プロセスエコノミーについて思うこと

ドキュメンタリー愛読書

プロセスエコノミーとは?

けんすうさんが最初に提案した造語。その意味は、

製品や作品など、通常の商品の制作過程を公開公表することによって、共感を呼びファンや固定客を掴むことで競合と差別化を図ること。

その制作過程のプロセスを公開する部分で収益化につなげること。

プロセスエコノミーの定義や言葉はありませんでしたが、その概念や実践は過去にもありました。

スポーツドキュメンタリー、ヒット商品誕生のドキュメンタリー、職人さんの制作過程の映像などなど。

今までそれはテレビや書籍の独壇場でした。

しかし情報も商品も洪水のようにあふれており差別化が出来なくなってきた現在、何を買っても何を選んでも大きな失敗はなくなった。

そこで制作過程をオープンにして共感を呼び、ファンや固定客を掴もうという理念がプロセスエコノミー。

定義付けをしてプロセスそのものを商品にすることにスポットを当てたのは、おそらくけんすうさんが初めてではないかと思います。

アウトプットエコノミー

プロセスエコノミーの対義語がアウトプットエコノミー。

プロセスエコノミーのように過程ではなく、アウトプットされた作品や製品そのもので課金すること。

これは一般的なと言うか通常の商品の流通や購買の形態ですね。

アウトプットエコノミーの例

  • 飲食店の料理や提供されたサービスそのもの
  • 音楽なら曲そのもの
  • 書籍なら本や文章そのもの
  • プロスポーツなら試合の現地観戦や試合の映像そのもの
  • 出来上がって市販されている製品そのもので評価される
  • 役者は舞台裏を見せないという信条

アウトプットエコノミーのプロモーションとして、過程やコンテンツに賭ける情熱がメディア化されることはある。

しかし過程はコンテンツを商品にするための広報活動に留まり、過程そのものには課金されない。

また製品がヒットした後だったり、素晴らしい成績を収めたスポーツや文化活動などが、後にドキュメンタリー形式で書籍や映像化されることは過去にもありました。

プロセスエコノミー以外に個人が資金調達する方法としてクラウドファンディングがあります。

クラウドファンディングとは主に個人が通常インターネット経由で、他の不特定多数の人や組織に財源の提供や協力などを呼びかけて行うこと。

倫理観を失ったプロセスエコノミーの危険性

プロセスエコノミーにしろクラウドファンディングにしろ、製作者と顧客が直接情報と金銭の遣り取りをする形態のため、必然的に顧客側には製作者を見極める”目利き”が必要になってきます。

成果物は大したことがないのにも関わらず、巧みな広報とプレゼンテーションで二流三流を一流に魅せるプロセスエコノミーには、ある種の危険性や詐欺まがいの消費者心理を操る危険性を孕んでいます。

プロセスエコノミーと言う言葉が生まれる以前から、栗城史多さんはTwitter、Facebook、LineブログのSNSやクラウドファンディング、ファンクラブを駆使して資金調達をしていました。
講演会収入や企業を回りスポンサーを募る以外にも、広く個人から資金調達をしていたんですね。

しかし栗城さんのプロセスエコノミーは、単独でも無酸素でもなかったし、エベレストは8回もトライして登頂出来ないし、嘘の誇大広告と自己啓発に傾いていきました。

度を越したセルフブランディングによるプロセスエコノミーは、栗城史多さんに限ったことではありません。TwitterやインスタグラムなどのSNSでいくらでも見ることができます。

プロセスだけを見て感情や感覚で共感するだけではなく、成果物のクオリティを見極める目利きを消費者1人1人が持たないといけない時代になって来ているのかもしれません。

栗城史多さん以外にも小保方さんや佐村河内さん、某プラントハンターさんや某銭湯絵師さんなどなど…

巧みなセルフブランディングとプロセスエコノミーで、成果を偽って結果(金銭と人気)を得ようとする人は後を絶たないのだから。

ドキュメンタリー物が好きだ

作品に惚れて、スポーツを見て…etc、凄いな、この人(作者)のことをもっと知りたいと思う。

その背景に何があったのか、深く知りたい。

ポジティブなものだけでなくネガティブな内容の場合でも「その原因の根底に何があるのか」「改善できたとしたら、どうすれば良かったのか」「同じ過ちを繰り返さないためには?」と考える。

