや、不満がないどころかクリンチャー版同モデルよりも、コーナリンググリップもトラクションも上回っている。

タイヤの求められる性能の平均点が全体的に高い優等生。特別踏み出しが軽い訳ではありませんが、ウェットや荒れた路面での安心感も高い。

でもタイヤそのものの腰が強いというか、空気圧を落とし気味にしないとクリンチャータイヤ比で優れてはいるのですが、乗り心地スゲー!!までにはなりません。

調整ライドやまったりライドではMAVICアプリで算出した空気圧よりも低いF4.8bar、R5.3Barまで落として乗ることもあります。
空気圧を落としても、走行抵抗が増えずに走りが重くならないのはチューブレスの長所です。

強度を上げて走るときはF5.5Bar、R6.0Barまで上げています。

タイヤについては、いずれIRCフォーミュラPRO RBCCとの比較記事を書く予定です。

早々とパンクしてしまいました。

QRM調整と増し締め

MAVIC QRMハブのガタを取る調整

MAVIC QRM ハブシステム

経年使用で緩みが出てハブにガタが発生する場合があります。構造的に特に前輪に緩みが出やすいです。定期的にガタが発生していないか点検しましょう。

もしガタが発生していたら、調整は簡単。付属の工具でホイールを外さなくても調整可能。時計回りに工具を回すと締ってガタが取れます。

MAVICホイール付属工具

MAVICホイール付属のこの工具は、ベアリングの調整のみならず、ニップル回し、エアロスポークのねじれ止め、タイヤレバーと4役1体となっている優れもの。
タイヤレバーとしても、先端が薄く使いやすいです。

サイクルスポーツ誌バックナンバー2019年2月号『チューブレスタイヤ運用術』に、他メーカーを含めたホイール径やタイヤ径とそれに関わる脱着のしやすさや、チューブレス運用に関わる技術や知識が詳しく書かれています。

チューブレスタイヤを運用していくなら必読とも言える内容になっています。