だからジャンルを問わずリアルなドキュメンタリー物が好きなのです。

失敗も成功も余すことなく赤裸々に告白されたドキュメンタリーが。

プロセスエコノミーと異なるのは「成功して結果が伴ってから」そのプロセスがメディアを通じて公開されること。

既に称賛される結果が伴ってからプロセスが公開されるので、基本的にドキュメンタリーとして学ぶべきものが多く、映像にしろ書籍にしろ間違いがない作品が多い。

書籍

ドキュメンタリー愛読書

金子 達仁、戸塚 啓、木崎 伸也著『敗因と』

サッカードイツワールドカップでの敗因を紐解く。過ぎたこととして水に流してはいけない。分析し掘り下げることで、同じ失敗を繰り返さないためにも。

かくまつとむ著『江戸和竿職人 歴史と技を語る』

創業1788年(天明8年)、江戸和竿総本家東作の6代目松本三郎氏の職人技と代々受け継がれる歴史と伝統をかくまつとむ氏が書籍化。釣りに興味がなくても伝統工芸の歴史に触れられる名著。

ジュリエット・マーカー著 小島修訳『偽りのサイクル 堕ちた英雄ランス・アームストロング』

ツール・ド・フランス七連覇、後にドーピングによりその栄光が剥奪された、不世出の英雄ランス・アームストロングの真実の姿が暴かれる。

タイラー・ハミルトン著『シークレットレース』

ランス・アームストロングのチームメイトであり、後にライバルでもあったタイラー・ハミルトン。その輝かしい栄光に隠された影を赤裸々に語る。

山野井泰史著『垂直の記憶』

山野井泰史氏の過去の山行を綴った回想録。宣伝やセルフブランディングとは無縁の純粋な清らかさがそこにはある。

沢木耕太郎著『凍』

山野井泰史、妙子夫妻のヒマラヤ・ギャチュンカン7952m北東壁初登攀を中心に描くノンフィクション。沢木耕太郎のペンで淡々とストーリーが進みながらも、生と死の境界線にのみ存在する極限のノンフィクション。

木之下晃著『朝比奈隆 長生きこそ最高の芸術』

指揮者朝比奈隆の専属カメラマン木之下晃氏が見た朝比奈象。指揮者朝比奈隆の成功は時代も見方したとは思いますが、教養の深さとたゆまぬ努力の蓄積を思い知らされます。

佐藤多佳子著『夏から夏へ』

陸上男子4×100mリレー北京オリンピック銅メダリスト、塚原直貴、末續慎吾、高平慎士、朝原宣治、そして控えの小島茂之を追って取材した必読のドキュメンタリー。

映像作品

「情熱大陸」「プロフェッショナル仕事の流儀」「クレイジージャーニー」「スポーツ中継」などが好き。「でした」と過去形になる番組もありますが。

ワイドショーなどはコメンテーターの感想が邪魔で全く見ません。

地上波テレビはニュースと天気予報、そしてスポーツ番組とドキュメンタリー物しか見ません。

スポーツで自転車関係以外のスポーツで惹かれたものは、

ボクシング畑山隆則×坂本博之戦

試合以外でもTBSとNHKでドキュメンタリー番組が放送されました。

タイトルマッチの試合自体も素晴らしかったのですが、試合の臨む2人の背景を描くドキュメンタリー番組も惹かれるものがありました。
今でも語り継がれる、ボクシング史に残る試合だと思います。

北京オリンピック男子4×100mリレー

陸上短距離界で歴史に刻まれる偉業でした。

平昌オリンピックスピードスケート・女子チームパシュート

金メダルという結果のみならず、そこに到達するために必要であったトレーニングの過程やコーチの存在。高木美帆、高木菜那、佐藤綾乃、菊池彩花選手たちの取り組みや姿勢にも注目が集まりました。

野球では第1回~第2回のワールドベースボールクラシック。

この5試合は、YouTubeで検索すれば映像が残っていますので是非ご覧頂きたい。

BS1スペシャル『銀嶺の空白地帯に挑む~カラコルム・シスパーレ~』

平出和也、中島健郎両氏のアルパインスタイルによる、パキスタン・シスパーレ(7611m)北東壁世界初登攀のドキュメンタリー映像。

成果を出すための姿勢は、こういったところから学べると感じています。

度を越した宣伝はするな!

脚色された誇大広告よりも、リアルなストーリーに惹かれます。

SNSでも「何者かになりたい人」「インフルエンサーになりたい人」が多数散見。もっともらしい自己啓発や謳い文句に釣られないようにしたいところです。

自己啓発は一時的に気分が良くなり前向きになっても、長い目で見ると”身に付いた実力”にはなりません。

意識高い系ポジティブ至上主義はネガティブな事象から目を背けてしまう。世の中にはポジティブな事ばかり存在するわけではない。例えネガティブな事象であろうと、分析し考察していかないと改善や解決は得られない。

理論的に分析する必要があるのに、感情で目を背けて無かったことにしてしまう。対象によっては欠点を潰して改善必須な事象も多いのに…

そして理由付けらしい名目で言い訳が上手い。見ないものを作り視野を限定している。

ポジティブ至上主義はどうしても”浅く”なってしまう。

このブログでも、自分が使って本当に良かった物だけを紹介していきたい。

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